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2013 Nov.21
DREAM MAKER
あの人に訊く、この話

『孤独のグルメ』の作り方
久住昌之の漫画・ドラマ・音楽挿話

『DREAM MAKER』は、「change」「think」「play」それぞれのテーマのもとに、いま気になる人にインタビュー。仕事で、プライベートで、その人が創り出してきたものや、出来上がるまでのストーリー、そしてちょっとディープな話題にも触れていきます。

「change」をテーマにお話を聞いたのは、漫画家で漫画の原作者でもある久住昌之さん。原作を書いた漫画『孤独のグルメ』がドラマでシリーズ化され、SNS上でも大いに話題になりました。『孤独のグルメSeason2』は「東京ドラマアウォード2013」で作品賞<連続ドラマ部門>にて優秀賞を受賞。また、『孤独のグルメ』の音楽を担当した久住氏のバンド「ザ・スクリーントーンズ」はライブ活動やサントラCD制作で活躍中です。さらに、夫が単身赴任中のズボラな主婦を描いた漫画『花のズボラ飯』も人気を集め、2012年にドラマ化。関連のレシピ本も出版されるなど、こちらは主婦層の支持を集めています。
立て続けにヒットがでる久住さんに、漫画やドラマ、音楽にまつわる裏話やエピソードを教えてもらいました。

『孤独のグルメ』の作り方 久住昌之の漫画・ドラマ・音楽挿話

ドラマ『孤独のグルメ』ができるまで

久住さんインタビューの様子

輸入雑貨商を営む主人公・井之頭五郎(いのがしら ごろう)が、仕事で訪れた街で食事をする様子を描いた漫画『孤独のグルメ』(原作・久住昌之、作画・谷口ジロー)。中年の五郎が食事をする様子と心理描写を描いた漫画が深夜ドラマとして放送され、多くの人の心をつかみました。

「『孤独のグルメ』っていうドラマは、何重にも面倒なことをしているんですよ。まず、実在する店で撮影しているんですが、店主や店員、お客さんはすべて役者。出てくる料理は本当の店主に作ってもらい、それを役者が出すという風にしているんです。当然、撮影の日には店の人がいないと困りますね」

なんとも二重三重に手間がかかっているドラマです。しかも、ドラマは大部分が主人公を演じる俳優・松重剛さんのモノローグなので、黙って食べている様子を撮影して、あとからナレーションを録音します。また、食事中の音声は同時録音なので、松重さんが食べているときには周囲の役者さんは物音を立てないようにしているそうです。

『孤独のグルメ』はシリーズ3作すべての音楽を久住昌之さんのバンド「ザ・スクリーントーンズ」が制作しています。

「漫画と同じ期間にわたって音楽活動をしてきたので、ドラマ化が決まって一番気になったのが音楽でした」

漫画が実写化されると、イメージが違うと言われてしまうことがあります。そこで、松重さんが街を歩いているときにかかる音楽、ということで作ったのが「STAY ALONE」という曲。漫画には音楽が流れていないので、映像と音楽がひとつになることで、ドラマ『孤独のグルメ』が生まれたのです。

♪松重"五郎"豊のテーマ「STAY ALONE」はこちらで聴くことができます。
(作曲:久住昌之・フクムラサトシ)

視聴率を超えた、体感視聴率?

久住さんインタビューの様子

「最初にドラマの話がきたときにお願いしたのは、オチをつけないでほしいということ。話を投げっぱなしで、見ている人がテレビに突っ込むような形にしてほしいと言いました」

確かに目論見どおりだったものの、視聴者の反応は思わぬところに現れました。『孤独のグルメ』を見ている人たちがドラマに対する“ツッコミ”をツイッター上で次々とつぶやいたのです。30分の番組中、4,000以上のツイートがタイムラインを埋め尽くし、五郎の台詞がホットワードで急上昇。

「もう、制作スタッフは興奮して『体感視聴率40パーセントですよ!』って(笑)。実際の視聴率は2.8パーセントぐらいなのに」

さらにドラマの反響は海外にも広がりました。インターネット上に字幕付きの動画が公開されたことで、中国や韓国の人たちにもドラマを見る機会ができたのです。

「第1回目に登場した店は、中国や韓国からわざわざ来る人が多いそうです。先日、たまたまその店に行ったら中国から来たという3人連れが『一緒に写真を撮りたい』と言うんですよ。もちろんです、ってサインにも応じていたら、こんどは別の席にいたおじいさんが来て『写真撮らせてください』って。その人も中国から来た人でした」

その店には、毎週のように中国や韓国の観光客が訪れるそうです。言葉はわからなくても、注文する料理で「ドラマを見て来たんだな」とわかるとか。最近では、「これでしょ?」とメニューを示すと「あーそうそう!」というやりとりになり、お店側も慣れてきたようです。

久住さんはそのような現象をどのように感じているのでしょうか。

「すごくうれしいですね。国同士ではいろいろあるけれど、おいしいものを食べているのを見ると『おいしそう』と思うのは、どこの国でも同じなんですよ」

『花のズボラ飯』の花は原作者自身

久住さんインタビューの様子

『孤独のグルメ』に続いて、漫画『花のズボラ飯』(原作:久住昌之、作画:水沢悦子)もドラマ化されました。ズボラな主婦の日常を描いた漫画のなかで主人公・駒沢花(こまざわ はな)が作る料理はレシピ本が出るほどの人気。漫画の絵柄はそれまでなかった可愛らしいタッチで、イメージががらりと変わりました。

「主婦向けの漫画雑誌からの依頼を受けて、どうしようか悩みましたよ。作画が水沢さんに決まって、今まで自分の漫画を読んでいた人は気持ち悪いだろうなと(笑)」

久住さんの原作はつねに実体験をもとに書いているので、料理を作ってみるのもご本人。主人公のキャラクターのせいか、1話目を読んだときには自分の漫画だという実感が湧かなかったとか。しかし、2話目からは主人公の花らしさが出てきたのだそうです。

主婦に人気の「ズボラ飯」は手近にあるものを使って、多少の失敗も気にしない料理です。

「ものを作るときの失敗や、なんとかしなきゃ、というのが面白いでしょう。何らかの失敗をどうにかするとか、うまくいっていたのに最後に失敗する、というのが面白い漫画だと思う。この漫画も、食べ物について書いているのではなくて、作るときのきっかけとか、失敗とか、そういうことを書いているので、出てくる料理は苦し紛れのものが多いんですよ」

ところで『孤独のグルメ』『花のズボラ飯』と、立て続けにドラマ化されて、話題になりましたが、原作者としてはどう感じていますか?

「『孤独のグルメ』の漫画は1994年から1996年にかけて連載されたもので、阪神淡路大震災とかオウム事件の頃に書いたものです。『花のズボラ飯』は2009年からの連載。時期がぜんぜん違うんですよ。
最近では映画も音楽もリメイクや再結成ばかりだし、世の中がネタ切れになって、いよいよ俺のところに来たか、という感じですね(笑)」

これから先、欲しい物は何ですか

久住さんインタビューの様子

漫画家、漫画原作者、ミュージシャンとして活動している久住さんですが、子どもの頃になりたかったものや憧れの職業はあったのでしょうか。

「ありませんでしたね。大学4年のときにデビューして、すぐに文章の仕事が来るようになって。計画的に留年して5年のときにはもう忙しくて、そのまま今に至る、みたいな」

デビューから順風満帆だった久住さんは、やがてインターネット雑誌で体験漫画を書くようになりましたが、インターネットが一般化すると雑誌は廃刊に。すでに結婚をして子どもを育てているのに、急激な収入ダウンとなってしまいました。

「バブルのときもそうだったけど、お金とか仕事って永遠に続くわけじゃないんですよね。仕事が入っているときは、発注する側も受ける側も、終わることを考えないけれど、変わるときにはあっという間に変わるんだなと」

これまで、久住さんがお金をかけてきたものは何でしょうか。

「そうだなー(しばらく悩む)。スクリーントーンズのスタジオ代ですかね。最近になってようやく黒字になったけど、そもそもバンドって儲かるものじゃないので。でも楽しいから続けています。そう考えると、漫画の方はほとんど原価がかからない仕事ですね」

バンドのメンバーとリハーサルが終わると飲みにいき、ライブが終わると打ち上げ。「一番お金を使ったのは飲み代かもしれない」と久住さん。これから手に入れたいものは何でしょうか。

「もう、余計なものは欲しくないですね。家もいらないし、本をたくさん買っても読まないだろうし。あっ、スタジオがあったらいいですね。みんなで自由に使えるスタジオ。それから、クルマと運転手も欲しいな。そうすれば、ライブの帰りにみんなで飲んで帰れるし(笑)」

漫画と音楽。デビューから32年の間に、いつしかそれぞれの活動で多くの人の支持を得るようになった久住昌之さん。「僕は自分の好きなことをやっているだけ。狙ったり、望んだりしたわけじゃない」とはご本人の弁ですが、それぞれを目指している人の目には夢を叶えた人として映っていることでしょう。ひたすら自分が面白いと感じることを突き詰めていくうちに時代が追いついてくる。これこそ多くの人にとっての夢ではないでしょうか。

Information

久住 昌之 氏
久住 昌之 氏

1958年生まれ、東京都出身。1981年、原作・久住昌之、作画・和泉晴紀のコンビ「泉昌之」で描いた短編漫画『夜行』でデビュー。実弟・久住卓也とのユニットQ.B.B作の『中学生日記』で、第45回文藝春秋漫画賞を受賞。谷口ジローとの共著『孤独のグルメ』は、フランス、イタリアなどで翻訳出版されている。また、水沢悦子との共著『花のズボラ飯』は、「マンガ大賞2011」4位、「このマンガがすごい!2012」オンナ部門1位。漫画、エッセイ、デザイン、音楽など、多方面で創作活動を展開している。

「花のズボラ飯」「孤独のグルメ」
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「孤独のグルメ」ウラオモテ話(2013年12月13日開催)

漫画『孤独のグルメ』『花のズボラ飯』などの原作者、久住昌之氏。今年10月にはテレビドラマ『孤独のグルメSeason2』が東京ドラマアウォード2013にて作品賞・連続ドラマ部門にて優秀賞を受賞しました。原作者として活動のほか、ドラマ音楽のミュージシャンとしてライブ活動も精力的に行っている同氏に、漫画やドラマにまつわるウラ話や、意外に知られていない出版事情や音楽事情についてお話しいただきました。

イベントレポート『「孤独のグルメ」ウラオモテ話

撮影:平山ジロウ