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2013 Oct.29
Be Unique! ~オンリーワンであること~ Vol.3

万年筆絵画の第一人者
古山浩一の美学

『Be Unique!』特集では、毎回、「オンリーワン」な人や企業を訪問。その価値と魅力に迫ります。なぜオンリーワンなのか、どうやってオンリーワンな存在になりえたのか…。そこにはきっと、ほかにはない「夢」や「ストーリー」があるはずです。

今回お話を聞かせてくれたのは、万年筆画家の古山浩一さん。万年筆関連の書籍を中心に、著述家としても活躍している方です。今では容易に、絵を描くための万年筆を手に入れることができますが、古山さんが絵画に用いるまでは、「万年筆は字を書くためのもの」という考えが常識だったそう。古山さんが、万年筆を使い出したきっかけとは?オンリーワンへのチャレンジのなかで、見えた風景とは?そして、目標とする生き方とは…?合わせて、日常生活に取り入れたくなる“万年筆の楽しみ方”も教えてもらいました。

万年筆絵画の第一人者 古山浩一の美学

常識にとらわれない
それが、オンリーワンへの第一歩

古山さんインタビューの様子

万年筆を愛用しだしたのは、10代の頃という古山さん。高校生のときには、授業のノートにも使用するほど、万年筆に慣れ親しんでいたとか。しかし、今から20年ほど前までは、万年筆を絵画作品に使用することはできなかったといいます。

「当時、万年筆のインクは染料インクしかなかった。染料インクは、固まっても水で溶かせるため扱いやすい一方、紫外線で消えてしまう。そのため、作品に用いることはできなかったんです。

でもインクの線は好きだったので、イラストなどには、パーマネントのインクを使えるロットリング社のペンを使っていました。ただしロットリングは、0.13ミリのペンを使うと、0.13ミリの線しか出ない。線の強弱がつけられないんです。ざらざらの紙に描くと、すぐに詰まってしまうし。どうにかならないかな…と思っていました。」

そんななか、とある製品専用につくられたインクが、耐水性・耐光性のある顔料インクであることを発見。試しにそのインクを手持ちの万年筆に入れてみたら、問題なく使うことができたそうです。「このインクがあれば、万年筆で作品が描ける!」と思ったものの、万年筆は文字を書くために開発されたもの。絵を描く道具として使うには、万年筆自体の調整が必要だったとか…。

「万年筆は、ペン先はもちろん、軸の素材や長さ・重さなども、すべて注文できます。そこで、ロットリングで使っていたのと同じ0.13ミリの線を出せないかといって、万年筆職人を訪ね歩きました。何人かには、『万年筆は文字を書くためのものだ』と断られましたね。

それでも色々な店をあたっているうちに、やってみようといってくれる職人さんが現れた。それでお願いしてみたら、本当に0.13ミリの線を描ける万年筆ができたんです。驚きましたね…。万年筆を作品に使い始めたのは、そこからです。」

万年筆を用いた、古山さんの作品の数々。
万年筆を用いた、古山さんの作品の数々。

エキスパートが本気でぶつかり合う
だからこそ、新しい世界が開かれる

古山さんインタビューの様子

絵を描くための万年筆ができたことに感動した、古山さん。同時に、腕の立つ万年筆職人たちが高齢であることに気づき、彼らの記録を自費出版の本にまとめたそうです。

「当時、“ペン先の神様”と呼ばれていた長原宣義という職人さんがいて。お会いするときに、その本を持っていきました。すると、『あんたのやってることは、大事なことだ。わしゃ、1本研いでやる』と評価してくれた。持参したペンを研いでもらうと、もう、びっくり!それまで使ったことがないほど、ぬらぬら〜っと滑らかにインクが出るんです。

この人のスタンスはほかの職人たちとは違っていた。『絵を描くためのものが欲しい』と伝えると、『面白いことを考える。万年筆は字を書くものと捉えていたから限界があったが、絵を描くという発想に変えると違ったものが生まれる』といってくれて。そして、6〜7ミリもの線が描けるものを作ってくれました。すごく高価でしたが(笑)。その後も、『こういう線が出せるものも作ってみよう』って、色んな万年筆を考えてくれたんです。」

この名工との出会いが、古山さんの作品を変えていったといいます。

「それまでは極細の万年筆をイラストに使うだけでしたが、太い線が出せる万年筆では、スケッチも描くことができた。長原さんとのやり取りは、本当に刺激的でしたね。こちらも要望を出すけど、向こうも色々仕掛けてくるんです。僕の運筆を知ったうえで、いつもとは違う動きをしたときに、インクがよく出るように作ってきたり。

ミケランジェロが『芸術は単調を嫌う』といったように、絵画には複雑さが大切。1本の線のなかに、どれだけのエネルギーを内包させられるかが、僕らの仕事です。だから、線を描くときに『あれ?』って予想外のことが起きるのは、すごく面白い。

自分では、随分と絵を勉強したつもりだったけれど、まだまだだと気付かされましたね。万年筆を使い出してから、3回ぐらい地平線が変わった。それぐらい、自分の立ち位置が更新されました。」


長原さんに特注で作ってもらった万年筆のひとつ。曲がったペン先の裏側を使うと極細の線が、表側を寝かせるようにすると、筆ペンのような太い線が描ける。現在市販されている、セーラー万年筆「ふでDEまんねん」も同様の仕組みだが、このペン先を用いたのは、古山さんのものが最初の1本とか。
長原さんに特注で作ってもらった万年筆のひとつ。
曲がったペン先の裏側を使うと極細の線が、表側を寝かせるようにすると、筆ペンのような太い線が描ける。
現在市販されている、セーラー万年筆「ふでDEまんねん」も同様の仕組みだが、
このペン先を用いたのは、古山さんのものが最初の1本とか。

職人の精魂を傾けた仕事が
創作を支えてくれる

古山さん執筆の万年筆関連書籍

冒頭で触れた通り、古山さんは、著述家としても活躍しています。画家として、著述家として、さまざまな活動を行うバイタリティは、どこからくるのでしょうか?

「万年筆の本を書き始めたのは、丹誠込めた素晴らしい仕事をしている職人たちが、広く知られずに消えていってしまうのがイヤだったから。文化は伝承しなくちゃいけないのに、日本はそういうことにとても無頓着。だったら僕が、この分野を記録しようと思ったんです。」

また、画家としての活動について伺うと、「万年筆に励まされて絵を描く。職人が携わったものには、そういう力がある」とも話してくれました。

古山さんの幅広い活動を支えているもののひとつは、職人が精魂を傾けた仕事への敬意なのかもしれません。だからこそ、多くの職人と心の通った交流を持ち、オンリーワンへの道を歩むことができたのだといえそうです。

古山さん愛用の万年筆

感動した場所で生きる
それが、人生の目標

古山さんインタビューの様子

「こんなことばかりしていると、全然お金にならない」と笑いながら、自身の活動を話してくれた古山さん。その生き方の背景には、古山さん流の美学があるとか…。

「安全を求めていたら、人生の醍醐味がなくなるじゃない?目標は、いちばん感動したところで、生きること。」

古山さんがそう考えているのは、仕事で出会った、C.W.ニコルさんの影響といいます。

「ニコルさんは17歳のときに、『キャンプに行く』と親に嘘をついて、北極探検に行った。そういう話を聞いていると、今までの自分の生き方って、なんだったんだろうって考えさせられました。日本では、安全に長生きできるよう、レールの上を歩きなさいというような教育される。でもよく考えたら、学校に行かなくてもいいし、日本にいなくてもいい。可能性は山のようにあるんです。

ニコルさんは、活動のなかで命を狙われたり、他者の生死にも関わってきた。その分、深い悲しみを抱えているし、なにが幸せかは一概にいえないとは思います。独自の選択をした結果、のたれ死ぬかもしれない。でも、学校で教えられてきた“安全な道”以外の選択肢もあるんだってことは、知っておいたほうがいい。覚悟を決めて、好きなことをやる。それができれば、かなり面白い人生が送れると思っているんです。」

古山さんの万年筆画

〈古山浩一の万年筆Lecture〉

〈古山浩一の万年筆Lecture〉

万年筆とともに、オンリーワンの道を歩んできた古山さん曰く、「万年筆は最も書きやすい筆記具」。とはいえ、万年筆は敷居が高い・使いにくそうと感じている人も多いのでは?そんなビギナーのため、万年筆の魅力を教えていただきましょう。

書くことは、快楽のひとつ

書くことは、快楽のひとつ

自分の手で文字を書くことが少なくなっている昨今。万年筆を楽しむ秘訣は、どこにあるのでしょうか?

「書くことを楽しめないのは、教育のなかで、字のきれいさだけを評価されてきたからだと思うんです。見本に忠実に書けた字が、いい文字といった具合に。でも本来、書くことは表現であり、快楽のひとつでもある。書き味のいいペンを手にすると、くるくると螺旋をらくがきしたりしますよね。あの延長で、書くことそのものの心地よさを感じてみるといいですね。」

その心地よさを味わうためには、書きやすい万年筆を選ぶことが、なにより大切といいます。

「万年筆は書きにくいと思っている人もいますが、それは筆圧が強過ぎるか、手に合わない万年筆にあたってしまっただけ。実は僕も、最初はいい印象がなかったんです。でも、高い万年筆を買ってみたら、ペン先が紙に触れるだけで、ぬるぬるとインクが出てきた。筆圧はいらない。いい万年筆に出会えれば、滑らかな書き味が楽しめるはずです。」

■楽しみ方の秘訣1■
手頃で書きやすいモデルから始める

万年筆の価格はピンキリ。ビギナーが手を出しやすい安価なものは、やはり使いづらいかと思いきや、今は書きやすいものがたくさんあるとか。以下に、1,000円台で購入できる、古山さんオススメの万年筆3本を教えて貰いました。

まず、画像上のセーラー万年筆「ふでDEまんねん」は、文字はもちろん万年筆画にも適したモデル。筆記角度により、細字から太字までを出すことができます。画像中のプラチナ万年筆「プレジール」(販売時、軸とキャップは同色)は、1,050円でありながらもスタイリッシュなデザイン。“1年間使用しなくてもすぐに書き出せる”と唱われており、機能性もなかなかとか。画像下のペリカン「ペリカーノジュニア」は、ドイツで学校教育に採用されているモデルです。正しい持ち方が身に着くように考案されたグリップなので、初心者にぴったり。

上から)セーラー万年筆「ふでDE万年」プラチナ万年筆「プレジール」ペリカン「ペリカーノジュニア」
上から)セーラー万年筆「ふでDE万年」
プラチナ万年筆「プレジール」
ペリカン「ペリカーノジュニア」

■楽しみ方の秘訣2■
インクで個性を演出する

「どんな万年筆を持ち、何色で書いているのか。それらは、自己表現のためのツールになりえると思うんです」と、古山さん。お気に入りの万年筆とインクならば、仕事のメモを取るのも、楽しくなりそうです。

個性を出したいならば、こんなインクをチェック。左は、24ものカラーがそろう人気シリーズ、パイロットの「色彩雫」のもの。右2点は、モンブランが期間限定で販売している、香りつきのインク。ほのかに、シナモンやバラが香る。
個性を出したいならば、こんなインクをチェック。
左は、24ものカラーがそろう人気シリーズ、パイロットの「色彩雫」のもの。
右2点は、モンブランが期間限定で販売している、香りつきのインク。
ほのかに、シナモンやバラが香る。
長く残すものに使うならば、パーマネントの顔料インクがオススメ。画像は、セーラー万年筆のナノインク(前列左2点)と、プラチナ万年筆のピグメントインク(そのほか4点)。
長く残すものに使うならば、パーマネントの顔料インクがオススメ。
画像は、セーラー万年筆のナノインク(前列左2点)と、
プラチナ万年筆のピグメントインク(そのほか4点)。

Information 1

古山 浩一 氏

画家・著述家。万年筆を使い、独自の世界観を描き続ける。主な著書に、『万年筆の達人』『楽しい万年筆画入門』『カバンの達人』『鞄が欲しい』(すべて枻出版社)、C.W. ニコルとの共著に、絵本『クリスマスベア』(アートデイズ)など。茨城県牛久市のアトリエでの絵画教室のほか、「上野の森アートスクール」などでも、講師活動も行っている。

公式サイト
http://www.entotsu.net/

Information 2

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