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2015 Jul.22
DREAM MAKER あの人に訊く、この話 Vol.7

「大切なのはブランドの影響力」Raphaの提唱する自転車の楽しみ方。矢野大介が目指す「サイクリストに貢献するブランド」(前編)

『DREAM MAKER』では、人生を楽しみながら夢を叶えた、旬の人にインタビュー。仕事で、プライベートで、その人がこだわりを持っているものや、その人にまつわるストーリー、そしてちょっとディープな話題にも触れていきます。

今回お話をうかがったのは、ロンドン発のサイクルウェアメーカー『Rapha』の矢野大介さん。『Rapha』といえば、11年前の登場以来、そのシンプルなデザインと優れた機能性が世界中のサイクリストに大好評。『ツール・ド・フランス』などの大会ではチームのサプライヤーとしても認知され、自転車用ウェアの新しい流れを生み出してきた人気ブランドです。その目指すところはたんなるビジネスではなく、サイクリストの生活の質を高めるための「貢献活動」。昨年7月、千駄ヶ谷にオープンした『Rapha Cycle Club Tokyo』は、その『Rapha』のポリシーと自転車の魅力が詰まった「自転車乗りのための総合空間」。カフェとショップが併設されたその場所で矢野さんにお話を伺いました。

Rapha・矢野大介さん

自転車好きが集まる場を

『Rapha Cycle Club Tokyo』外観

イギリスを発祥にアメリカ、オーストラリアなど世界各国に展開されている『Rapha』の直営店『Rapha Cycle Club』。原宿からもほど近い北参道エリアにある『Rapha Cycle Club Tokyo』を訪ねてみると、店の前に自転車用のラックはあるものの、見た目はお洒落なカフェそのもの。自転車乗りではないお客さんも気軽に入れる雰囲気です。出迎えてくれた矢野さんに訊いてみると、やはり「平日の昼は自転車に乗っていないお客さんも多いですよ」とのこと。サイクルクラブの近辺はアパレル系のデザイン事務所などが多く、そうした場で働く人たちや近所に住む主婦の人たちが打ち合わせやランチで使うことも多いといいます。

「自転車に乗っているとか乗っていないとか、『Rapha』のウェアを着ているとか着ていないとか、そういうことに関係なしに僕らと共感できる感性を持っている人なら誰でも出入りできるような空間にしたかったんです」

『Rapha Cycle Club Tokyo』について話す矢野さん

そう語る矢野さんは日本における『Rapha』のゼネラルマネージャー。その言葉のひとつひとつに『Rapha』というブランドの理念が感じられます。

『Rapha Cycle Club Tokyo』の販売フロアは地下。1階のカフェはコミュニティスペース。カウンターのモニタ―にはロードレースの映像が流れ、置いてある本なども自転車に関連しているものばかりですが、「パッと見はそういうイメージではないはずです」。この「半分はリテールスペースで、半分はコミュニティスペース」というスタイルは、5年前、『Rapha』が初めてロンドンにポップアップ=期間限定のスペースをつくったときから変わらないもの。つくりたかったのは「自転車に乗る人たちが集まるためのクラブハウス」とのこと。

「これは創業者のサイモン・モットラムのビジョンに沿うものです。もちろん商品を買っていただく場ではあるんですけど、来ていただいた方にはそれ以上の何かを提供したい。自転車が好きな人が集まって、話をしたり、ライブでレースを観たり、情報を得たり、あるいは一緒に走ったり、そういうゴルフ場のクラブハウスのような場をつくろうじゃないかとスタートしたのがこのサイクルクラブですね」

口コミで「気が付いたら満席」に

満席の店内

サイクルクラブが置かれているのはロンドンの他、マンチェスター、ニューヨーク、サンフランシスコ、シドニー、アムステルダム、そして大阪など。東京についてはまずは2011年に神宮前にポップアップを展開。「早く常設店を」という声に押され、2014年のオープンを迎えました。

矢野さんに訊くと、「実はオープンはもっと早い時期を予定していた」とか。それが遅れたのは「場所選び」にこだわったから。スペースを設けるからには自転車好きの人が自転車に乗って来やすい場所に。クラブライドなどのイベント開催などを考えると「土地勘」も必要。そこで候補に上がったのが、青山や原宿などの「東京の西側」でした。

「実はオープンを考え始めた2011年頃は東京のイーストサイドが来る来ると言われていた時期なんですね。そこで浅草なんかも検討してみたんですが、やはり最後は自分たちが知っているこのエリアになりました」

当初の予定よりも「1年3ヶ月遅れ」で見つけたのが、明治通りから一本入った閑静な住宅街にある物件。オープンは7月25日。目標としていた「みんなで『ツール・ド・フランス』を観る」は「最後の2日間だけ実現」。オープンしたてのクラブハウスで観る『ツール・ド・フランス』は格別なものだったことでしょう。

現在は『ツール・デ・フランドル』や『パリ~ルーベ』などの大きなレースの中継があるときはゴールとなる夜中まで満席状態になるという『Rapha Cycle Club Tokyo』。しかし、オープン当時の来客は「ポツポツ」。レースのライブ中継をやっても「お客さんはひとりだけ」といった状態だったこともあったとか。それが「気が付いたら満席に」になっていたそうです。

「ここまできたのは、口コミとこまめな情報発信のおかげですね。ひとりのお客さんが来てくれたのなら、たったひとりかと思わずに、そのひとりのお客さんに対してきちんとした対応をする。そうすることで、そのお客さんが次に来るときは友達を連れて来てくれるんです。巨額の投資をしているわけじゃないし、オープンしたからといって突然お客さんがわっと押し寄せてきたらそれはそれで自然じゃない。最初のうちはPatience(辛抱)が必要だよと自分たちにも言い聞かせてやっていました。もともと『Rapha』を日本で展開したときも同じような感じでしたし、自分たちの考え方を信じてやっていれば、それはいつか必ず伝わるはずだと思っていました」

海外のブランドである『Rapha』を日本に広めたのは矢野さんその人。8年前、創業者のサイモン・モットラム氏と出会ったことがきっかけだったといいます。サイクリストであった矢野さんは『Rapha』の考え方に共鳴。世界で14番目のスタッフとなって日本国内での『Rapha』の普及に努めてきました。

自分の道をさがそう!

サイクリングの様子サイクリングの様子

矢野さんが共鳴した『Rapha』の考え方とは、「ロードサイクリングを世界でもっとポピュラーなスポーツにしよう」といったもの。

「そのために最大限尽くす。これが『Rapha』のいちばん大事なもととなっている思いなんです」

目標とするのはサッカー。

「世界のナンバーワンスポーツといえばサッカー。それを超すことはたぶん無理です。でもそれを『夢』として、そこを目指していけば絶対に間違いではない。そうすると、必然的に、じゃあ自分たちは何をすればいいのか、これは成功だったのか失敗だったのか、という解答が見えてくるんですよ。『Rapha』の社員は300人。世界に拠点があるといっても小さな会社だし、資金にも限界がある。大手の広告代理店を使って宣伝はできない。そうなるとコツコツやるしかない。東京や大阪はともかく、地方に出るとまだブランド自体知られていなかったりする。まずはそのへんをこれからの課題にしてブランドを浸透させていきたいと考えています」

取り組みのひとつがサイクルクラブを「人の集まる場」にすること。とくに人気が高いのは、週末や平日の早朝を利用してのクラブライド。スタッフがライドリーダーとなって2時間ほど都内をサイクリング。もちろん、「ビギナーも大歓迎」です。

「『Rapha』にはもともと“ウエンズデーカンパニーライド”といって、水曜日の午前中は自転車に乗りましょう、という文化があるんですよ。普通の人でも平日の朝6時に集まって2時間で帰って来れば9時の出社に間にあいますよね。初心者の人だったらこういう平日のライドで慣れてもらって、そこから週末のビッグライドにステップアップしていただくといいんじゃないでしょうか」

『Rapha』の顧客でいちばん多いのは「乗り始めて5年以内」という人たち。ロードレースに参加しているような人は少ないといいます。

「僕たちもレースを観戦するのは好きだし、ときには出場もしますけれど、お客さんに提案する走り方は違う。レースに出れば偉いのではなく、それよりも週末にすごくおもしろい道を走ってみるとか、行ったことのない町に行ってみるとか、〈自分の道をさがしましょう〉といった走り方をおすすめしています。キーワードとしては〈アドベンチャー=冒険〉とか〈発見〉とか。とくに男の人だったら子どもの頃からのそういう感覚がまだ残っていると思うんですね」

追求しているのは日常的な自転車の楽しさ。そんな『Rapha』のポリシーは、むろん商品にも反映しています。

地下フロアのショップは『Rapha』の人気アイテムがずらり

サイクリンググッズ(帽子)サイクリンググッズ(ウェア)

地下1階のショップに並んでいるのは『Rapha』の全ラインアップ。創業時からのベストセラーであるクラシックジャージは今でもいちばんの人気商品。「『Rapha』=〈黒地に左腕の白いアームバンド〉といったイメージはこのジャージから来ています」と説明してくれたのは広報スタッフの小俣雄風太さん。ウールにポリエステルを少し混ぜた生地は「発汗性」がよく、しっかりとした素材感が「大人に好まれる」とか。コーナーの一角を占める「黒と青」のウェアは「『ツール・ド・フランス』でお馴染みの『チームスカイ』のジャージ」。そして、この日、矢野さんが着ていたのが「15分の1」をコンセプトにしたカッターシャツ。お洒落な柄のシャツはとてもサイクリング用には見えませんが、これも立派な『Rapha』の商品です。

「15分の1というのは、人間が1日に起きて活動している時間を15時間として、そのうち自転車に乗る時間を1時間と考えて打ち出したコンセプトです。自転車での通勤に往復1時間をかけるとしても、残りの14時間は乗っていないのですから、わざわざいかにもサイクルウェアといった見た目にする必要はない。自転車に乗るための伸縮性や速乾性などはきちんと確保して、そのうえでファッションウェアとして成り立つものに仕立ててみました。他にもポロシャツやTシャツを用意しています」

棚を見ると、ウェアの他にもオリジナルのマグカップや、パリやロンドンなど世界各都市の「サイクリングシティガイド」、「人気商品」だというシェービングクリーム、「クラブライドの際はスタッフがシグネーチャーとして巻いているシルクスカーフ」など、さまざまなアイテムが並んでいます。こうしたアイテムは「飛ぶように売れるわけではないけれど、『Rapha』が好きな人だったら喜んでくれる、すごく重要なラインアップ」だといいます。

「今はインターネットを使えば誰でも言いたいことが言える時代。そんな商品くらい自分だって考えていたよ、と誰かが言ったら聞こえちゃう時代ですよね。それでも、やるとやらないとでは大きな差がある。僕たちのような小さな会社は、やった、そしてやりつづけている、ということに自信を持たなきゃいけない。スタッフにもいつもそう言っています」

『Rapha』が目指す世界。後編ではさらに「深み」に迫り、SNSを駆使した具体的な活動や矢野さん自身の自転車ライフを紹介いたします。

Information

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『Rapha Cycle Club Tokyo』

2004年にロンドンで写真展を開催して始まったロードサイクリングウェアブランド。「ロードレースを世界で最もポピュラーなスポーツにする」ことをスローガンに掲げ、ロードレースやロードライドの魅力を伝えるイベントの開催やフィルム、写真での表現活動を行う。製品は全てオンラインストアで購入が可能なほか、東京と大阪に直営店Cycle Clubを構えている。