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2013 Aug.27
『DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー』読者勉強会 Vol.2

『起業家に求めるもの』

「グローバル・リーダーを目指す人の総合マネジメント誌」として多くの経営者やコンサルタント、若手のリーダー層から支持を集めている『DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー』。d-laboを会場に8月2日に開かれた第2回目の「DHBR読者勉強会」では、『起業のファイナンス』著者の磯崎哲也氏を講師にお招きして「起業家に求めるもの」と題したプレゼンテーションをしていただきました。日本のベンチャーの資金調達とはどんなものなのか。取り組まねばならない課題とは。そもそも「起業とは何なのか」。ここではプレゼンテーションの内容を中心にレポートします。

『起業家に求めるもの』

起業とは「ヒト・モノ・カネをつなぎ合わせる仕組み」をつくること

起業とは「ヒト・モノ・カネをつなぎ合わせる仕組み」をつくること

読者勉強会は参加者全員の自己紹介から。集まったのは磯崎氏の著書やメールマガジンの読者が中心。自己紹介タイムでは「起業におけるファイナンスについてヒントを得たい」という声が目立った。その後のプレゼンテーションやディスカッションはこうしたニーズに応える形で進行。密度の濃い充実した時間となった。

磯崎氏が最初に口にしたのは「起業とは何か」。よく「起業」と言うが、その定義づけは見方によって異なる。日本人はよく「起業家スピリットに欠ける」と言われるが、実は年間に設立される会社は10万社もある。会社設立、あるいは個人事業者になって新しいビジネスにチャレンジしている人は少なくない。広義な意味で見れば、街角のコンビニや飲食店などもすべて「起業」が生んだものだ。

今日のこの場では、その「起業」を「市場メカニズム=ヒト・モノ・カネをつなぎ合わせる仕組み」、わかりやすく言うなら「儲けるチャンスを見つける」ことと定義。例として挙げられやすいのはIT関連のベンチャー起業。アメリカならグーグルやフェイスブック、あるいはアマゾン。日本ならば楽天やミクシィ、DeNAなど。これらの会社はいずれもベンチャーキャピタル(VC)から資金調達を受けたベンチャー企業としてスタートし、上場を果たして巨大化した企業、もしくは先に上場をし、その後に成長した企業だ。ただし、VCが起業家に投資する金額の総額となるとアメリカと日本では雲泥の差がある。アメリカの年間2兆円に対し、日本は年間1,000億円。1社あたりに対する投資額も桁違いだ。「日本の場合、起業初期の段階で億単位の投資をするVCは6、7社しかない」というのが現状だ。そういう意味で「小振りなお金で成功を収めてきた楽天やミクシィは世界に類を見ないパフォーマンス」だったという。

日本人はよく「起業家スピリットに欠ける」と言われるが、実は年間に設立される会社は10万社もある。

成功事例がベンチャーのイメージを変える

成功事例がベンチャーのイメージを変える

しかしそれもすでに過去の話。海外企業との競争、同時に国内の競争も激化してきた現在は「やはり上場前に5億円や10億円の資金を調達しないと勝てない時代」になってきた。となると現在の年間1,000億円というVC投資額では心許ない。アメリカ並の活況を呈するには磯崎氏はこれを「10年かけて7,000億円くらいまで増やすといい」と言う。さいわい日本には約1,500兆円の金融資産がある。それが一部でも流入してくれば「10年後の7,000億円」は非現実的な話ではないだろう。逆にそれ以上のスピードアップはバブルになる。「じりじり増やしていくことが大事」だ。IT関連業界についていえば、生態系ができている。ネットが世に浸透したこの10年で、自社が急成長するといった成功体験を積んだ人たちはかなり大勢いる。こうした人たちが経験やノウハウを生かして新たなチャレンジをすることで日本のベンチャーは勢いづく。起業家に求められるのは、「リスクを背負ってでも会社を大きくしていこうという『スケーラビリティ』」だ。

「投資を増やすには、VCによる投資の成功例を増やすことです」と磯崎氏。

世の中にはいまだにベンチャーに対して怪しいといったイメージを抱く人がいる。成功事例がたくさん生まれればそういうイメージもなくなるはずだ。

「投資を増やすには、VCによる投資の成功例を増やすことです」と磯崎氏。

Information 1

磯崎 哲也 氏

長銀総合研究所のインターネット産業のアナリスト等の後、ベンチャーの世界に飛び込み、カブドットコム証券やミクシィの社外役員、中央大学法科大学院兼任講師などを歴任。現在、Femto Growth Capital LLP ゼネラルパートナー。ブログ及びメルマガ「isologue」、著書『起業のファイナンス』。

Information 2

DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー

世界最古のマネジメント誌として知られる『Harvard Business Review』(HBR)の日本語版。1976年の創刊以来、「優れたリーダー人材に貢献する」というコンセプトのもと「実学」に資する論文を掲載。現在は「グローバル・リーダーを目指す人の総合マネジメント誌」として『HBR』の論文の他日本語版オリジナル記事を掲載。時宜に合った特集内容が好評を呼んでいる。

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