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2013 Mar.16
Be Unique! ~オンリーワンであること~ Vol.1

東京23区内唯一の酒蔵
小山酒造の酒造り

世界でたった1つであること。「オンリーワン」であることはそれ自体がユニークな存在であり、人を惹きつける魅力があります。なぜオンリーワンなのか、どうやってオンリーワンな存在になりえたのか、そこにはきっと他にはない「夢」や「ストーリー」があるはず。今回から始まる『Be Unique!』特集では、オンリーワンな人や企業を訪問し、その魅力に迫ります。

第1回目は東京23区内唯一の蔵元である小山酒造。オンリーワンであるということが何を意味するのか、またオンリーワンでありつづけてきたその理由について、d-laboスタッフ二階堂がお話を聞いてきました。

東京23区内唯一の酒蔵 小山酒造の酒造り

5代目社長は32歳!

小山酒造小山酒造

この日、d-laboスタッフが向かった先は北区赤羽岩渕。「江戸の地酒」、『丸眞正宗』の銘柄で知られている明治11年創業の小山酒造は荒川にほど近いこの地にあります。酒蔵というと古めかしい木造の母屋や漆喰の蔵をイメージしがちですが、ここ小山酒造は2002年に生産を効率化させるために醸造所を改築、すっきりとした外観の社屋になっています。もっとも、よく見れば上部には明治時代からの蔵の理念である「愛酒報国」の四文字が。門柱も創業以来の物がそのまま残されていたり、同じ敷地の中にはお酒の神様を祀る社があったりと、なにげないところに歴史を感じさせてくれるものが残っています。

小山周社長と奥様の小山久理常務製造責任者の深堀龍一さん

迎えてくださったのは小山周社長と奥様の小山久理常務、そして製造責任者である深堀龍一さん。小山社長は32歳、深堀さんは29歳。経営者の若さにまずびっくり。「社員は20代、30代が中心です」と小山社長。聞けば、昨年他界された先代の時に古くからある杜氏・蔵人制を廃止し、スタッフの世代交代を進めたのだとか。23区内唯一の酒蔵は若くて元気溢れる会社のようです。

良質の湧き水が支えた23区内唯一の酒蔵

小山酒造の歴史小山酒造の歴史

では、そんな小山酒造の歴史とは。小山社長に聞いてみました。

「うちは私で5代目。創業者の小山新七はいい湧き水が出ているというのでここで酒造りを始めたそうです。」

小山新七氏は埼玉にある小山本家酒造の次男。伝わるところによると「利き酒の名人」だったそうです。きっと「水」を見極める目も確かだったに違いありません。

「赤羽から王子にかけてのこの一帯はいい水が湧き出ているのです。製紙工場も多いし、国の酒類総合研究所もある。すぐ横には岩槻街道も通っている。きっと新七は埼玉の実家の蔵から東京へ酒を運ぶ途中で、ここが酒造りに適した場所だと気が付いたのでしょうね。」

そして誕生したのが小山酒造。井戸からとれる秩父山系の伏流水は「中硬水で発酵させやすい」日本酒造りに適した水。明治11年(1879年)の時点でどれだけ科学的な裏付けがとれたかはわかりませんが、創業者の目は確かだったようです。越後杜氏の流れを組んだ『丸眞正宗』は酒好きに好まれる端麗辛口が持ち味。すっきりと切れ味のよい日本酒は地元を中心に人々に受け入れられていきました。創業者の小山新七氏は「みんなが洋装した時代に頑として和服を貫いた、ちょっと変わった人物」であったとか。写真を見せてもらうと白い髭を長くのばした仙人のような外貌が印象的です。やはり一代で事を為した人というのは醸している雰囲気が違います。ちなみに「愛酒報国」という言葉は酒税が地租と並ぶ国の主たる収入源であったこの時代ならではのもの。

小山酒造の歴史小山酒造の歴史

そうやって明治、大正、昭和と時を経てきた小山酒造。関東大震災では煙突が倒れるといった被害もあったそうですが、第二次世界大戦では戦災をまぬがれ、今日まで営業をつづけてきました。
その間に大きく変わったのは東京の地価。お酒は保管するのに一定のスペースが 必要となりますが、そのスペースを所有するには固定資産税がかかります。 戦後から今日までの地価の高騰は固定資産税の上昇も招き、結果として経営を圧迫していったとのこと。気がつくと23区内に残ったのは小山酒造のみでした。そんな中「オンリーワン」の誇りを持ちながら、経営を続けることは並たいていのことではなかったようです。

もちろん、小山酒造にも地方へ引っ越すという選択肢がなかったわけではありませんでした。

「だけど祖父も父もこの赤羽の地で酒造りをつづける道を選んだんですね。赤羽というのは古くから居酒屋さんが多い町なんです。地元の人たちが愛してくれる『丸眞正宗』を地元で造りつづけたいという思いがあったようです。」

ただし「思い」だけでは会社の経営はできません。そこで取り組んだのが徹底した生産の効率化。小山社長も会社を継ぐにあたっては先代から「会計ができるようになれ」と教えられたそうです。酒造りと聞くとなんだか感覚的なものや経験が大切に思えますが、小山酒造の場合はそれ以上に「数字」を大切にしてきました。「数字を見る」は小山酒造代々の家訓。むろん、酒造りそのものにも「数字にこだわる」姿勢が活かされています。オンリーワン企業の秘密はどうやらこの「数字」にこだわった家訓に隠されているようです。

小山社長によると「23区内唯一という看板には良い面と悪い面がある」といいます。

「最初はオッと興味を持ってもらえるのですが、東京の水でつくったお酒なんかおいしくないんじゃないないの、と思われたりもするんです。」

そんなことをおっしゃる方にはぜひ飲んでいただきたいのが『丸眞正宗』です。吟醸辛口、純米吟醸、大吟醸、純米大吟醸…ものによって後味にキレがあったり、米本来のやわらかい甘味が口に広がったり、あるいは華やかであったりと、種類豊富なお酒はそれぞれに特徴的でお酒にうるさい人も納得できる美味しさです。「お酒大好き」と公言してはばからぬd-laboスタッフももちろん試飲させていただきました。低価格帯のお酒でも「注ぐ情熱は同じ」。家で、店で、肴に合わせて飲みたい1本を飲むといいでしょう。

丸眞正宗

もっと日本酒の美味しさ、楽しさを広めていきたい

小山周社長と奥様の小山久理常務

久理さんが語ってくれました。

「日本酒の美味しさを広めていきたい。」

実は小山社長と結婚するまでは日本酒はほとんど飲んだことがなかったという久理さんですが、結婚を機に大の日本酒好きに変貌し、ついには「きき酒師」の認定まで受けてしまったといいます。現在は「お酒と食べ物」というキーワードのもと、次々にイベントを打ち出しては『丸眞正宗』のPRに努めています。

「ワインと同じで日本酒はほんのちょっとの知識があるだけですごく美味しく感じるようになるものです。難しいことは取りはらって、このお酒はどういう料理と合うのか、どういうシーンで飲むのか、というふうに蔵でのイベントを通して日本酒の楽しみ方を知っていただければと願っています。」

平日の夜でも開催できるのが都内の蔵のいいところ。久理さんが企画するイベントには30~40代を中心に男女問わずお客さんがやって来ます。

「お客さん同士でワイワイやって、ほろ酔い気分で帰られる。もしかしたら日本酒の最大の魅力はこんなふうに人と人とをつなげてくれるところなのかもしれませんね。」

実は業界全体で見れば、日本酒は焼酎に押され気味。若い人のなかには1度も飲んだことがないという人も多い。自分自身もそうだった久理さんだけに「日本酒の美味しさを伝えたい」という気持ちは誰よりも強いようです。昨年もフローリストの方を招いての「花見酒の会」や料理研究家の先生とコラボしての「家呑み研究会」などを開催。積極的な活動は実を結んでいくに違いありません。

そして、これらを支えるのが『丸眞正宗』の味。昔ながらの端麗辛口を守りながらも、一方では最近の流行りである香りのあるお酒も意識していく。

「あまりがらっと変えると古くからのお客さまには違和感があるでしょうし、その辺は商品によって違いを出して対応していきたいと考えています。」

小山社長の夢は23区内唯一の蔵を守りつづけること。そして「自分と同世代の人たちにもっと『丸眞正宗』を飲んでもらうこと。」

「友人などまわりを見てみると、親の代に地方から出て来て自分は東京生まれという人間が多いんですね。そういう二世の東京出身者の人たちにも地元の酒と愛されるようなお酒にしていきたい。これがオンリーワンである小山酒造の務めではないかと思っています。」

小山酒造の皆さん

Information1

小山酒造

江戸の心意気を今に残す東京23区内唯一の醸造元。すっきりとした端麗辛口をベースにさまざまなシーンに合った日本酒を製造している。北区岩淵町にある酒蔵では蔵見学や各種イベントも開催(予約制)。試飲や商品の購入もできる。

公式サイト
http://www.koyamashuzo.co.jp/

Information 2

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文 中野渡淳一
写真 大井成義