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2012 Jul.18
Money Goes On
~わたしとおカネの付き合い方~ Vol.2

自由な発想が前進のパワーになる。 —猪子寿之の売上目標なき経営術—

2001年に東京大学工学部を卒業すると同時に、友人とともにチームラボを創業し代表取締役に就任した猪子寿之氏。産經新聞社のニュース・ブログポータル「iza(イザ!)」を設計・開発して人気ポータルサイトへと成長させたり、純国産“オモロ”検索エンジン「SAGOOL(サグール)」を自社制作したりと、過去にとらわれない斬新なチャレンジを続け、今なお圧倒的な存在感を放っています。そんな猪子氏だが、スタートラインである「起業」の段階ではどのように「お金」と付き合っていたのだろうか?
個人として、経営者としての金銭感覚は?
尽きない疑問を直球でぶつけてみました。

聞き手 スルガ銀行d-laboスタッフ 鈴木

自由な発想が前進のパワーになる。 —猪子寿之の売上目標なき経営術—

猪子寿之、コンビニのATMに物申す

自由な発想が前進のパワーになる。 —猪子寿之の売上目標なき経営術— インタビューの様子1

d-labo今日はタイトルのとおり「わたしとおカネとの付き合い方」というテーマで、代表である猪子さんにお話を伺いたいと思って会社にお邪魔しました。猪子さんは、お金というとまず何を思い浮かべますか。

猪子コンビニのATMですね。いきなりですけど、コンビニのATMを使った時、手数料を無料にしている銀行があるじゃないですか。あれってスルガ銀行さんも同じことはできないのですか??
僕は他の銀行のカードを使っていて、いつも手数料を取られることにハンパなくムカついているんですよ(笑)。日曜日の夜なんてATMによっては210円も取られますからね。

d-laboうちも平日の昼間の時間帯は手数料無料(*1)ですよ。他行さんも、無料のところがありますが、取引に応じて変えているところも多いですね。

猪子そうか、昼間はタダなんですね。僕は人生で昼間にお金をおろすってことがないので、それには気づかなかった。僕みたいな人って結構いるんじゃないですか。お金をおろすのは仕事が終わってからで、おろす場所はコンビニ。そして、いつも手数料を取られてムカついている。1万円おろしたら2%が手数料ですよ。最近はそれがイヤだから、一度に20万円くらいをおろすことにしているんです。おかげでムカつくのは月1回くらいに減りました。

d-laboこれは個人的な思いつきですが、手数料無料の時間帯設定を24時間の中で、その人のニーズに合わせて自由に変えられたらいいなとは考えているんですよ。乗り越えるべき壁がいくつもありますが……。

猪子ぜひやってください。他行に先駆けてやることで認知度も上がるし、そうすれば口座数も増えるんじゃないですか。今の若い子たちの銀行との付き合い方って、コンビニとネットで完結していますよね。近くになければ、わざわざ銀行のATMには行かない。窓口で相談をする機会もほとんどない。これってもしかしたら、地方銀行にとってはチャンスじゃないかと思うんです。

d-laboたしかに、若いお客さまにとってはコンビニのATMさえ使えればメガバンクも地方銀行も変わらないですね。ネットバンキングにしても、どこも機能は似ていますし。

猪子だったら手数料無料の銀行を選びますよね。地方銀行がメガバンクに勝てるかもしれない。そう考えるとおもしろいですよ。

(*1)セブン銀行ATM、イーネットATMで利用の場合。

チームラボ創業秘話。「頑張った日は卵がご褒美」

自由な発想が前進のパワーになる。 —猪子寿之の売上目標なき経営術— インタビューの様子2

d-labo猪子さんと話していると本当にできそうな気がしてワクワクしてきます。チームラボという会社も、こういうワクワク感からスタートしたのですか。大学院生だった猪子さんが学生のお仲間と事業をスタートさせたのは2001年のことですよね。

猪子5人で始めて、最初は僕や後輩の家を使ってソフトウェアを制作していました。みんな貧乏学生だったし資金はゼロ。プリント用紙なんかは、情報系の学生だったので、勉強を兼ねているんだからいいだろうと大学から拝借していました(笑)。会社を設立するにも資本金がないので、身内が持っていた休眠会社を譲り受けました。

d-laboでは起業にあたっては、資金調達はいっさいなしで?

猪子なしです。うちの会社は、今にいたるまで資金調達は一度もしたことがないんですよ。このスタイルは変わっていませんね。

d-labo最初の売上はそのソフトウェアですか。

猪子それが、作ってもどこに営業してどう売ればいいのか、全然わからなかったんです。そこで、もっとお金になることをしようと、高校時代の友達の紹介でホームページの制作を請け負った。たしか15万円くらいもらいましたね。その後はiモードのアプリとかの仕事をするようになって、その売り上げを、事務所を借りる資金に使いました。場所は春日で、8坪の物件でした。

d-laboいきなりドコモの仕事とはすごいですね。そこからはもう、どんどん仕事が回り始めたという感じだったのですか。

猪子1つ仕事をすると、お客さんがお客さんを呼んできてくれるといった感じで仕事が増えていきました。その頃には、大きな制作会社が他にいくつもあったんですが、どこもデザインからスタートしたところばかりで、うちみたいなシステムからスタートした会社は少なかった。仕様が明確じゃない仕事なんかだと対応できないところが多い。それでうちに仕事が入ってきたんです。2002年の夏には瞬間的にキャッシュフローが1,000万円を超えたので増資できました。

売上目標をつくるのは苦手

自由な発想が前進のパワーになる。 —猪子寿之の売上目標なき経営術— インタビューの様子3

d-labo会社を始めて、まだ1年くらいですよね。ずいぶん順調でしたね。

猪子いや、いつもキャッシュフロー的には厳しいですよ。僕を含めて創業した5人は、最初の1年半は給料なしか、もらってもすごく安い額でした。生活も質素で、新米を炊いたごはんを「これはおいしいから」って、余りものの ごはんのおかずにして食べたりとか、そんな生活でした。

d-laboごはんがごはんのおかず、ですか(笑)。

猪子たまにすげえ頑張ったねって日があったら、記念にみんなで卵を食べたり。学生だったので、自分が貧乏だという意識がなかったんです。だから仕事も金をかけずにやることができた。うちは今でも社員一人あたりのコストは低いんですよ。段ボールでインテリアを作ったりしていて、オフィスの机とかも安い。コストが超安いモデルなんです。僕なんか今日まで個人資産が100万円を超えたことないんですよ(笑)。

d-laboそれで資金調達はしないできたのですね。

猪子ちゃんとした成長目標があるなら資金調達はしたほうがいいんでしょうね。大きなプロジェクトだと外部の人も雇うし、キャッシュフロー的には仕入れが先なので超マイナスですよ。受注してから入金が半年先とか、そんな仕事ばかりですから。外部のフリーの人には早く払ってあげたいし、そうなると苦しいんです。でもキャッシュフローが尽きかけていると社内に情報がまわって、みんなが危機感をもって頑張ってくれるんです。そのかわり普段はあまり考えていないのかも。僕も売上目標とかつくるの苦手ですし(笑)。

d-laboそれでもチームラボが発展しているのは、この会社となら何かおもしろいことができるぞっていう期待感があるからでしょうね。チームラボは海外でアート事業なども手がけていますし、お金じゃなくて先に作っちゃえというスタイルが次の仕事につながっている印象を受けます。

猪子改めて考えると、日本の社会って優しいですよね。信頼で仕事がまわっていくっていうか。僕たちみたいな学生がつくった会社が仕事を続けてこられたのも、そのおかげです。金儲けを考えていないというと語弊があるけど、この先も、そういうことはあまり考えずにやっていけたらと思っています。

Information1

チームラボ株式会社

アート&エンターテインメントからWebデザイン、ブランディング・マーケティング、IT戦略コンサルティングなどのソリューション事業、テクノロジー分野まで幅広く手がけるウルトラテクノロジスト集団。代表の猪子寿之氏をはじめ、情報社会のさまざまなものづくりのスペシャリストが多く集まる会社として注目を集めている。

チームラボ株式会社

公式サイト
http://www.team-lab.com
http://www.team-lab.net/

Information2

スルガVisaデビットカード

ATMでの時間外手数料がもったいないという猪子さんのお話、似たような経験をされている方は少なくないかもしれません。そんな方におすすめしたいのがスルガ銀行のVisaデビットカード。口座に残高があればVisa加盟店で利用が可能。利用代金はすぐに自分の口座から直接引き落とされるので、現金払いと同様の感覚で利用でき、ATMで現金をおろす必要がなくなります。

スルガVisaデビットカード

詳しくはこちらから
https://www.surugabank.co.jp/d-bank/services/visa_debit.html

テキスト 中野渡淳一
撮影 大井成義