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2014 May.22
『六本木ビブリオバトル』レポート Vol.1

プレゼンテーションは大接戦!本を語ることは自分を語ること。
第7回『六本木ビブリオバトル』in d-labo

自分が読んで感動した本、おもしろさを人に伝えたくなった本。そんなお気に入りの1冊を聴衆にプレゼンテーションし、「いちばん読みたい本」を決める『六本木ビブリオバトル』。

その7回目となるイベントがさる2014年4月23日(水)、d-laboミッドタウンを舞台に開催された。登場したのは予選を勝ち抜いた8人のプレゼンターたち。投票の結果、「いちばん読みたい本」に選ばれるのはどの1冊か。各プレゼンターに与えられた時間は3分。短い時間の中でどれだけ想いを伝えられるか。熱いバトルは繰り広げられた。

プレゼンテーションは大接戦!本を語ることは自分を語ること。

評価の基準は「プレゼンのうまさではなく読みたくなったかどうか」

実行委員会の中野秀俊氏と平林友也氏
実行委員会の中野秀俊氏と平林友也氏

この日のd-laboは大盛況。午後7時半の開始時には約100人の参加者で会場は埋め尽くされた。まずは隣の人同士で会話をするアイスブレイクの時間から。それが終わるとプレゼンターの紹介。今日この場に来たのは、二度行われた予選会を突破した8人。各自の持ち時間は3分。そのあとに1分半のディスカッションと1分間の質疑応答。8名全員のプレゼンが終了したところで参加者による投票が行われ、もっとも多くの票を集めた本が「いちばん読みたくなった本」に選ばれる。

評価の基準は「プレゼンがうまいとかかっこいいとかじゃなくて、あくまでもその本が読みたいかどうか」。そしてプレゼンは「1秒でもオーバーしたら容赦なくばっさり切られる」。このわかりやすさ、小気味良さは『六本木ビブリオバトル』の魅力のひとつだ。

司会に立つのは『六本木ビブリオバトル』実行委員会の中野秀俊氏と平林友也氏。テンポのいい2人のトークで会は進行。さっそく一番手となる大浦清氏からプレゼンがスタートした。

和、思春期、仕事、強み……訴えるテーマはさまざま

一番手の大浦清氏
一番手の大浦清氏

大浦氏がすすめる1冊は『宇宙に挑むJAXAの仕事術』。「JAXAが組織をどうつくっているか」を紹介したこの本には、「会社や家族、恋人との関係性を深くするノウハウ」が書かれている。世界17か国と協力して国際宇宙ステーションを運営しているJAXA。彼らがいちばん大切にしているのは「和をもって尊し」の精神だという。

「みなさんにもきっと役に立つ本です」(大浦氏)

二番手の大津達朗氏
二番手の大津達朗氏

2冊目は大津達朗氏の『17歳は2回くる おとなの小論文教室。』。「大人にだって思春期はある」と話す大津氏は、この本の著者の山田ズーニー氏にその「大人の思春期」を見出す。本書は「ほぼ日刊イトイ新聞」の人気コラムをまとめたもの。そこには著者と読者との「生きたキャッチボール」がある。

「すごいことは書いていないけれど、言葉とか人生が蠢いている。本と一緒に人生を拓きたい人におすすめしたい1冊です」(大津氏)

三番手の田中宏幸氏
三番手の田中宏幸氏

三番手は田中宏幸氏。「僕にとって仕事がこんなに楽しいものかと教えてくれた1冊」と紹介してくれたのは、『ザ・ゴール 企業の究極の目的とは何か』。「勤務先では管理部門を担当している」という田中氏は、赤字つづきの工場の業務改善プロジェクトを描いたこの小説に書かれていることを応用して、「自分自身の増えつづける仕事を撃退してきた」。業務を改善するポイントは「ボトルネックを見つけ、その能力を向上させること」だという。

「今日も残業することなくこの場に来られたのはこの本のおかげです」(田中氏)

四番手の加藤泰明氏
四番手の加藤泰明氏

『フォーカス! 利益を出しつづける会社にする究極の方法』をプッシュしたのは、四番手の加藤泰明氏。『六本木ビブリオバトル』に臨むに際し「ありきたりのプレゼンしかできない」と悩んで手に取ったのが同書だったという。この本が訴えているのは「主力事業やブランドイメージにフォーカスした企業」の強さ。「僕はこの本を読んで目が覚めました」と加藤氏。目を向けるべきは「自分の強み」。

「悩んだり迷ったりしたら、この本を読んで自分の強みや自分らしさに目を向けてください」(加藤氏)

プレゼン・アドバイザーの野村尚義氏
プレゼン・アドバイザーの野村尚義氏

4名のプレゼンが終わったところで、コメントしてくれたのはプレゼン・アドバイザーの野村尚義氏。

「みなさんのプレゼンを聴いていて、本を紹介するときには3つのやりかたがあるなと思いました。一つ目は〈本を語る〉こと。二つ目は〈自分を語る〉こと。三つ目は〈自分を通じて本を語る〉こと。話のどこにぐっとくるかは人によって違います。ご自身のアンテナを立てたり引っ込めたりしながら聴いていってください」

7回目にして「珍事発生」!?

五番手の中山一朗氏
五番手の中山一朗氏

後半のトップは中山一朗氏。「91歳の父親を喜ばせてあげたい」と願った中山氏が思いついたのが「天皇陛下に会うこと」。宮内庁の「歌会始」に参加すればその夢は叶うと短歌を勉強。そうしたなか「息抜きに」と買った1冊が『カキフライが無いなら来なかった』。この本にあるのは、自由律俳句という五七五にとらわれない新しいスタイルの俳句。

「短歌や俳句というのは思ったことをストレートに表現することがすごく難しい。その点、この本の句は、経験したことをそのまま綴り、おかしくて余韻のあるものにしています」(中山氏)

六番手の中里桃子氏
六番手の中里桃子氏

六番手のプレゼンターは紅一点の中里桃子氏。紹介してくれたのは『嫌われる勇気』。「大人や社会に絶望したひねくれた青年」と年配の哲人との対話からなるこの本は、「読み進めていくうちにだんだん自分のことを言われているようで息苦しくなってくる」。そして「煩わしさを避けたいとか、気分を理由に何かをしないということができなくなる」本だという。

「弱ったときに読むと自分を振り返るすごく良い本になります」(中里氏)

七番手の宮崎洋史氏
七番手の宮崎洋史氏

つづいて七番手に登場したのは宮崎洋史氏。挙げたのは『安心社会から信頼社会へ 日本型システムの行方』。人を信頼する人と用心深い人。どちらが人に騙されやすいか。実は「用心深い人の方が騙されやすい」という。その背後には心理メカニズムが働いている。この本の特徴は「こう思う」ではなく、思ったことを実験で裏付けている点。

「読みきると、最後には、人間を信頼するといいな、という気持ちが残ります」(宮崎氏)

八番手の中井伸自氏
八番手の中井伸自氏

ラストのプレゼンターとなる中井伸自氏がおすすめする1冊は『青年海外協力隊の正体』。「青年海外協力隊」の部分に「ボランティア」とルビが振ってあるこの本は、国策としての「移民」と青年海外協力隊の比較など、いろいろな角度から「ボランティアの正体」について考察している。自身も青年海外協力隊に参加し、セネガルで過ごしたという中井氏。

「ボランティアは偽善。国の税金を使う青年海外協力隊よりも自費で移民として南米に渡った人たちの方が結果的に現地の人々に役立っています。ボランティアの正体が何かを教えてくれる興味深い1冊です」(中井氏)

前回優勝者の岩井茜氏
前回優勝者の岩井茜氏

全員のプレゼンが終了し、投票用紙への記入を開始。その間には一人1分で飛び入りのプレゼンを実施。前回優勝した岩井茜氏等4人の飛び入りプレゼンターがおすすめ本を紹介。集計が終わると同時に優勝者の発表となった。

最初に名前を呼ばれたのは第3位の大浦氏。『六本木ビブリオバトル』に参加して3回目となる大浦氏は「まだ3回だけど、本好きな方ってこんなにいるんだなと感激しています」というコメントを寄せてくれた。

第3位の大浦氏

そして優勝者の発表。「7回目にして珍事が起きました」という司会者の声に場内は興奮。何と、この日の優勝者、「いちばん読みたい本」は同票数での「同時優勝」。選ばれた2名は中里氏と中山氏。優勝者の両名にはd-laboのテーマである「夢」について語っていただいた。

「大人が〈仕事〉を楽しめる、また〈生きる〉を楽しむことができるような生き方がしたい。子どもや孫に大人って楽しいんだなってことを伝えられる社会になるといいなと思います」(中里氏)

「夢は『歌会始』。天皇陛下のお近くまで行けるように短歌を修業していきます」(中山氏)

優勝者の中里氏優勝者の中山氏

司会の平林氏からは「1人でも多くの人がプレゼンに挑戦してほしい」というメッセージ。大勢の人の前で自分の伝えたいことを話すことは緊張もあるが楽しい。

「今日みなさんと共有したこの時間と空間。これが明日からのみなさんの何かを始めるきっかけの一歩になれば嬉しい限りです」(平林氏)

<第7回ビブリオバトルにエントリーした本>

優勝
『嫌われる勇気』(岸見一郎、古賀史健著/ダイヤモンド社)
『カキフライが無いなら来なかった』(せきしろ、又吉直樹著/幻冬舎)

第3位
『宇宙に挑むJAXAの仕事術』(宇宙航空研究開発機構著/日本能率協会マネジメントセンター)

『17歳は2回くる おとなの小論文教室。』(山田ズーニー著/河出書房新社)
『ザ・ゴール 企業の究極の目的とは何か』(エリヤフ・ゴルードラット著/ダイヤモンド社)
『フォーカス! 利益を出しつづける会社にする究極の方法』(アル・ライズ著/海と月社)
『安心社会から信頼社会へ 日本型システムの行方』(山岸俊男著/中央公論新社)
『青年海外協力隊の正体』(吉岡逸夫著/三省堂)

プレゼンター8名

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六本木ビブリオバトル
~新しい自分を発見できる知的エンターテイメント~

2013年7月にスタートした参加型ブックイベント。本好きなら誰でも参加が可能。

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