毎日の生活に日本の心を

一人前の庭師であるためには、日々の鍛錬が重要だと話す星さん。技術的なことだけではなく、より日本の心を表現していくためにご自身も華道を習得したり、休日も和服で過ごしたりしているそうです。
「日頃から日本文化を取り入れるように心がけています。そうすることがちょっとした所作の美しさや、日本の文化や心を感じられる庭づくりに繋がるんです」
このような考え方は両親の影響や数々の現場体験から生まれましたが、なかでも、32歳のときに手がけた仕事が大きなターニングポイントになったと星さんは話します。
「ある禅寺に百日間泊まりこんでの仕事でした。朝6時に起きて清掃、座禅、読経、参拝そして仕事へという毎日で、余計なことを考えなくなって自分自身や仕事にとことん向き合うことができたんです」
それを機に、技術も格段に向上したそう。
「イメージしたことをそのままカタチにできるようになり、一つの壁を越えたと実感しました。これを機に庭匠・霧島宏海(きりしまこうかい)を名乗り、父からも独り立ちしました」
日本の心を世界に発信したい

庭をつくる際には、その場所、その空間の物語を大事にしているという星さん。
「お客さまの趣味や嗜好、想いや要望などをヒアリングしながら、その家庭や土地の歴史のことも考えてストーリーをつくり、それを具現化していきます。常に手を加えなくては美しさを保てないというのではなく、無理のない、自然な姿をつくり出すことを重視しています。そうすると、たとえ枯れ葉が積もっていても、不思議と汚く見えないんですね」
20〜40代の若い世代が少なかった庭師の世界ですが、星さんの細部までのこだわりや庭師の矜持に惹かれる若者が、近年増えてきているそう。
「自分はブログやSNSで、技術などの情報を惜しげもなく開放しています。手に職を持ちたい若者や緑に触れる仕事がしたいと考える方、日本文化に興味を持つ外国の方からのコンタクトが増えていますね」
現在は職人として自ら精を出すだけでなく、若手の育成にも取り組んでいる星さんは、今後の夢をこう語ってくださいました。
「一つは庭を通して、世界に日本の心を発信すること。もう一つは、庭師というものを多くの人に理解していただくこと。『家庭』という言葉は、『家』と『庭』から成り立っています。建物である『家』を気にする人は多いのですが、『庭』はその次という場合がほとんどです。『庭』の大切さを知ってもらうことも自分たちの役割。若手を育てながら、庭の大切さや日本の心の素晴らしさを、世界に向けて発信していきたいですね」
神奈川県・寒川町をベースに各地で活躍
社寺庭園・日本庭園・茶庭・個人邸作庭『庭匠霧島』
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