スルガ銀行 Dバンク支店

SURUGA d-labo. Bring your dream to reality. Draw my dream.

特集

特集TOP

2012 May.11
d-labo Special Friends 2.0「Think」

1人+1人+1人……
時間を共有する、1人が大きなチカラになる。
リアル & ソーシャル to リアル の時代

一人ひとりの夢をカタチにする。d-laboは、自分のこれからを変えたいという『change』、じっくりとライフスタイルを考えたいという『think』、もっと自由に人生を楽しみたいという『play』をキーワードに、新しいライフスタイルを創造していきます。

<Friends 2.0>とは、通常の友人関係を超えた「可能性の共有」「時間の共有」「体験の共有」などでつながる人間関係のこと。未来を思い描いて自ら動く時、そこには常に「出会い」があります。その先に待つのは「今とは違う自分」。新たな自分を見つけるために、新たな出会いを探しに行きましょう。

今回は「think(=人生を考える)」をテーマに、<Friends 2.0>の生まれる「場」を訪問。仲間とのソーシャルプロジェクトを通じてそれぞれの夢に近づいた人々を、「丸の内朝大学」にて取材しました。「時間の共有」が生んだ化学反応について考えます。

1人+1人+1人……時間を共有する、1人が大きなチカラになる。リアル & ソーシャル to リアル の時代
Friends2.0

ソーシャルプロジェクトを生み出した“時間共有という不思議な関係”

「個人的な興味から始めた勉強が、いつしか仲間との共同作業となり、地域の人も参加してのソーシャルプロジェクトになっていました。この体験を通じて自分でも実行力が身についたかなと感じています」

そう語るのは白鳥淳子さん。三重県の特産物である萬古焼(ばんこやき)の知名度を都心部で広げようという目的で活動している「TEAM BANCO」のメンバーだ。同じく仲間の1人である武村里佳さんは、全部で11人いるメンバーを「ほかにない不思議な関係」と話す。職業も違えば年齢も違う者同士が結びつき、いつの間にか1つのゴールに向かって走っていた。まるで映画を思わせるようなストーリーは、しかし現実のものだ。

白鳥さんや武村さんの出会いの場となったのは「丸の内朝大学」だ。東京駅前の大手町・丸の内・有楽町エリアをキャンパスとするこの市民大学が開講したのは2009年。3年前といえば、ちょうど自己投資としての「朝活」がブームになっていたころだ。設立時からのスタッフである事務局の井上奈香さんによれば、同校も当初は「環境配慮型のライフスタイルの提案として丸の内という街が発信するものを定常的に学んでもらう」ことを目的としていたという。

ところが、いざ始めてみるとそれだけではないことに気がついた。
「講座を開いてすぐにわかったこと。それはここに来る人たちは単に学びたいというだけではなく、家とも会社とも違う友人関係をつくりたいんだ、ということでした」

講師の宇田川裕喜さんも受講生をこう評す。
「早起きをしてまで来る人たちだからとにかく熱い。講師と受講生の密着度は大学のゼミ並です。受講生同士も積極的に親交を深めているし、そこからクラスの域を超えた社会貢献活動も生まれています」

講師の宇田川裕喜さん(左)と丸の内朝大学事務局の井上奈香さん
講師の宇田川裕喜さん(左)と丸の内朝大学事務局の井上奈香さん

「TEAM BANCO」はその代表的な例だ。白鳥さんや武村さんが受講したのは昨秋開講された「地域プロデューサークラス」。テーマ地域は三重県だった。ワンクール3か月・8回の講座では、地域をプロデュースする手法を学び、実際に地域が抱えている問題を解決していく。最終的には、チームごとにプロジェクトを立案し、プレゼンテーションを行うことで修了となる。メンバーも受講開始時はそのつもりでいた。
「でも、TEAM BANCOはそれだけでは終わらなかったのです」

白鳥さんや武村さんと席を並べた丹羽達洋さんが笑いながら話してくれる。
「クラスでは実際に三重県までフィールドワークに行きました。そこで出会った萬古焼の窯元や三重県庁の方々は非常に熱意があり、これはプレゼンだけでは終われないなという空気ができていったんです」

「TEAM BANCO」による講座でのプレゼンの様子
「TEAM BANCO」による講座でのプレゼンの様子
2012年1月に開催された「第1回萬古食博覧会」の様子 提供:TEAM BANCO
2012年1月に開催された「第1回萬古食博覧会」の様子
提供:TEAM BANCO

朝、夜、facebook。講座を超えた濃密な時間がリアルプロジェクトへとつながる

「リアルのイベントを開こう」という声が挙がるのに時間はかからなかった。それからというものディスカッションの日々が始まった。メンバーは20代から40代までの男女。大学生に自治体勤務、IT関連、マスメディア、デザイン業と多彩な職種の人々が、イベント実施までの3か月間、それぞれの想いを語り合った。白鳥さんはその日々を「濃密な時間だった」と振り返る。
「講座は週1回ですが、朝や夜に仲間と会ったり毎日facebookを使っての打ち合わせを行っていました。会社でもこんなにしないだろうというくらい熱い議論が交わされていましたね」

TEAM BANCOのメンバー。左から武村里佳さん、丹羽達洋さん、白鳥淳子さん
TEAM BANCOのメンバー。左から武村里佳さん、丹羽達洋さん、白鳥淳子さん

議論はクラス終了後も続き、翌月には「萬古食(ばんこく)博覧会」と銘打った料理イベントを都内で開催するに至った。鍋や器、食材は地元の方が提供。当日はこれらを使ってスペイン料理をつくった。県知事からもコメントをもらい、会場はさながら三重県物産展。一般の参加者も詰めかけ、イベントは大成功に終わった。

忙しく駆け抜けた日々。その経験はメンバー全員に変化をもたらしたという。
「転職やUターンなどキャリアチェンジを考えたとき、決断して行動できる人間に一歩近づけた気がします」(丹羽さん)
「地域への貢献は学生時代からのテーマでした。今回はそれが実現しました。いずれ仕事でもこういうことをしたいと願っています」(武村さん)

講座の様子

時代のニーズだろうか、企業やNPO法人、自治体、あるいは個人の働きかけにより、最近では丸の内朝大学のような「ソーシャルプロジェクト的なコミュニケーションが生まれる場」が次々と各地に誕生している。

個人の夢に「出会い」と「ソーシャル」が加わったとき、そこで生まれた力は社会貢献へと進化する。素敵なことではないだろうか。

Information1

丸の内朝大学

東京駅前、大丸有(だいまるゆう)エリアをキャンパスとしている市民大学。朝7時台~8時台に開かれている講座の受講生の多くはビジネスパーソンで、丸の内エリア以外の場所に勤めている人も多い。4~6月の春学期、7~9月の夏学期、10~12月の秋学期からなる3期制。コミュニケーション学部、環境学部、食学部、旅学部、心体学部などに分かれた学部には多彩かつユニークな講座が目白押し。グループディスカッションやフィールドワークなど座学一辺倒でない講座内容や、エリア内店舗と連動した「学食」制度などで注目を浴びている。TEAM BANCOは一講座から誕生した受講生有志によるソーシャルプロジェクトの一つ。

公式サイト
丸の内朝大学
TEAM BANCO「今日のばんこ」

萬古焼1萬古焼2

テキスト 中野渡淳一
撮影 中野渡淳一、インフォバーン