特集
2016 Apr.6
コレクターズRoom Vol.17「ハワイアンシャツ」
得られるのは“ハワイを着ている”感覚。
ハワイアンシャツの知られざる魅力とは
愛するモノに囲まれた暮らしは、豊かさと刺激に溢れているはず。「コレクターズルーム」では毎回、さまざまなコレクターを取材。コレクションする楽しさや自慢の品などをご紹介します。
今回登場していただくのは、ハワイアンシャツコレクターの成田亘さん。恵比寿にてヴィンテージ古着店「54 BROKE」を営み、ハワイアンシャツ以外にもレザージャケット等のコレクションを雑誌で紹介するほどの、筋金入りのコレクターです。
それもそのはず、成田さんはまだ東京に「古着」というカルチャーが根付く前から、ハワイアンシャツなどのヴィンテージものを集めていたとのこと。そんな成田さんが考える、ハワイアンシャツの魅力とは何なのでしょうか?
ハワイアンシャツの配色や図柄、雰囲気に衝撃を受けた
「古着を着るようになったのは、40年ほど前の中学二年生の頃ですね。『人と同じものを着るのが嫌』というのがその理由でした。当時は古着に目を向ける人は少なかったんですよ」
恵比寿の高級住宅地に居を構えるヴィンテージ古着店「54 BROKE」。その店内で、成田さんがまるで昨日のことを話すように目を輝かせて、古着との出会いを教えてくれました。
「目新しい物を探していたら、1軒のサーフショップに出会ったんです。そのサーフショップには今まで見たことのないアメリカのカルチャーがいっぱいありました。リーバイスやリーのジーンズ、ジャケット、見たことのない色のコーデュロイパンツ、スタジアムジャケット、スイングトップ、開襟シャツ、Tシャツ…。そんなアイテムがぎっしりと詰まっていたんです」
「そのお店の匂いや雰囲気が、アメリカ西海岸そのもののように感じましたね。もう目はうるうるで心臓もバクバク。身体は嬉しさを隠すことが出来ず震えていました」
こうして中学二年生で古着と出会い、衝撃を受けた成田さんですが、当時はまだ東京においても古着が浸透していなかったそう。そのことを象徴するエピソードを教えてくれました。
「あるとき友人と渋谷の道玄坂を歩いていたら、女の人に呼び止められ、『そのジャケットはどこで買ったの?』と聞かれたんです。それで『古着で一点ものだから、どこにも売ってないですよ』と答えたら、ビックリしていました。当時古着は一般的ではなかったんです。思わずニヤッとしちゃいましたね。そういう優越感や自己満足は、コレクションやファッションの基本だと思います」
まだ古着が目新しかった時代、ハワイアンシャツの人気も今ほどではなかったと言います。はじめは古着のジャケットを中心に集めていた成田さんですが、ハワイアンシャツと出会い、その独自の表現に驚かされたのだそう。
「ハワイアンシャツは19歳の頃、古着屋で出会いました。そのとき見かけたハワイアンシャツの配色や図柄、雰囲気に衝撃を受けたのが、集め始めたきっかけですね。ハワイアンシャツの柄って、海や山、鳥、魚、花や人々が描かれていて、文化や自然などあらゆる面から“ハワイアンアイランド”を網羅しているんですよ。だからまさしく『ハワイを着る』という感覚なんです」
さらに、ハワイアンシャツに関するこんな豆知識も教えてくれました。
「ハワイアンシャツには日本のスピリットが入っています。もともとハワイアンシャツは日系移民たちの着物を、子供用に仕立て直したのが起源のひとつとも言われているんですよ」
なんとハワイアンシャツの成り立ちには日本の着物が関わっているとは!
「しかもハワイアンシャツって、集めていくと歴史絵巻みたいに時代ごとの変化や流行も見られるようになって、楽しいんです」
シャツを並べると歴史絵巻になる…。これも他の服にはない、ハワイアンシャツならではの楽しみ方ではないでしょうか。
■成田’s ハワイアンシャツコレクション 高額商品ベスト3■
「カメハメハの40年代のシャツで、ボンバックスという花をあしらった落ち着いた色彩が特徴の一枚です。ハワイアンシャツといえば半袖、というイメージがありますが、長袖のもののほうが貴重で、なおかつべ-スが黒や濃紺のシャツの人気があって、高額です。綺麗な配色のものは飾るのにもいいし、コ-ディネート次第で色々なファッションにも合わせられるし、年齢に関係なく着れますし、正にハワイアンシャツだからこそ出来る事ではないでしょうか」
「40年代後半から50年代にかけてDukeというブランドで作られた、パッションフルーツ柄のシャツ。これは本当に貴重なシャツです。このように本当に木々やフルーツ、動物、魚、和柄など色々な柄があるから、自分の好みで選べるのがハワイアンシャツの魅力でもあります」
「次に、王様などのハワイの歴史を描いた柄のシャツ。これも50年代のものです。フラックスという植物を原料にしています。やはりこれも長袖で色はブラックという要素が揃っているので、高額な一枚です」
■成田’s 思い入れのあるハワイアンシャツコレクション■
「妻と、まだ10ヶ月だった娘と3人でロサンゼルスに行ったとき、現地の古着屋の店主と仲良くなって。コカコーラのグッズを集めているという、変わった店主だったのですが、そんな彼から買ったシャツです。これはそのときの思い出があるので、記念にとってあります」
■成田’s 変わり種のハワイアンシャツコレクション■
「孔雀の模様の生地で作られた、30年代の子供用の長袖シャツです。ホームメイドかテーラーメイドかは分からないですが、一点ものでしょうね。胸にポケットがついているのもとても珍しいです。子供用の服のコレクションは他にハワイアンのワンピースもあります」
好みを追求すると、自然とヴィンテージに行き着く
貴重なコレクションを見せてもらって、浮かんだ疑問。ハワイアンシャツにおけるヴィンテージの定義とは?
「ハワイアンシャツにおいては、1940年~1950年代に作られたものがヴィンテージと呼ばれていますね。アメリカ本土からハワイを訪れた観光客がこぞってシャツを持ち帰り、本土でも人気を集めた時期で、ハワイアンシャツの黄金時代と言われています」
「ハワイアンシャツの素材にはタパ、レーヨン、コットン、ポリエステルといったものがあるんですけど、私が好きなのはレーヨン8割コットン2割。そうしたシャツは、30年代後半から50年代後期にかけてのハワイアンシャツ黄金時代に集中しているので、集めるシャツは自然とヴィンテージのものが多くなります。当時の配色、柄、文化的なものに心を惹かれるんでしょうね」
自分の好みを追求していくと自然とヴィンテージにたどり着くという成田さん。それはブランドについても同様だと言います。
「好きなブランドは、オリンピック水泳金メダリストであり、近代サーファーの父であり、ホノルル郡の保安官であり、ムービースターでもある…というデューク・カハナモク氏による「Duke」です。数あるハワイアンシャツの中からこれ!と選ぶと、それがたまたまDukeだったということがよくあるんですよ。他のシャツにはない柄の使い方やデザインが魅力です。デューク氏が着ている古い写真を見てみると、実にかっこいいんですよね。彼はまさに“ハワイアンヒーロー”です」
最後に、成田さんにとってのハワイアンシャツの魅力とは?
「ハワイアンの魅力は、なんといってもハワイを構成する自然や文化、人々すべてがこのシャツに詰まっていて、まさに“ハワイアイランドを着ること”を感じられること。そして、“アートを着る”という醍醐味もあります。着てもよし、飾ってもよしというのは、他のシャツにはない魅力ですね。ハワイアンシャツを着て、気分は常に南国ムードで行きたいものです」
文・照沼健太
- ■コレクター's データ■
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- コレクション:ハワイアンシャツ
- コレクション歴:約30年
- コレクション数:約400種類
Information
- コレクターズローン
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