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2015 Jan.22
Topic on Dream ~夢に効く、1分間ニュース~ Vol.61

音を聞いて五感をひらく、「音さんぽ」のすすめ。

音を聞いて五感をひらく、「音さんぽ」のすすめ。

日常の疲れを癒すために自然に触れる人は多いと思いますが、「音」をキーワードにお出かけしてみるのはいかがでしょうか。携帯電話をOFFにして山に入れば、川のせせらぎや鹿の鳴き声、ときには霧の音を感じることも…。今回は、音を聞いて五感を開く「音さんぽ」に参加するため、岐阜県山県市北山地区の神崎集落を訪れました。

音に敏感になると、「街が目を覚ます瞬間」がわかる

「ザー、ザー、ザー」「ドプンドボン」「ピーピョロロロロロ」。朝5時半、たゆたう水音と鳥の鳴き声に目覚める朝。神崎集落を歩きながら静かに耳を澄ませると、さまざまな音が入ってきます。音だけでなく、神崎川の綺麗な青色や、凛とした空気、朝ごはんの美味しそうなにおいもなど、五感を刺激するたくさんの要素に気づきます。

「音さんぽ」の様子 「音さんぽ」の様子

音風景研究家の岩田茉莉江さんが開催する「音さんぽ」は、音を感じながら散歩をして、五感をひらくワークショップです。今回のイベントは、山里生活体験推進委員会と岩田さんのコラボレーションによる「やまがた音さんぽ」。大人から子どもまで総勢21人が、廃校になった小学校に宿泊したあと、耳の体操をして村の音を感じていきます。ひろい集めた音は、大きな1枚の地図に書き込み、「音地図」として集約。それだけではなく、音を再現させる演奏会「音あつめ」を催して音を保存していきます。

今回で2回目の参加となる20代の女性は、「音に敏感になると、『街が目覚める瞬間』を感じるようになります。今朝も『あ、今変わった』という瞬間がありました」と話します。それは、朝陽が昇る少し前。真っ暗だった街がだんだん明るくなり、鳥や動物が目覚める瞬間。主宰の岩田さんによれば、「街の空気が変わる瞬間」は、山でなくても、都会でもどこでも感じられるのだとか。

「音さんぽ」の様子
「音さんぽ」の様子

耳だけじゃない。体で感じる「海鳴り」の響き

大学院でサウンドスケープを研究した岩田さんは、「おとたまり」を立ち上げて音さんぽの活動を広めています。岩田さんが音の世界に魅了されたのは、20歳のとき。沖縄の南大東島で、子供たちと一緒に50人のおじいちゃんやおばあちゃんに音について聞き込みをし、地域や時代によって「聞こえる音が違う」ことに気づきました。

「島には台風がよく来るので、島の漁師さんは『海鳴り』で台風が発生したことがわかるんです。もちろん聞こえない人もいます。海鳴りを聞くには朝いちばんがいいと教えてもらい、私も毎朝早起きをして島を巡りました。そして、1ヵ月くらいたったときに聞くことができたんです。耳で聞くというより、体に入ってくるという感覚。ゴゴゴゴ…と低い振動が体に響きました」(岩田さん)

音に集中して半年間島に滞在し、自宅に戻った岩田さんは、閉じていた感覚がひらき、世界が変わったことに驚いたそう。

「この感覚を伝えたくて、音さんぽの活動をしています。とにかく音を聞くのが好き」と語る岩田さん。その声があまりに優しく、耳に心地よく響くのが印象的です。春と秋をメインに開催される「音さんぽ」の情報は、 岩田さんのブログ にアップされる予定。

参考元:おとたまり
山里生活体験推進委員会

文 清水ともえ