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2015 Jan.29
Topic on Dream ~夢に効く、1分間ニュース~ Vol.62

大自然を前に心を洗い流す「アウトドア坐禅」

大自然を前に心を洗い流す「アウトドア坐禅」

坐禅といえばお寺の本堂をイメージしますが、海・川・公園などで行なう、一風変わった「アウトドア坐禅」というのを聞いたことはあるでしょうか。指導をするのは、臨済宗妙心寺派大禅寺住職の根本紹徹(本名:一徹)さん。今回は、気持ちのよい秋風が吹く木曽川で開催された「アウドドア サンセット坐禅」に潜入しました。

流れる川を前に、夕陽を感じながら「サンセット坐禅」

「まずは姿勢をただし、腹式呼吸をしたら、最後に心を整えます。坐禅とは無心になること。意識や思考が働く前の、穏やかな世界が自分の中にあるのを感じます。そこで自分を見ていく。外から入ってくる刺激ではなく、内側から生命力が湧き出る感覚に集中してください」

ゆったりと説明するのは、臨済宗妙心寺派大禅寺の住職・根本紹徹(本名:一徹)さん。坐禅の仕方はお寺での手順と同じですが、違うのは場所が木曽川の河川敷ということ。この日は夕暮れのなか行なう「サンセット坐禅」をするために、30~40代を中心に9人が河川敷に集まりました。

臨済宗妙心寺派大禅寺の住職・根本紹徹さん

坐禅時間は15分、20分、18分の計3回。川を前に目を半眼にして深く呼吸をすると、聴覚が鋭くなり、風が肌にあたる感覚が強くなっていきます。動かないのに、不思議と体が温かくなっていくような気がします。

この日のテーマは、「普段、自分に命令している自分とは何か」。根本さんは、自分を監督している、その自分とは何かを見つめなさい、と説きます。

「仏陀が菩提樹の下で坐禅をしたときのこと。『1週間、自分の内面がすべてわかるまでここをどかぬぞ』と思い坐りました。そのとき、目の前の川で、荷物を積みすぎて船が沈んでいくのを見たそうです。仏陀はそれを見てわかりました。苦行をして何かを見つけたいと思う心も、執着なのだと。荷物を積みすぎてしまうと、沈んでしまうのです」

あなたの心の船は、どうでしょうか?

積みすぎ、がんばりすぎの心に、根本さんの説法は沁み渡ります。「自分を監督している自分を、川に流してしまいましょう」という静かな言葉に、心の積荷がふと軽くなったような気がします。

周囲には伝えられない苦しみを、軽くしてあげたいという願い

「アウトドア坐禅」の様子

「心が川に洗われた気分。お寺で坐禅をしたことがあるけれど、外でするのは全然違う。気持ちがよくて、とても20分間とは思えなかった。終わったあと心も体もすっきり」と話すのは、今回初参加という会社員の男性。ほかの参加者も、皆すがすがしい表情をしているのが印象的です。

実は、根本さんがお寺という垣根を越えて精力的に活動することには、わけがあります。

もともと会社員をしていたところから修行をして、僧職の道に入った根本さん。仲の良かった友人が自死をした経験から、人の心の悩みを少しでも軽くしたいと考えているのです。そのため活動は多岐に渡り、一般の人に向けての坐禅体験だけでなく、自死防止活動なども行なっています。

「誰もが悩みを持っています。死にたいと思うほど悩んでいても、周囲の人には話せないこともある。そんな苦しみに向き合いたい」。そんな思いから始めたのは、余命宣告を受けて弔われる体験をするワークショップ「『旅だち』~死して生きる旅~」や、自死遺族を対象に支援する「いのちに向き合う宗教者の会」など。

毎日の生活にちょっとストレスをためてしまったとき。心をリセットする機会は、たくさんあるのかもしれません。

参考元:一徹.net

文 清水ともえ