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2016 Jun.10
Topic on Dream ~夢に効く、1分間ニュース~ Vol.138

難解そうな現代アートを初心者が楽しむ5つのコツ

アート鑑賞をする女性の後ろ姿

景色も気候もすっかり暖かくなり、自然と外へ出かけたい気持ちになるこの季節。たまには美術館に足を運んで普段とは違う新しい世界に出会ってみませんか?

「普段から絵画なんて見ないし、芸術はハードルが高そう……」。そんな人にあえておススメしたいのが“現代アート”。「何かと難解に見られがちな世界ですが、実は現代アートこそ初心者が楽しむのにうってつけです」と語るのはアートライターの藤田令伊さん。『芸術がわからなくても美術館がすごく楽しくなる本』などの著書がある藤田さんに、初心者でも楽しめる現代アートを鑑賞するコツについて伺ってみました。

現代アートとはどんなもの?

まずはその前に、現代アートと聞いて何を思い浮かべるでしょうか。真っ白なキャンバスに絵の具をグチャグチャに塗りたくったような絵画やゴミを集めただけのようなオブジェ。まるで子供がいたずらで作ったようなものが芸術として扱われ、何億円もの価値が付く世界?

1917年に“現代アートの父”といわれるマルセル・デュシャンによって衝撃的な作品が発表されました。「泉」と題されたその作品はサインを書き入れた男性用小便器がぽつりと置いてあるだけ。その小便器はデュシャンが作ったものですらなく、工場で大量生産されているただの便器だったのです。この作品は当時「こんな物がアートか」とたいへんな物議をかもしました。

現代アートはなぜ難解なのか?

アート鑑賞をする女性

何とも理解し難い現代アートの世界。どうしてこうも難解な作品ばかりなのでしょうか?その問いに藤田さんは「現代アートとは現実からかい離した芸術世界だからです」と答えます。

「伝統的な芸術作品は、風景や人物などの題材にどれだけ似せて作れるかというリアリティを追求します。それに対して現代アートは、現実から決別し、現代アートの世界それ自体を探求するようになっていったという歴史があります。現実からどんどんかい離していくわけですから、見たこともない表現になっていくのは当然といえば当然の結果なのです。また題材にするテーマも、風景画や人物画が景色や人を対象にするのに対して、現代アートは概念や思想といった抽象的で実体のないものを表現することがあり、なおさら現実離れしてしまうのです」

さらに、現代アートが難解に見られる理由として作品の自由さがあると藤田さんは言います。

「伝統的な芸術ですとルネサンスやバロック、ロココなどその時代の美術様式に則って作品を作って競い合ってきた面がありますが、現代アートの場合はこれが作者ごとにてんでばらばら。つまり共通のものさしがないわけです。これが難解さに輪をかけている理由だと思いますね」

現代アートが面白くなる5つのコツ

美術館と作品

そんな難解で敬遠されがちな現代アート鑑賞が、ちょっとしたコツでアッと面白くなる裏技があるのだそうです。その5つのコツを藤田さんに伺いました。

①間違ってもいいと開き直る

日本人は非常に真面目な性格なので間違うことを恐れてしまいがち。でも、普通の人にとってアートは「研究」するものではなく「鑑賞」することを楽しむもの。間違っていても構わないのです。

「作者の意図の通りに見ないといけないと思っている人がよくいるのですが、見る側は別に作者の意図と全然違う見方をしても一向に構わないのです。構えすぎずに心を解き放って美術館に足を踏み入れてください」

②とにかく楽しむ

現代アートの作品を前にしても、何が表現されているのかさっぱり分からないと感じる人が多いでしょう。藤田さんによれば「分からないと感じた瞬間にシャッターを下ろしてしまうのはもったいない。よく分からないけれど何か面白いという気持ちで十分」なのだとか。「現代アートを鑑賞するコツは自分がどれだけ楽しめるか」と藤田さん。

③なぜと問いかけてみる

そうはいっても、コンクリートの柱がぽつんと立っていたり、鉄板の上に石が置いてあるだけだったり、何だかよく分からない作品が多いのも事実。そんな難解で意味不明な作品に出会った時に有効なのが「なぜと問いかけてみる」ことなのだそうです。

「鉄板の上に石が置いてあるだけの作品なら、なぜ石なんだろう?なぜ作者は木じゃなくて鉄板にしたんだろう?そうやって一歩踏み込んで考えてみることが作品に向き合うとっかかりになるんです」

問いかけたら、自分なりの答えを出しましょう。もちろん作者の意図と違っていても気にする必要はありません。「自分なりの答えを見いだすことで、自分にとってのその作品の価値や鑑賞した意味が生じてきます。それが大事なんです」と藤田さんは言います。

④藤田式「仮定鑑賞法」で見てみよう

藤田さんが提案する仮定鑑賞法。それは、この作品がもしこうだったらどう見えただろうと想像してみる見方です。

「たとえば3本の黒い棒がただ立っている作品があったとします。そこで、これがもし1本だったらどういう風に見えただろう?いや、5本だったら?黒じゃなくて赤い棒だったら?そうやって作品の違う姿を頭の中でイメージしてみるんです。すると実際の作品がどうしてこうでなければならなかったのかが段々と分かってくることがあります」

「棒が1本だったら寂し過ぎるから、作者はそれを嫌ったのだろうか」とか、「赤だったらエネルギッシュ過ぎるから、黒にすることで落ち着いた感じを表現しようとしたのかもしれない」など、作品の別の状態を仮定して実物と比べてみることで、自分なりの作品の解釈を見いだすことができるのだそうです。

⑤「未知との遭遇」を楽しもう

人は普段自分にとって馴染みのない物事には、自分の範疇じゃないと拒絶してしまいがち。でも、藤田さんは「未知なものだから出会う意義があるんです」と断言します。

「そもそも芸術鑑賞とは、新たな価値観に気づいたり、今までにない感性に触れたりすることで、新しい自分に出会うことが醍醐味です。知っている物を何度見ても、そこから広がりは生まれてきませんよね。今までの人生で見たこともない作品と出会うことは、自分の中に新たな視野やセンスを獲得するチャンスなんですよ」

文・関 淳一

Information

藤田 令伊(ふじた れい)

アートライター。「見る」側の立ち位置を大切にして、アートの愉しみを広めるべく精力的に活動中。雑誌や新聞などで執筆を行なっているほか、大正大学文学部にて非常勤講師を務めている。著書に『現代アート、超入門!』『芸術がわからなくても美術館がすごく楽しくなる本』など。

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