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2015 Feb.24
Topic on Dream ~夢に効く、1分間ニュース~ Vol.66

ヴァイオリンの名器ストラディバリウスの魅力を知って
クラシック音楽を楽しもう

ヴァイオリンの名器ストラディバリウスの魅力を知ってクラシック音楽を楽しもう
写真提供:株式会社日本ヴァイオリン

ストラディバリウス──。数々の演奏家を虜にし、聴く者を魅了してきたヴァイオリンの名器です。クラシック音楽に馴染みのない人でも、一度はその名を耳にしたことがあるかもしれません。一挺の価格が数億円、ときに10億円をゆうに越える値段で取り引きされることもあるこのヴァイオリンの魅力はどこにあるのでしょうか。今回、30年以上にわたってヴァイオリンの修復、鑑定、販売を行なっている株式会社日本ヴァイオリンの代表取締役社長中澤創太さんにストラディバリウスの魅力について聞いてみました。

ストラディバリウスがヴァイオリニスト自身の心をつかむ理由

「ストラディバリウスの最大の魅力は強い音が出ること。特に、顕著に現われるのが、大規模なコンサートホールで演奏したときです。隅から隅まで、それこそ最後列の端の端に座っている人でも、はっきりとその音色を体で感じることができます」(中澤創太氏、以下同じ)

強い音が出るというのは、世界に約600挺あるとされるストラディバリウスが共通して持っている特徴だと中澤さんは言います。ただし、強い音イコール絶対的な音量が大きいという単純な話ではありません。

「たとえばオーケストラをバックに従えてヴァイオリンを演奏するとします。ほかのヴァイオリンでは音がかき消されてしまうことがあるのですが、ストラディバリウスはまったく消されません。それは音量だけではない、音の強さ、響き、届き方、個性があるからだと思います。だからこそ、聴く人はもちろん、演奏家たちの心をつかんで離さないのです」

そのほかにも、E線、A線、D線、G線と呼ばれる4本の弦がどれも押し並べて安定しているということ、製作された年代による個性などがストラディバリウスの音の特徴だと言います。

ストラディバリウスには魂が宿っている!?

また、世界三大オーケストラとも称されるベルリン・フィルハーモニー管弦楽団のヴァイオリニスト、リーバーマンがストラディバリウスを指して「わがままなお姫様のようだ」と語ったことにもあるように、使いこなすことが難しいという側面もあるようです。

「ストラディバリウスは演奏家を選びます。腕が良く、さらに相性も合った演奏家が弾かないと、音を出してくれないのです」

それはもしかすると、ストラディバリウスに魂が宿っているからなのかもしれません。17世紀後半から18世紀にかけてアントニオ・ストラディヴァリによって製作されたストラディバリウスですが、「これまでに所持・使用してきた人の記録や取り引きの記録、礼状などが楽器とともに保存されているものもある」と言います。

また、それぞれに購入者や製作依頼者などにちなんだ名前がつけられています。たとえば、英国の王ジョージ3世が愛用していたストラディバリウスには、“キングジョージ”という名が、また、現在イタリアの国宝に指定されている、“メディチ”はメディチ家が依頼したもの。

「ストラディバリウスが持つ300年という歴史を鑑みると“魂が宿っている”という表現は、あながち比喩ではないように思えますよね」

クラシック音楽の象徴とも言えるヴァイオリンの名器ストラディバリウスには、ここでは書き切れないほどの魅力が詰まっています。ぜひストラディバリウスの魅力を紐解いて、クラシック音楽が体感できる音楽ホールへと足を運んでみてはいかがでしょうか。

文・遠藤由次郎