特集
2016 Jan.27
Topic on Dream ~夢に効く、1分間ニュース~ Vol.121
憧れの「クラシックコンサート」。
初めて行く前に知っておきたい基本知識

クラシックコンサートに行ってみたいけれど、敷居が高いイメージがあり、ためらっている方もいるのではないでしょうか。
そんな方のためにクラシックコンサートの選び方や気をつけたいマナー、事前に勉強をしておくべきこと、そして2016年オススメのクラシックコンサートを、All About「クラシック音楽」ガイドの大塚晋さんに聞いてみました。
今年こそ、憧れのクラシックコンサートデビューをしてみませんか?
クラシックコンサートは伝統的音楽の「生音」を楽しむ場所
そもそもクラシックコンサートとはどのようなものなのでしょうか。
「クラシックコンサートは、西洋の伝統的なクラシック音楽を楽しむ場です。ピアノ、オーケストラ、オペラなど、いくつかの形式はありますが、最大の特徴はアンプやマイクを使わないこと。生音で人をノックアウトできるような、超絶技巧を持ったプロフェッショナルの演奏や声を間近で聴く臨場感が、その醍醐味ですね」
初心者にオススメなのは「オーケストラ」
ピアノ、オーケストラ、オペラ……。クラシックコンサートにはいくつかの種類があるそうですが、あまり音楽に詳しくない初心者は、まずどれを選べば良いのでしょうか。
「最初はオーケストラがオススメ。ピアノに比べて楽器も多彩で音量が大きく、音色がカラフルなので飽きにくいです。演奏時間もオペラは3~6時間と長いですが、オーケストラは2時間で、間に15分の休憩が入るものが多いですから、ちょうど良い長さだと思いますね」
公演情報は「WEBぶらあぼ」や、「音楽之友社コンサート・ガイド」などのサイトで得られるそう。最寄りのコンサートホールのHPや無料冊子でも、公演情報はチェックできます。
また、オーケストラのコンサートで演奏する管弦楽団は、日本のものと海外のものがありますが、どちらを選べばいいのでしょうか。
「海外のオーケストラは値段も高いだけあり流石に良いことが多いですが、まずは料金の安い日本の管弦楽団のコンサートがオススメ。地方に住んでいるのであれば、ネットで『町名+オーケストラ』で検索して、街の楽団を探してみるのも良いですよ」
オーケストラの公演は1曲構成だと長いので、最初は休憩のある3曲構成のものが良いそう。また、曲はチャイコフスキーやドヴォルザークのものがオススメだとのことです。メロディーがハッキリしており、楽器が多彩なうえ、『白鳥の湖』、“家路”で知られる『交響曲第9番 新世界より』など日本人に馴染みがある曲が多く、入門編にピッタリなのだとか。
クラシックコンサートは「2階正面前寄り」の席がベスト
いざチケットを取るとなると、気になるのが席の場所。席はだいたい4~5ランクに分けられているようですが、初心者はどこに席を取るのが良いのでしょうか。
「どこの席も、その場所なりの良さがあるので一概に善し悪しは言えないですが、一般的に良いとされているのは2階正面の前寄りでしょうか。天皇陛下がご覧になる際もその場所に席が用意されています。料金が高めですが、全体を見渡すことができ、音のバランスが良いですよ」

逆に初心者にオススメできないのが、ステージ全体が見えず、音が均等に聴こえづらい「1階前列」と、「一番後ろの席」。中央より後ろの席になると、音が遠くなるためだそう。
また、後ろ寄りの席になったときには、オペラグラスや小さい双眼鏡を持っていくと、オーケストラを良く見ることができて便利だそうです。
クラシックコンサートに行く前に曲を予習しよう
さて、いよいよ行くコンサートが決まったら、事前に曲を予習することが欠かせません。
「演奏される曲の展開を知っていると、コンサートでも飽きないものです。そしてCDなどと聴き比べることによって、曲のテンポや強弱の違いを楽しむことも、コンサートの醍醐味なんです。たとえば、CDでは聞こえなかったホルンの音がコンサートでは聴こえるなど、新しい発見があるものですよ」
また、ストーリーがある曲もあるそう。たとえば、ベートーヴェンの交響曲第6番『田園』には“雷雨”の場面があります。そのことを事前に知っておくと、表現をより楽しむこともできると大塚さんは言います。
さらに、曲が作られた年代や作曲家の生涯などの背景を調べておくと、より深く曲の世界に浸れそうですね。
服装はフォーマルすぎない程度に
いざクラシックコンサートに行くとなったら、おそらく一番気になるのは服装のマナーでしょう。タキシードやドレスなど、きちんと正装をして行かなければならないのかと思いきや……。
「実は服装は、そこまできちんと正装をしなくてもOKなんです。コンサートホールをレストランだと思ってみてください。お客さんは技術の高い演奏、たとえるならフルコースを楽しみに来ているので、それに水をささずに一緒に楽しめるような服装を意識すれば大丈夫です。かといってガチガチなフォーマルではリラックスできませんので、カジュアルすぎない、おしゃれなフォーマルくらいが良いと思います」
男性なら、ノーネクタイでジャケットスタイル。スーツでもOK。女性もドレスはやりすぎ感があるので、ワンピースやオフィスカジュアルで良いそうです。しかし、さすがにTシャツは避けたいところ。サンダルは論外だそうです。
「大人の世界なので誰もとがめないのですが、逆に自分が楽しめないと思います。フレンチレストランにTシャツとサンダルで行っても、気後れしてしまって楽しめないのと同じです」
また、帽子は後ろの人が見えにくいためホールでは脱ぎましょう。香水もほどほどに。席が広くないのでコートや荷物はクロークに預けることも大切です。
クラシックコンサートでは、音を立てることが最大のマナー違反
服装以外のマナーで気をつけたいマナーはなにがあるでしょう。
まず遅刻は厳禁だそう。クラシックコンサートは演奏中の途中入場ができません。なぜなら、音を立ててしまうことが一番のマナー違反だからです。
「咳は仕方ないですが、咳を止めようとするために飴の袋を開けようとするなどして、カサカサした音をたてるのは良くないですね。また、コンサートの時間帯は19~21時が多いため、お腹が鳴ってしまうことも。ですので、開演前に軽く食事をしておくと良いでしょう。女性のイヤリングも音が出る場合は外した方が良いですね」
ホールで配られる解説冊子を演奏中にめくって見るのも、音がするのでNG。ちなみに、演奏中に席を立つのはマナー違反ですので、お手洗いは先に済ませておきましょう。

また、もう一つ気をつけたいのが拍手のマナーです。
「初めてクラシックコンサートに行かれる方ほど、熱い演奏に感動して演奏終了に合わせて拍手をしてしまうのですが、これは余韻を消してしまいます。曲によっては、終わったと見せかけてまた始まるものもありますし、4曲セットの交響曲の曲間は拍手しないというルールがあるので、必ず誰かが拍手してから拍手をしてください」
2016年に行くべきクラシックコンサート
さて、知識やマナーを学んだところで、2016年に行くべき大塚さんオススメの演奏会を紹介します。
- ① ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン
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「有楽町にある国際フォーラムを中心にGW期間に開催。料金も安く、時間も45分程度と短いので初心者にオススメの音楽祭です。フリーのコンサートもあり、たくさんの演奏を聴くことができます。今年は野外会場『日比谷野音』でオーケストラ演奏を楽しめるという初の試みも!」
- ② NHK交響楽団 定期公演
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「今、日本のオーケストラが注目の指揮者を正式なポストに呼んで話題となっています。2015年9月から世界的指揮者パーヴォ・ヤルヴィが首席指揮者に就任したNHK交響楽団の定期公演は、訪れる価値があるでしょう」
- ③ 東京フィルハーモニー交響楽団 定期演奏会
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「1987年生まれの若手ながら、熱い演奏で人気のアンドレア・バッティストーニが2015年、首席客演指揮者に就任した東京フィルハーモニー交響楽団の定期演奏会も見逃せません」
- ④ ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 来日公演
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「世界三大オーケストラのひとつであるベルリン・フィルハーモニー管弦楽団が5月に来日公演を行ないます。本場の演奏を味わってみたいという人にはオススメです」
- ⑤ ウィーン・フィルハーモニー ウィーク イン ジャパン2016
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「また10月にはウィーン・フィルハーモニー管弦楽団が来日し、公演を行ないます。こちらでも本場の演奏が味わえるでしょう」
さぁこれで、初めてのクラシックコンサートに行くための基礎知識はバッチリ! 2016年こそは、ちょっとオシャレをして、初めてのクラシックコンサートに出かけてみてはいかがでしょうか。
Information
- 大塚晋
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All About「クラシック音楽」ガイド。クラシック音楽専門誌の編集をはじめ、多数のクラシック音楽に関する仕事に携わる。「クラシックは新鮮でオシャレで楽しいもの」ということを伝えるために活動している。