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2015 Sep.15
Topic on Dream ~夢に効く、1分間ニュース~ Vol.101

「趣味のものだからこそ、こだわるべき」
江戸和竿の職人に聞く“和竿”の魅力

和竿

「5月・6月になると、アオギス・シロギスを釣るようになる。釣りに凝っている人間は、アオギス。精悍な姿をしたいい魚で、東京湾の浅瀬に脚立を置いて、その上から“和竿”を振り出すのが風物詩だった」

そう語るのは、経済産業大臣指定伝統的工芸品に指定されている江戸和竿の職人である二代目・竿富(吉田嘉弘さん)。現代の釣り竿といえば、カーボン製のものが一般的です。しかし、布袋竹(ほていちく)や矢竹(やだけ)などの竹を使った和竿も、釣り好きから篤い支持を得ています。今回は、その和竿の魅力について、吉田さんにお伺いしました。

季節に合わせた釣りに使われてきた和竿

『竿富』の暖簾

江戸和竿での釣りの代表的な対象魚であるアオギスは、残念ながら昭和30~40年頃に東京湾から消えてしまいました。しかし、当時の東京の釣り人たちは、季節に合わせた釣りをしていたのだと吉田さんは言います。

「1~2月にタナゴ、3~4月にフナ。これは、今釣り人に人気のあるヘラブナではなくマブナ。昔はフナといえばマブナだった。5~6月はヤマベやアユ。並行して3月頃から各地で解禁されていくヤマメやイワナのような渓流の魚も狙う。6月はアオギスやシロギスを狙い、9月はハゼ。そんな日に釣りなんかという人もいるけど、お彼岸にはハゼ釣りをやると決まっていた。その後は12月頃までボラを釣る」

そして、そのそれぞれの魚に合った和竿を使い分けていたのだとか。

「当然、釣る魚によってまったく違う和竿を使う。われわれ職人は、それぞれの魚に最も適した和竿をつくってきた」

和竿職人が教える、和竿が持つ3つの魅力

その1.一本一本の個性

様々な種類がある和竿ですが、その最大の魅力は一本一本、個性があることだと言う吉田さん。

「アユ釣りひとつをとっても、コロガシ(引っ掛け)釣り、ドブ(毛バリ)釣り、友(アユ掛け)釣りといくつもある。魚の違いだけではなく、釣り方によっても違う竿を使う。さらに、人によっても好みが違う。竿の調子もそうだし、長さもそう。だから本当に一本として同じものはない。カーボンロッドを否定するつもりはまったくないけども、工場で生産する釣り竿にはない個性が和竿にはある」

その2.見た目の美しさ

和竿の魅力は個性だけではありません。見た目の美しさについても、吉田さんは語ります。

「和竿の基本は、漆塗り。個人の好き嫌いはあるけれど、やっぱり見た目がいいのは、和竿のよさの一つじゃないかな。和竿は趣味のものなんだから、見た目も楽しまないと」

単に漆塗りの美しさというだけではなく、職人たちはデザイン性にもこだわっていると吉田さんは話します。

「私の場合、たとえば日本刀の鞘を参考にすることもあります。単に漆塗りというだけではなく、職人によっても塗りの個性があります。だから和竿を見れば、“これは竿忠(さおちゅう)のところだな”とかある程度わかる」

その3.長く使えること

個性と見た目だけではありません。耐久性についても、和竿は優れているのだそうです。

「漆塗りというのは、見た目だけで選んでいるわけではない。和竿は竹で出来ているから、使っていく内にどうしても曲がってしまうことも。そんな時には、火を使って竿を直接高熱にかけて修理をする。漆塗りは熱に強いから、こうした機能の面でも漆塗りを選んでいるんです」

さらにきちんとメンテナンスをすれば、長く使えるのも和竿の特徴です。和竿というと、素材が天然の竹であるため扱いが難しいと感じる人もいるかもしれませんが、特段難しいことはないと前置きをしたうえで、吉田さんは話します。

「和竿の管理の基本は、乾拭き。乾拭きすることで、そのままの状態を維持できるばかりではなく、より独特でいい光沢を放つようになる。そのほか、海釣りであれば、しっかり潮を落とすこと。川釣りでも、汚れれば拭きとって、陰干しにする。そのあたりのことは、購入するときにお店の人に聞けば、きちんと教えてくれるから問題ないよ」

和竿は継ぎ竿と呼ばれる、複数のパーツからできているのが基本。そのため、折れたりしても、比較的容易に修理ができるのだと言います。

「和竿は折れても、持ってきてくれれば直せる。そもそも継ぎ竿は、つくるときにも、たくさんの材料の中から選んで組み合わせていて、同じ一本の竹から作っているわけではない。だから、また良い組み合わせになる竹を見繕うだけで、修理はできる」

メンテナンスをしっかりきちんとしていれば、ずっと使い続けられるもの。工業製品にありがちな「もう部品を生産していないから修理ができない」というようなことは、和竿にはありえないということです。

お金には代えられない愛着を持てるかどうか

工業製品に比べたら、値が張るのではと思う人もいるかもしれませんが、ものの値段は、店頭での値札にだけによるわけではありません。吉田さんも言います。

「3万円ですごく高級品だと感じる人もいれば、10万円以上するものでなければ満足できないという人もいる。値段の感じ方は人それぞれ。ただ一つ言えることは、職人がちゃんと作ったものであることは重要。どんな値段にせよ、いい加減に作ったものは修理がきかないし、すぐにダメになってしまう。もちろんわれわれ職人のほうも、“安くていいかげんなもの”を作るようになってはだめだと思っていますよ」

釣りという趣味のものだからこそ、単に値段や使うことだけを考えるのではなく、愛着をもって使っていきたいですよね。そのためにも、個性や見た目の美しさ、長く使い続けられる和竿を選んでみてはいかがでしょうか。

文・遠藤由次郎

Information

二代目・竿富(吉田嘉弘)

東京メトロ千代田線・根津駅2番出口を出て、湯島方面に徒歩20秒にある江戸和竿を扱う釣り具店。店内には江戸和竿のほか、仕掛けやウキなどが並ぶ。

東京都台東区池之端2-7-13
TEL:電話番号03-3823-3244

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