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2015 May.1
Be Unique! ~オンリーワンであること~ Vol.12

水中パフォーマンス「トゥリトネス」代表・不破央の奇想天外なキャリアとは!?

不破 央さん

『Be Unique!』では、「オンリーワン」な人・企業を訪問。その価値と魅力に迫ります。なぜオンリーワンなのか、どうやってオンリーワンな存在になりえたのか…。そこにはきっと、ほかにはない「夢」や「ストーリー」があるはずです。

今回の“オンリーワン”は、映画・ドラマ『ウォーターボーイズ』のシンクロ指導をしたことでも知られる、不破 央(ひさし)さん。現在、日本だけでなく海外でも水中ショーを行っている不破さんですが、もともとは、日本記録を出したほどの競泳選手だったそう。その後、青年海外協力隊、演劇、水中パフォーマンスの世界…と、型破りなキャリアを歩んできた不破さんに、夢を叶える秘訣を伺いました。

ちなみに、初の男子シンクロ日本代表として注目を浴びている安部篤史選手は、不破さん主催のエンターテイメント集団「トゥリトネス」に憧れ、同集団のメンバーとして活躍してきた人物。ラストでは、今年5月のジャパンオープン、7月からのFINA世界水泳選手権などで披露される、安部さんの演技の見どころも、教えて頂きます。

競泳の日本記録保持者から、一転。
24歳で、人生のどん底に

「トゥリトネス」の練習風景 練習をする不破さん
不破さんいわく、「『トゥリトネス』のショーは、水中サーカス」。
笑いあり、肉体美あり、アクロバットあり。
後ろに進むクロール、横に進む平泳ぎなど、不破さん独自の技も。

競泳、シンクロナイズドスイミング、道化師などの要素を盛り込んだショーを行う、唯一無二の水中エンターテイメント集団「トゥリトネス」。その代表を務める不破さんが水泳をはじめたのは、小学1年生の頃。スイミングスクールでめきめきと頭角を現し、4年生のときには、ジュニア大会で日本一に。高校3年生になると、100メートル平泳ぎで日本記録を樹立。その後も、大学・実業団で競泳選手として活躍し続けた不破さんですが、社会人2年目、24歳のときに転機が訪れたとか。

「実は僕、オリンピックへの切符に3回挑戦して、3回とも敗れているんです。社会人2年目のときなんて、予選落ち。辛い練習をして負け続けるのは、みじめですよね…。それで、引退を決めました」

それまで水泳漬けの日々を送っていた不破さんですが、現役引退後にやりたいことはすでに決まっていたといいます。

「中学卒業時は絵の専門学校に進みたかったし、大学進学時は美大に行きたかった。もちろん、そんなことは許されず、高校・大学ともに水泳の推薦で進学しましたが(笑)。でも、実業団選手として入った会社を辞めれば、『今後こそ、絵ができる!』と思って。なかでも、なにもない空間に異世界を生み出す、舞台美術の仕事をやってみたかったんです」

アクティブな不破さんは、すぐさま周囲に相談。結果、知人が芸能関係の人を紹介してくれることに。

「その人に会ったら、延々6時間も怒られて。シェイクスピアも知らない人間が、舞台美術なんてとんでもないって…(苦笑)。帰りの電車で、ベロベロに酔ったサラリーマンを見ながら、うらやましいと感じましたね。その人には、辛いことだったとしても、飲み過ぎるだけの理由がある。水泳選手を辞めた僕は、会社でやることといえば、ほかの社員の鉛筆を削り、引き出しの開け閉めをするぐらい。これからの夢も否定され、酒をあおる理由すらない。どん底だったんです」

競泳選手、青年海外協力隊、クラウン(道化師)…。
意外な転身をしてきた、理由とは?

子供たちと交流する不破さん ショーに参加する子供
不破さんたちのショーには、プール嫌いの子どもも興味津々。
海外青年協力隊の水泳講師として身につけた、
子どもの関心を引く手法・ジェスチャーの技術が活きているとか。

わずか24歳で、人生のどん底を経験。しかし、そこですぐに次のステップを見つけ出せるのが、不破さんの強さ。酒に酔ったサラリーマンの次に目に入ったのは、青年海外協力隊募集のポスターだったそうです。ポスター写真の背景は、茶色くひび割れた大地と青い空。そこに佇むのは、セロハンテープで修理したボロボロのメガネをかけ、笑顔を浮かべる日本人男性。手には芽が出たばかりの小さな苗を持ち、「なにもない場所を、自分の手で変えていく」という、無言のメッセージを発していたとか。

「ポスターを見て、『かーっこいー!!』と打ち抜かれましたね(笑)。後日、説明会に行き、青年海外協力隊には多様な職種があることを知りました。水泳の指導者ならば、僕も応募条件を満たしていて。海外へ行くためには語学の試験があることも知り、学生時代は全く勉強しなかった、英語のテキストを購入しました」

採用試験という目標を手に入れてからは、やることのなかった職場でトイレにこもり、日々5~6時間の勉強をしたといいます。そして25歳で青年海外協力隊に参加した不破さんは、2年後にグアテマラから帰国。日本に戻ってからは、演劇の世界に足を踏み入れ、クラウンを目指すことに。実業団の競泳選手から青年海外協力隊員、そしてクラウン…。脈絡のない転身のように思えますが、その根底には、不破さんなりの共通点があるそうです。

「ほかに憧れた職業は、お坊さん、噺家(はなしか)、プロレスラー。修行するってカッコいいなーと思ったんです。クラウンも、ひとことも発さない芸で人をゲラゲラ笑わせる。どの仕事も、ストイックでオーラがあるんです。もちろん、帰国後も水泳の先生をするという選択肢はあっただろうけど、新しいことがやってみたかったんですよね。すぐに会社を辞めちゃう若者って、いるでしょう? それと同じ。僕の場合、振り幅は大きかったけど(笑)。だから、転身に勇気なんかいらなかったですね」

不破流の夢の叶え方は、実にシンプル!
「まずは動く」こと

話をする不破さん

その後、“自分にしかできないクラウン”を目指すなか、水泳と道化との融合を思いついたそう。当時の不破さんは、すでに30歳目前。周囲から聞こえてくるのは、「いい年だよ?」「成功するはずない」と反対の声ばかり。それでも、「『誰もやったことない? それなら、俺がやったら一番じゃん!』って思っていた(笑)」とか。次々に目標を見つけ、ひるむことなく挑んでいく。そんな不破さんに、ずばり、夢を叶える秘訣を伺うと…。

「今、『トゥリトネス』の若手メンバーから将来の悩みを聞いていると、『不破さんは、元日本記録保持者だし…』『青年海外協力隊の経験があっていいよなー』というんですよね。でも現在の僕があるのは、負け戦もあるなか、自分でさまざまなチョイスをして、挑み続けてきたから。それをやろうともしないで、うらやんだり、欲しがっているだけの人生でいいの?と思うんです。

夢は自分で見つけるものだし、キャリアや欲しいものは、誰も差し出してあげることはできない。やってみたい仕事があるなら、『いいなー』という前に動かなきゃ。夢を叶えるには、好奇心・体力・調べる力・やりたいことを発信する表現力・挑戦力・周囲の協力の6つが必要。動いてみてはじめて、どういう敵がいて、どんな準備が必要で、自分にはなにが足りないのか、調べることができるんです」

水中パフォーマンスの魅力は、
他者の人生を狂わせるほどのパワー

水中ショーを行う不破さん
「泣かせるシーンなんてないのに、
ショーのエネルギーに感動して、涙する観客の方も」と不破さん。

不破さんが一人きりではじめた水中ショーの仕事は、やがて「トゥリトネス」としてチームを立ち上げるに至ります。不破さん個人としても、映画・ドラマの『ウォーターボーイズ』のシンクロ指導を行なうなど、大きな注目を集めることに。すでに17年近く水中パフォーマーとして活動してきた不破さんに、今後の夢を尋ねてみました。

「男女が組むシンクロの公式新種目、混合デュエットの日本代表に選ばれた安部篤史は、うちのメンバー。『ウォーターボーイズ』に感動し、13年前に入団、現在では、世界に誇れるレベルにまで成長しました。ほかのメンバーにも、小学生のときに我々のショーを観たという人がいます。『ウォーターボーイズ』出演者には、あの作品がスターへの第一歩となった方も。エンターテイメントって、人の人生を狂わせるほどの力があるんです(笑)。キツいこともあるけれど、今後もこの世界で戦い続けていきたいですね」

史上初の男子シンクロ選手、安部篤史氏。
5月からはじまる大会の見どころは…

窓際に腰掛ける不破さん

不破さんの活動はショーにとどまらず、2010年以降、シンクロ日本代表の表現コーチとしても活動しています。また先にも出たとおり、今年2月には、「トゥリトネス」のメンバー安部篤史さんが、日本代表に選ばれ、5月のジャパン・オープン、6月のスペイン・オープン、7月からのFINA世界水泳選手権へと出場する安部選手ですが、常に身近で見てきた不破さんが思う、安部選手の演技の見どころとは?

「シンクロ選手は、男女ともに陰影のある美しい筋肉を持っています。そのひとつひとつの動きが見られるし、混合デュエットとして男女がともに演技することで、それぞれの魅力を引き立て合うはず。安部がロンドンオリンピック代表の経歴を持つ足立夢実(ゆみ)選手と組むことで、どんな化学反応を見せてくれるのかも、楽しみです」

非公式の国際大会では2度の優勝に輝いている安部選手ですが、その影には、長年に渡る努力があるとも、教えてくれました。

「国内でシンクロに取り組んでいる男子は、ジュニアを入れても、おそらく50人程度。これまで公式大会がなく、脚光を浴びる機会がありませんでした。僕の競泳時代はオリンピックという目標があったけれど、彼は『好きだから』ということだけを原動力に、13年間、黙々と頑張ってきたんです。今までのショーは、足のつくプールで行ってきましたが、大会では、深いプールで演技をする。当然、必要な体力も筋力も違います。それをクリアするための努力も、相当なものだったと思いますよ」

さらに、「ショーマンとして表現を磨いてきた彼は、間の取り方がさすが。上半身のしなやかさも、素晴らしい」とも。水中パフォーマーとして唯一無二の存在である、不破さん。そのショーに感化され、日本代表へと成長した安部選手。オンリーワンがオンリーワンを生み出し実現した、新たなシンクロのステージ、ぜひ注目してみては? そこからはきっと、夢へと立ち向かうエネルギーを感じることができるはずです。

撮影:蟹 由香(室内の画像のみ。プールでの画像は、トゥリトネス提供)

Information

不破 央(ひさし)氏/トゥリトネス

1968年静岡県富士市出身。現在、水中パフォーマンス集団「トゥリトネス」代表。ショーへの出演のほか、水泳・シンクロの指導も行う。現在「トゥリトネス」では、団員を募集中。不破さんがともに夢を築くメンバーの条件として挙げるのは、「どうしてもやりたい!」という情熱を持つ人。「新しい個性が入ってくれば、ショーも進化していく」とか。

「トュリトネス」公演のチラシと不破さんの著書『水泳の指導法がわかる本』(小学館)不破さんのサイン
不破さんの著書『水泳の指導法がわかる本』(小学館)にサインを頂きました。
この著書は、d-laboミッドタウンで閲覧できます。
左は、不破さんのイラストによる、公演のチラシ。
子どもの頃の夢、デザインにかかわる仕事は、「トゥリトネス」のHPや大道具などを
手がけるという意外な形で実現しているそう。
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