お客さまの口に“おいしい”を届ける

三茶ファームでは青果のほかお米や調味料なども扱うものの、お店のキーワードはあくまでも「八百屋」。おいしくて身体に良いだけでなく環境保全や持続的な農業のためにも有機野菜を中心に扱っています。
「情報を正しく伝えること、本当に良いものを届けること。おいしいだけでなく、その機能を果たす場であることを最も重要視してお店をスタートさせました。ネット販売ももちろん可能ですが、やはりコミュニケーションが重要ですからそれはやりません。八百屋としてお客さまと会話をしながらの対面販売にこだわることで、つくる人と食べる人のハブとなることを常に考えているんです」
これまでに広がったネットワークをフルに使い、市場や仲買業者を活用せずに、ほとんどの商品を生産者から直接仕入れて販売するスタイルを貫いています。
「皆さんの食への興味が、どんどん高まっているのを感じます。どうせ食べるなら素材の良いものを選ぼうという傾向がありますね。こちらもただ販売するだけでなく、お客さまに商品の魅力や特徴をきちんと説明しますし、逆に消費者の反応を生産者に伝えるようにしています。生産者は消費者の声を知りたがっているので、非常に喜ばれますよ」
顧客とのつながりもとても大切にしているので、会話や野菜を使ったレシピを聞くために来店するお客さまも多いとか。 「八百屋は野菜を販売する場所ですが、ただ売って終わり、だけではいけないと思っています。情報も一緒にきちんと伝え、お客さまの口に入って『おいしい!』と言ってもらえるところまで、しっかりと考えて実現していきたいと思っているんです」
社会や未来を活性化させたい

今でこそ三茶ファームの運営は軌道に乗りつつあるものの、オープンからしばらくは厳しい時代が続いたといいます。
「八百屋として良い野菜を届けること、そして農業や農家を持続可能なものにすることを目指してやっていますが、現実はやはり、なかなか難しいですよね(笑)。これまでの経験を活かしてITやWEBデザインなどを手がける会社を立ち上げて、その両輪でなんとかやっていた状態でした。最近は、ITの会社では未来をサキドリするWEBマガジン『SAKIDORI』や、結婚式などのWEB招待状作成サービス『Weddingday』が好評を博し、また三茶ファームも認知が拡大し、少しずつですがようやく足場が固まってきたように感じています」
三茶ファームが地元の商店街“エコー仲見世商店街”に立地することもあり、三軒茶屋や商店街への貢献も最近はこだわっているそう。
「近くのカフェや雑貨店とコラボして、マーケットを開催したりしています。人の流れ、つながり、いろんな商品や製品、サービスとの出逢いを提供する機会をつくれたらと思い、実際にカタチにすることを心がけています」
さまざまなアイデアと行動力を武器に、良い野菜や生産者を広める役割を担いつつ、地域の活性化にもしっかり貢献する。
「八百屋だから野菜を売るだけとか、何々だからこれしかやらない、というのはもったいないと思うんです。もっと広い捉え方で柔軟に、これからもいろんなコト・モノ・情報を発信しつづけて人とつながりながら、社会や未来の活性化につなげられたらと思っています」
千田さんのフィールドは、どんどん拡大していくようです。

『三茶ファーム』WEBサイト