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新たなチャレンジ、ブランドの立ち上げを経験

Organ店内バッグ

 『HERZ(ヘルツ)』に勤めて3年ほどが経過すると、もう一つの転機が訪れることに。

「展示会に出展することになったのですが、その際に『HERZ』の定番だけでなく、異なる表情や素材感を持つ新しいラインナップを発信しようということになったんです」と、『HERZ』から派生した新たなブランド、『Organ(オルガン)』を立ち上げることになりました。

「自然な経年変化や使う人の歴史がにじみ出るなど、革製品にはたくさんの魅力がありますが、“素材そのものの個性”もまた魅力の一つです。“丈夫で永く使う人のパートナーとなる”という『HERZ』の哲学は受け継ぎながらも『Organ』では、柔らかな表情を持つイタリアの革をメインに使用し、素材をシンプルに生かすデザインを心がけています」

 製品の最も基本となるのは、男の人がスーツを着て持ちやすく、書類を入れたときに型くずれせずに、床に置けるなどの使い勝手も良いバッグをつくること。「まずはこのバッグの基本を重視しながら、柔軟にいろいろアイテムやアイデアを形にしています。『HERZ青山本店』近くにオープンした工房兼ショップはお客さまとの距離も近く、いろいろな意見や発想を出し合いながら一つの製品を完成させるスタイルにしています。ここは本当に自分にとって、大切な場所になっています」と桃井さんは笑顔で語ります。

職人の自分とブランド、両方を成長させていく!

作業中の桃井将也さん

 ゼロから始めた革職人歴も、約8年が経過。自分が手がけたバックを街などで目にする機会も増えたと桃井さんは話します。

「街や電車などで、自分がつくったバックを見かけることが増えてきました。そんな時は嬉しくて話かけたくなってしまいますが、グッと我慢です(笑)。お客さまに使っていただいて、自分のつくったバッグが生かされているのを見ると、改めてモノづくりの素晴らしさを実感します」

 これからさらに良いモノをつくっていきたいという桃井さんは、常にいろいろなことに興味を持ち、それをモノづくりに取り入れたり、海外に視察に行ったりと、勉強を重ねているそう。

「今の目標は『Organ』を『HERZ』のように、お客さまに長く愛されつづけるブランドに育てていくことです。自分を高めていくことはもちろんですが、この『Organ』をもっともっとたくさんの人に知っていただき、選んでいただけるブランドにしていきたいですね。そのためには常に新たなチャレンジをしながらも、守るべきことはしっかりと守っていかなくてはなりません。お客さまのパートナーとなっていく製品を、これからも発信しつづけます」

 桃井さんと『Organ』のチャレンジは、まだまだ始まったばかりです。

HERZ青山本店の外観

HERZ(ヘルツ)青山本店

  1. http://www.herz-bag.jp
  2. 〒150-0002
    東京都渋谷区渋谷2-7-12
  3. 03-3406-1471
Organの外観

Organ(オルガン)

  1. http://www.herz-bag.jp/shop/organ/
  2. 〒150-0002
    東京都渋谷区渋谷2-12-6 三田ビル1F
  3. 03-3406-2010
Mini column

目指すは“手に職”!?

〜職人希望者が増加中!〜

 総務省の調査によると、手に職を持つ「専門的・技術的職業従事者(※)」の数が増加の傾向にあるようです。2002年には890万人(男女計)だった従事者数は、2011年になると1,000万人を突破、2012年1月には1,024万人に達しています。

 この数字の多くは女性の看護士をはじめとした「保健医療従事者」の増加が影響していますが、革職人のような職業が含まれる「美術家・写真家・デザイナー」のカテゴリーでもその数は増えています。

 1985年に1万2千人(男女計)だった「美術家・写真家・デザイナー」従事者数は、1995年に1万4千人、そして2005年には1万5千人と、減少する職種が増える中で少しずつながらもその数は増え続けています。“手に職”や“職人”に対する興味の高まりは、年々強くなってきているようです!

※「専門的・技術的職業従事者」とは、“高度の専門的水準において、科学的知識を応用した技術的な仕事に従事する者、及び医療・教育・法律・宗教・芸術・その他の専門的性質の仕事に従事する者”を指します。