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2016 Feb.17
Topic on Dream ~夢に効く、1分間ニュース~ Vol.124

『哲学用語図鑑』編集者が選ぶ、
夢を叶えるために役立つ哲学用語3選

哲学用語図鑑

『これからの「正義」の話をしよう−いまを生き延びるための哲学』(マイケル・サンデル著/早川書房)、『14歳からの哲学 考えるための教科書』(池田晶子著/トランスビュー)といった本がロングセラーとなるなど、いま哲学が静かなブームとなっています。

そんな中、新たに注目を集めている哲学書が『哲学用語図鑑』(田中正人著、斎藤哲也編集/プレジデント社)。古代から中世、近世、そして現代に渡る哲学の歴史と、200近くもの哲学用語を図解したこの本は、2015年3月の発売以来版を重ね、10万部を超えるベストセラーとなっています。

今回は『哲学用語図鑑』に編集・監修として関わった斎藤哲也さんに、発刊の経緯と、夢を叶えるために役立つ哲学用語を教えてもらいました。

グラフィックデザイナーが哲学の本を作った?

『哲学用語図鑑』ではかわいらしいキャラクターたちが、古代から現代までの主要な哲学者たちとそれぞれの哲学論をわかりやすく解説しています。

“難解な哲学用語を図解する”という、これまでの哲学の入門書と異なるコンセプトのこの本は、どのような経緯で発刊されたのでしょうか。

実は、著者である田中正人さんの本職はグラフィックデザイナー。書籍の企画や制作などに携わりながら、この『哲学用語図鑑』の企画を温めてきたといいます。

田中さんの実家には、お祖父さんが所蔵する大量の洋書や哲学書があり、他の人よりも少し身近に哲学を感じていたとのこと。哲学の考えかたに出会った時の驚きを可視化したいと、今回の書籍を企画したそう。

しかし、「グラフィックデザイナーが哲学書を書く」というのは前代未聞のこと。その企画を実現するため、必要な図やテキストを日頃から書き進めていたのだといいます。編集者の斎藤さんが『哲学用語図鑑』の打ち合わせに参加したときには、すでにかなりの数の図やテキストが用意されている状態でした。

「これはもうぜひ関わらせてほしい!」。田中さんが描いたイラストを見たとき、斎藤さんはすぐに仕事を引き受けたと言います。こうして、“難解な哲学用語を、図解する”というユニークな本が生まれることとなったのです。

夢を叶えるために役立つ哲学用語3選

今回は『哲学用語図鑑』のなかから、斎藤さんに夢を叶えるために役立つ哲学用語を3つ選んでもらいました。

イドラ

イドラ 図解
画像引用:『哲学用語図鑑』田中正人著、斎藤哲也編集/プレジデント社/102頁

イドラ…ラテン語で「偶像」の意味。英語の「idle(アイドル)」の語源。イギリスの哲学者フランシス・ベーコン(1561~1626)は著書『ノヴム・オルガヌム—新機関』の中で、思い込みや偏見、先入観といった正しい認識を妨げる要因のことを「イドラ」と名付け、特に人間が陥りやすい4つのイドラを指摘した。

「夢を追うのはいいけれど、その夢に『思い込み』や『偏見』が混じっていないかどうか、よく注意したほうがいいでしょう。

ベーコンが指摘した4つの『イドラ』は次のようなものです。

『種族のイドラ』:人間という種族そのものに備わった感覚による偏見。
『洞窟のイドラ』:生育環境で身に付いた狭い視野がもたらす偏見。
『市場のイドラ』:人々が集まる『市場』で交わされるうわさ話や聞き違いなど、伝言ミスによって生じる偏見。
『劇場のイドラ』:著名人や権威のある人の言葉を盲信することで生じる偏見

夢を追うつもりが、これらの『イドラ=思い込み』によって、夢を『追わされて』いないか、自分の願望や欲望を見直すときに、思い出してほしい言葉です」

プラグマティズム

プラグマティズム 図解
画像引用:『哲学用語図鑑』田中正人著、斎藤哲也編集/プレジデント社/219頁

プラグマティズム…物事が真実であるかどうかを“経験の結果”によって判断する哲学的態度。アメリカの哲学者チャールズ・サンダース・パース(1839~1914)が提唱し、彼の友人である哲学者ウィリアム・ジェイムス(1842~1910)が「実用主義」として発展させた。また、哲学者ジョン・デューイ(1859~1952)は、知識自体には価値がなく、人間にとって有用な道具でなくてはならないと考える「道具主義」として発展させた。

「『プラグマティズム』は『実用主義=実生活で有用な知識こそが真理とする考え』と訳されることが多いのですが、思想的にはもっと深い意味をもつ言葉です。理想や理念を持つのはいいことですが、その理想や理念が価値あるものなのかどうかは、それらにもとづいて“行動した結果”から判断されなければいけません。

この考え方によれば理想や理念は絶対のものではなく、失敗すればその理想や理念を修正すればいいのです。その意味でプラグマティズムとは、『トライ&エラーの思想』といってもいいでしょう」

超人

超人 図解
画像引用:『哲学用語図鑑』田中正人著、斎藤哲也編集/プレジデント社/219頁

超人…ドイツの哲学者フリードリヒ・ニーチェ(1844~1900)は、人類共通の目標はもはや存在せず、そのため人々は目標に向けて生きる力を失い、ただ円環運動する時間の中で生きざるを得ないと考えた。ニーチェはこのような状況を「これが生きるということか。ならばもう一度」と肯定的に受け入れ、既存の価値にとらわれず自らの意思で行動し、新たな価値を生みだす人間のことを「超人」と呼んだ。

「たしかにニーチェは『超人』を評価していますが、実はニーチェ自身は『超人』の具体的なイメージは語っていません。彼は『超人』すらも、決まりきった目標のように受け取られてしまうのがイヤだったのではないでしょうか。

他人が決めた目標に従うのではなく、『一人ひとりの人間が自分なりの生き方を見いだし、周りの空気に左右されることなく、創造的に生きよう!』というメッセージが、この『超人』という言葉には込められているような気がします」

悩んでいたり、問題に直面したりしているときに、哲学用語が課題解決のヒントになることがあります。みなさんも夢に悩んだときは、今回ご紹介したような哲学用語を思い返してみてはいかがでしょうか。