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2014 Dec.18
Topic on Dream ~夢に効く、1分間ニュース~ Vol.57

「コンクリートジャングル」から湧水!?
東京の隠れた湧水スポット3選

「コンクリートジャングル」と揶揄されることもある東京。しかし街を丹念に見ていくと、こんこんと水が流れる湧水を見つけることができます。ビルが林立しているすぐ脇や首都高速道路が通る高架の近く、住宅街の一角など、思ってもみない場所にある湧水に触れると、東京にも自然が残っているのだと改めて感じさせられます。今回は目黒区、港区、そして文京区にある湧水についてご紹介します。

「コンクリートジャングル」から湧水!? 東京の隠れた湧水スポット3選

「滝行」も行なわれる目黒区の瀧泉寺

目黒区の瀧泉寺

山手線・目黒駅から徒歩10分あまり、東急目黒線・不動前駅からは8分のところに、湧水が出続けているところがあります。それが瀧泉寺です。一般的には、目黒不動尊と言ったほうが馴染み深いかもしれません。

境内にある「独鈷(とっこ)の滝」を筆頭に、このあたりでは多くのところで湧水が見られます。車通りの多い山手通りから来ると、まるで別世界に来たかのような気分に。

さて、この滝行も行なわれる独鈷の滝には、1200年にわたって枯れたことがないと言われる湧水を出す2体の龍と「水かけ不動明王」が立っています。この水かけ不動明王は、身代わりで瀧泉に打たれてくれるとのことで、水を掛ける参拝客の姿もしばしば。その歴史は古く、808年まで遡ります。天台宗の開祖である最澄と縁の深い円仁(慈覚大師)が投げた錫杖(しゃくじょう)が大地に突き立ち、そこから湧き出たと言われています。

関東最古の不動霊場(不動明王を祀った霊場)にして、現在も都民の憩いの場として利用される目黒不動尊に出かけてみるのはいかがでしょうか。

港区のタワーマンションの足元に残る柳の井戸

高さ100メートル、地上29階建の元麻布ヒルズ(フォレストタワー)のすぐ下。湧水が出ていることを知るマンションの住民はどのくらいいるのでしょうか。

その湧水が、浄土真宗の寺院・善福寺の境内に湧く「柳の井戸」。その名の通り、大きな柳の木が目印となっています。

湧水を前にして、頭の中で柳の木と井戸の風景だけを切り取って見ると、一気に時代を遡ることができます。しかし現実には、そのすぐ背後に大きな高層マンションが建っているので、時代のコントラストを楽しむのもおもしろいかもしれません。

40年ほど前までは、近所の豆腐屋が仕込みの水を汲みに来るほど湧いていたと言いますが、現在はその面影はありません。わずかに少量の水が湧き出ている程度です。

東京メトロ南北線の麻布十番駅から歩いてすぐなので、ぜひ一度訪れてみてください。

首都高速道路5号線のほど近く、豊かな緑を育む古香井

頭上の首都高速道路を眺めつつ、東京メトロ有楽町線の江戸川橋駅から神田川沿いの小道を西へ向かいます。

思いのほか清らかな流れを有している神田川に驚きを感じていると、右手に生い茂る緑が目に入ってきます。

そこは結婚式などの宴会施設として有名な椿山荘(ちんざんそう)です。この椿山荘の庭園にある湧水が、古香井(ここうせい)と呼ばれる井戸。

秩父山系からの地下水が湧き出ていると言われ、ミネラル・カルシウムを豊富に含んだ弱アルカリ性の水。なるほど、意外なほどの神田川の清らかさは、この湧水のおかげなのだなと納得させられます。

庭園内には、野生のタヌキが生息しているらしく、看板に「餌を与えないでください」などの注意書きも見られました。

さらに驚くことに、ゲンジボタルとヘイケボタルが生息していたり、クレソン(オランダガラシ)が自生していたりと、ここが本当に東京のど真ん中なのかと疑いたくなるような光景が続きます。

1923年の関東大震災では、この湧水が被災した都民の喉を潤したと言われています。有事の際には、この古香井がまた役に立つのかもしれませんね。

ここで紹介した3つの湧水以外にも、実にたくさんのスポットが東京都内に点在します。そのどれもが、歴史や地元民の生活に密接に関わってきたものです。ぜひ、みなさんも一度、東京の名水に触れてみてはいかがでしょうか。

参考元:『名水巡礼東京八十八ヵ所』(早川光著/農文協)
東京の名湧水57選一覧
ホテル椿山荘東京

文 遠藤由次郎