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2018 Apr.20
SURUGA Cycle Journal Vol.23

自転車で知ろう!静岡の魅力
マルコ・ファヴァロ氏と走る久能海岸・三保松原

自転車で知ろう!静岡の魅力 マルコ・ファヴァロ氏と走る久能海岸・三保松原

2020年東京オリンピック・パラリンピックで自転車競技開催地の静岡県。世界文化遺産である富士山をはじめ、伊豆半島や浜名湖や南アルプス、山と海に恵まれた静岡県はサイクリストにとって憧憬の地です。県内にはサイクリングに適したコースが無数に存在します。今回はイタリア人ジャーナリストでサイクリストのマルコ・ファヴァロさんをゲストに、静岡市内を巡るショートサイクリングとセミナーを実施。静岡県の魅力と、自転車イベントが持つ地方創生の可能性に迫ります!

静岡市内の国宝と世界文化遺産を訪ねて

日本とイタリアおよびヨーロッパのサイクリング事情に詳しく、また、ジャーナリストやプロレーサーの通訳者として活躍するマルコさんは『L’Eroica(エロイカ)・ジャパン』や『フェッロ・マリ・エ・モンティ』、『東京ビンテージライド』などのサイクリングイベントの企画を手がけています。イタリアでは自転車イベントやレースによる地方の活性化が非常に盛んであり、マルコさんいわく「静岡県は、海、山、文化、美味しいもの、何でもそろっていてサイクリングにぴったりの場所」だといいます。この日のイベントは静岡県とスルガ銀行ロードバイクプロジェクトの共催。静岡県サイクルスポーツ競技会や、イタリア大使館の協力や後援も得て開催されました。

当日朝、スタート地点の『もくせい会館』に集合したのはマルコさんをはじめとする約20人のサイクリスト。


2グループに分かれて「もくせい会館」をスタート。

最初に目指すのは、久能山東照宮です。国宝である神社は、晩年をこの地で過ごした徳川家康を祀っています。

まずは静岡駅に近い市街地から、駿河湾に面した久能海岸へと出発。約5kmも走れば国道150号線です。

海沿いの国道に出たあとは、右手に青い海、左手にこの地域に約50軒あるというイチゴ農家を見ながら久能山へと走ります。海岸線を4~5km走って、久能山下の信号を左折すると東照宮の参道です。

久能山東照宮の山の上から、駿河湾を臨む
久能山東照宮の山の上から、駿河湾を臨む

家康公を祀る国宝の御社殿に行くには反対側の日本平からロープウェーを使うコースが一般的ですが、久能海岸側の一ノ鳥居をくぐって1,159段の階段を上がれば参拝することもできます。この日はサイクリングがメインということで東照宮には参拝せず、鳥居の前で記念撮影。

久能山東照宮の一ノ鳥居前
久能山東照宮の一ノ鳥居前

そのあとはイチゴ果樹園の久能園を訪問し、旬のイチゴ狩りを体験させてもらいました。


サポートライダーの静岡ガス&パワー(株)の金子さんと

久能海岸をそのまま北へ走れば三保松原です。約7kmの海岸に3万本の松が並ぶ三保松原は、富士山世界文化遺産の構成資産に登録されています。ここから眺める富士山は、いまやユネスコも認める絶景。ビューポイントである羽衣公園にある「羽衣の松」は「天使が羽衣をかけた」という伝説があります。

お天気がよければ、後ろに富士山の姿が写るはずが・・・残念でした。
お天気がよければ、後ろに富士山の姿が写るはずが・・・残念でした。

三保松原の次の目的地は、清水港を挟んだ江尻桟橋。ここでは参加者の一部が三保桟橋から対岸の江尻桟橋とを結ぶエスパルスドリームフェリーの水上バス『ちゃり三保号Ⅱ』を利用。1日13便ある水上バスは、自転車の積載が可能です。

三保桟橋から水上バスで江尻桟橋へ。自転車をそのまま積載できます。
三保桟橋から水上バスで江尻桟橋へ。自転車をそのまま積載できます。

江尻桟橋に全員が合流したところで、向かうは近くにある『興津坐魚荘』です。こちらは明治・大正期に総理大臣を務めた西園寺公望の元別邸。復元された京風数寄屋造りの邸内は見学可能で、お団子やお抹茶がいただけます。


手入れの行き届いた興津坐魚荘の庭で、一休み

四季の草花が楽しめる静かな空間はサイクリング中の休憩にも最適。「古い日本家屋は住んだこともないのに、ノスタルジックな気分にさせてくれるものですね」とマルコさん。建物内を隅々まで見学していました。

しばし「和」テイストを楽しんだ一行は、ふたたび市街中心部へ。

時刻は正午過ぎ。全行程54km(水上バス利用者は45km)のサイクリングは『もくせい会館』でゴール。全員、事故もなくサイクリングを楽しむことができました。

伊豆半島、富士山から浜名湖まで、
充実した静岡のサイクリングコース

静岡のいいところは、市内中心部からほど近い場所に国宝や世界遺産、海岸線を走るコースなどがあるところ。もちろん、県内には他にもおすすめのサイクリングコースが目白押しです。

東部・伊豆エリアは、富士山麓や伊豆半島の自然を満喫するダイナミックなコース。

御殿場から臨む富士山
御殿場から臨む富士山

今回走った久能海岸や三保松原を含む中部・志太榛原エリアは、駿河湾からの富士山や静岡ならではの茶畑、大井川や南アルプスなど、海と山、歴史文化に触れられるコースが魅力。

日本の原風景ともいえる田園地帯が広がる中東遠エリアは、県内でもフラットな地形で初心者でもサイクリングが楽しめるコース。

そして浜名湖や天竜川のある西部エリアでは水辺でのサイクリングが楽しめます。嬉しいことに各エリアともレンタサイクルが充実。観光のついでに気軽にサイクリングを楽しむことができます。

静岡県では静岡の魅力を発信する観光ポータルサイト『Hello Navi Shizuoka』内にサイクリング情報サイトを開設。サイト内では上記のコース案内の詳細や充実したレンタサイクル情報などを提供しています。

「Hello Navi Shizuoka」のSHIZUOKA  CYCLINGページ
「Hello Navi Shizuoka」のSHIZUOKA CYCLINGページ

イタリアでは自転車イベントで地方が活性化している

サイクリングイベントのあとは、d-labo静岡にてマルコさんによるセミナー『自転車が地域を救う! ~レースの歴史から地域活性化のヒントを考える~』を開催。セミナーではヨーロッパから始まった自転車や自転車産業、自転車競技の歴史、なかでも代表的レースである『ツール・ド・フランス』と『ジロ・ディタリア』誕生にまつわる物語、第二次世界大戦後のイタリアで「復興のシンボル」となった自転車競技の社会的役割や現代に至るまでの隆盛などを紹介。後半は「地域活性化における自転車の活用」についてお話いただきました。

「ともに地方が過疎に悩んでいるという点で日本とイタリアは似ている」というマルコさん。違うのは、過疎対策としてイタリアでは自転車が活用されているところです。

「イタリアの地方では、自転車イベントを開催して人を呼んでいます。日本と異なる点は、そのほとんどがサイクリングイベントやグルメライドではなく、タイムや順位を争う市民レースとして開催されることです。たとえば世界遺産のドロミテを舞台とした『マラトーナ・ドレス・ドロミテス(ドロミテ・グランフォンド)』の参加者は1万5,000人。テレビで生中継もされるサイクリングマラソンは、日本で言えば『箱根駅伝』のような人気を誇っています。駅伝と違うのは、一般の市民が参加することです」

イタリアでは、ドロミテだけでなく国内各地でこうしたグランフォンド(大会)が年間150も開催されています。イベント中は自治体や警察の全面的協力のもとに道路を封鎖。こうしたことが可能なのは、何よりも「地域の理解があるから」だと言います。ヨーロッパでは昔から自転車を使った観光や自転車競技が盛んでした。と同時に、地方にとって自転車イベントは地域を活性化させてくれるツールでもあります。

「たとえば、私が関わっている『L’Eroica』というサイクリングイベントは、イタリアの中でも〈過疎化の三角地帯〉と呼ばれるキアンティ地方で開かれています。しかし、このイベントを始めてから、1年を通じてサイクリストが増加し、周辺の村や町の人口が増えました」

『L’Eroica』の特徴はあえて古い自転車(ヴィンテージバイク)に乗って、昔ながらの砂利道を走ろうという点。これが人気を呼び、毎年多くのサイクリストが6,000人の参加枠に応募してくるといいます。

開催地のガイオーレ・イン・キャンティは人口1,100人。町ではこれに応じて周辺の農家が民泊を始めたり、ホテルやレストランが開業したりと観光産業が活性化してきています。

「イベント開催期間の3日間の経済効果は2億円。このほか、町には1年を通じて『L’Eroica』のコースを走りたいというサイクリストが訪れます。経済効果は1年でだいたい6億円になります」

魅力的なサイクリングコースがあれば人は集まる

女性の参加者も増えてきている「L’Eroica」。開催時期には参加者と併わせて約2万人以上が押し寄せる。
女性の参加者も増えてきている「L’Eroica」。開催時期には参加者と併わせて約2万人以上が押し寄せる。

地域に経済的貢献をもたらしてくれる自転車イベント。もうひとつのメリットは「美しい街並みの保存」です。

「日本の皆さんはイタリアの町というと綺麗だと思われているかもしれません。しかし、実はそうではありません。イタリアも一時期は石畳の道路をアスファルトにしていましたし、ファシスト政権から戦後復興、1980年代の第二次高度経済成長期にかけて風情のある街並みは壊されて高層マンションが多く建ちました」

『L’Eroica』が開かれるシエナ県も例外ではなかったといいます。が、それを変えたのが『L’Eroica』でした。シエナ県では古き良きイタリアの田舎を求めてやって来る人たちのためにアスファルトの道をもう一度砂利道に戻し、古い町並を再現しました。

壮大な景色を愉しめるが、傾斜のきつい坂あり、砂利道が半分以上ありパンクは当たり前。コースの誘導員もいなければテクニカルやメディカルサポートもなし。頼るは自分のみ。
壮大な景色を愉しめるが、傾斜のきつい坂あり、砂利道が半分以上ありパンクは当たり前。
コースの誘導員もいなければテクニカルやメディカルサポートもなし。頼るは自分のみ。

こうした動きはイタリア中へ広がり、なかには廃村となっていた村が美しいリゾート地に生まれ変わった例もあるといいます。

「イタリアには人口5,000人以下の自治体が多くあります。日本で言う限界集落のような村も少なくありません。政府や自治体はそうした過疎の地方を救うために何をしているか。まずサイクリングロードを整備しています。魅力的なサイクリングコースがあれば、人が集まってきます。そこでイベントを開けば、イタリア人は家族で楽しみにやって来ます。大勢の人がそこを訪れてお金を落としてくれます。

ホテルやレストラン、土産物店、ガソリンスタンドで働く人が増えます。とくに若い人には割安の家賃で家を貸しています。すると人口が増えて、町や村が若返ります」

同じことが日本でもできないだろうか。たとえば、ここ静岡県でもそれは可能なのか。マルコさんは、「可能性は十分にある」と語ります。

「もちろん、そのためには住人の理解を得ることが大事です。自転車は空気を汚さない素晴らしい乗り物ですが、イベントを開くとなるとやはり道路封鎖などで地域の人たちに負担がかかります。しかし地域の負担以上に得られるものが大きいということ、具体的にこうした自転車の取り組みを行なうことにより経済効果が生まれ地域が活性化していくことを説明し、理解してもらうことが大切です。」

セミナーは約70人に参加いただきました。
セミナーは約70人に参加いただきました。

マルコさんが見るところ、自転車を取り巻く日本の社会は「ちょうど転換期にある」と言います。

「イタリアには長い歴史の中で自転車を尊敬する文化が根付いています。しかし、日本にはまだそれはない。道路を見ても自転車と車が共存しているとは言えません。日本がイタリアのようになるには、あと10年、20年とかかるかもしれません。まずは自転車の魅力を多くの人に知ってもらうこと。そのためには乗ってみるのがいちばんです。静岡県のように広くて、浜名湖から伊豆半島まですばらしいルートがたくさんある県が、その役割を果たしてくれることを期待しています」

静岡県文化・観光部 スポーツ局スポーツ振興課
吉住さんから“ヒトコト”

今回、スルガ銀行ロードバイクプロジェクトとの共催で、マルコ・ファヴァロさんを静岡にお迎えし、イタリアの自転車文化や自転車を通じた地域活性化を学ぶ貴重な機会が実現しました。

自転車イベントにより過疎化地域が人口増加に転じたり、行政が支援して文化的価値を持つ古い建造物をサイクリスト向け宿泊施設として活用したりするなど、マルコさんの故郷イタリアでの事例が数多く紹介され、静岡県が自転車関連施策を進めるうえでのヒントもたくさんいただきました。

セミナーの会場では、多くの方々がマルコさんの話に熱心に聞き入り、「イタリアのような自転車環境を実現するにはどうしたらいいのか?」という質問も出るなど、自転車を通じたまちづくりに、県内愛好家の方々が高い関心を持っていることも改めて認識し、心強い気持ちです。

静岡県は東京2020オリンピック・パラリンピック自転車競技会場となり、これを好機に、大会後も国内外から多くのサイクリストが訪れ交流する地域づくりに取り組んでいます。

今回、d-labo静岡で行なわれたセミナー等を通じて、「サイクルスポーツの聖地づくり」という夢に向け、スルガ銀行さまを始め、自転車を通じた地域活性化に携わる県民の方々と一緒に、素敵なひとときを過ごすことができましたことに、心から御礼を申しあげます。

担当者からの“ヒトコト”
(スルガ銀行ロードバイクプロジェクト 鶴見由紀)

ヨーロッパで自転車が誕生して約200年。日本でも1900年代初期から貴重な乗り物として生活に入り、広く普及していきました。1960年以降のモータリゼーションにより衰退が懸念された自転車でしたが、「エコ」「シェア」などのキーワードのもと、今では自転車通勤やコミュニティサイクルが大いに注目を集め、身近で愛着のある乗り物となっています。また、各地で自転車の大会が数多く開催されるようになり、スポーツとしてのサイクリングも広がりをみせています。

今回のイベントではマルコ・ファヴァロさんに久能海岸、三保松原、興津の静岡市内の見どころを楽しんでいただいた後に、自転車による地域活性化について、参加者の皆さんと一緒に考えるセミナーを開催しました。

イタリアでの自転車の誕生とその歴史、クラシックレースやグランツールの誕生、そしてヴィンテージバイクによる世界最大のサイクリングイベントである「L’Eroica(エロイカ)」についてお話いただきました。

未舗装道路や急な坂道も多いコース設定で、完走に苦労する「L’Eroica」の開催地には、毎年世界中のサイクリストが押し寄せます。大会では当せんした者しか参加できないため、大会以外の期間にもこの「L’Eroica」のコースを走りにくるサイクリストは多く、開催地となっている小さな町では人口以上の観光集客を実現しています。サイクリストを魅了しているのは、イタリアトスカーナ州の厳しい景観条例に守られた美しい街並みと景色。「L’Eroica」が起こしてくれるサイクルツーリズムの波は、イタリアに留まらず世界各国に開催地を増やし、大きくなっています。

静岡は首都圏からアクセスも良く、サイクリングにも適し自然環境も豊富な土地です。マルコさんのお話から得たヒントをもとに、静岡県の特色を生かしたサイクルツーリズムの推進をしていきたいと思います。

Information 1

Hello Navi Shizuoka/SHIZUOKA CYCLING

静岡県の旬な観光情報をお届けする『Hello Navi Shizuoka』内にあるサイクリング情報。県内各地のおすすめコースやレンタサイクル情報、自転車で利用可能な鉄道、バス、フェリー等について紹介しています。

久能山東照宮
久能園
三保松原
エスパルスドリームフェリー
興津坐魚荘記念館

Information 2

ロードバイク購入ローン

西は浜名湖から東は伊豆半島まで、県内のどこを見ても走りたくなるようなコースがいっぱいの静岡県。どうせなら乗り馴れた愛車で訪れてみたいものですね。そこでおすすめなのが、スルガ銀行のロードバイク購入ローンです。自転車本体の購入はもちろん、ライドイベントの参加費用、サイクルウェア、フレームやホイールなどのパーツ類など、自転車にまつわるすべてのものにご利用いただけます。年利は一般的なクレジットカードのリボ払いや分割払いよりもお得。返済は最長120回。ご自分に合った返済プランを組み立てることが可能です。

スルガ銀行サイクリングプロジェクト

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