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2016 Jan.13
コレクターズRoom Vol.13「メガネ」

骨董から世界各地の品まで。
今のお気に入りは、流行前夜のクラウンパントゥ型

岡田哲哉さん

愛するモノに囲まれた暮らしは、豊かさと刺激に溢れているはず。「コレクターズルーム」では毎回、さまざまなコレクターを取材。コレクションする楽しさや自慢の品、収集に必要なお金のやりくり術などをご紹介します。

今回登場していただくのは、メガネ専門店「GLOBE SPECS」の代表を務める岡田哲哉さん。日々メガネに囲まれて働く岡田さんですが、個人で所有するメガネも100本を超える量とか!世界各地で出会ったメガネや、約185年前のメガネ、世界最高峰の技術で生み出されたサングラスなど、岡田さんの思い出深い品々とは?記事のラストでは、これから流行すると予測するデザインも、教えていただきます。

その数、約100本!
凝り性な性格から、自然と多様なメガネが手もとに

インタビューの様子

メガネ専門店「GLOBE SPECS」が店舗を構えるのは、ファッションの街、渋谷と代官山。同ショップの店主、岡田哲哉さんは、メガネが視力矯正器具でしかなかった80年代から、メガネとファッションとの関連性に着目してきた、オシャレメガネ界の第一人者です。以前、「Be Unique!」のインタビューでは、ショップ開店に至るまでに、大手メガネ会社に勤務し、ニューヨークに赴任したり…と、様々な経緯があったことを話していただきました。

現在、独自の審美眼で国内外からセレクトした品々、オリジナルブランド商品、ヴィンテージ商品など、多様なメガネに囲まれて働く岡田さんですが、メガネとの出会いは、高校生の頃と言います。

「70年代の当時はデザインのバリエーションが少なく、消去法的に選びました。その後、この業界に入ったのは、80年代前半。以来、年に数本のペースで購入しています」

岡田さんが現在所有しているメガネは、自身が身につけるものだけでなく、アンティーク品や、ファッション・メガネ業界の関係者から譲ってもらったレアな逸品など、100本以上。なぜそこまで多くのメガネが集まったのか、その理由を尋ねると…。

「僕は、メガネに限らず、なにかにハマると、尋常じゃなくのめり込んでしまう性格(笑)。メガネの歴史を学ぶなかで、年代もののメガネにも興味を持つようになりました。意図的に収集したわけではなく、長年かけて、自然と集まったという感じですね」

今回披露していただいたのは、岡田さん個人所有のメガネのなかでも思い入れの強い品々。個性溢れるデザインとともに、その背景や、岡田さんを30年以上に渡って魅了し続けてきた、メガネの魅力を教えていただきましょう。

■岡田’sメガネコレクション■

NY赴任時代、“メガネ=ファッション”の可能性を感じさせてくれた品

「alain mikli(アラン・ミクリ)」のメガネ「CAZAL(カザール)」のメガネ

メガネにファッションアイテムとしての可能性を感じ、20代で大手メガネ会社に入社した岡田さん。しかし80年代当時の日本では、“メガネ=視力矯正器具”という固定観念が根強かったそう。社内でも、“メガネ=ファッション”という考え方に共感を得られず、閉塞感を感じていたとか。それを打破すべく、自ら希望したのがニューヨーク支店での勤務。そこで出会ったのが、この品々です。

2本並んだ下のメガネは、フランスのデザイナー「alain mikli(アラン・ミクリ)」のもの。上のサングラスは、同じくアラン・ミクリがデザインを手がけた、「Claude Montana(クロードモンタナ)」の品です。

「日本の芸能界では、メガネを自身のキャラとして打ち出すタレントが、少数ながらも登場しはじめていたんです。そういった方々も、アラン・ミクリのメガネには注目していました。僕もこれらの品に出会ったおかげで、ファッションのためにかけるという、メガネの可能性を信じることができたんです」

また白いものは、80年代のニューヨークカルチャーとの関連性が高い「CAZAL(カザール)」のメガネ。

「ヒップホップなどの人気ミュージシャンが、このブランドを愛用していて。あまりの人気から、メガネ店に勤めていても、入手困難なアイテムだったんですよ。その頃のニューヨークは治安が悪かったので、置いてある店はガラスを割られ、盗まれたりしたほど。僕は90年代に入ってから、やっと手に入れました」

現在のフレームは白ですが、実は、購入時は黒かったとのこと。「白いモデルが欲しかったんですが、見つからず…。それで、日本の職人に白い手作りのパーツに作り替えてもらって、レンズ周りも塗り替えていただいたんです」と岡田さん。こだわって手にしたアイテムだけに、今でも思い出深い一本なのだそうです。

1830年代の品、ホワイトゴールドの金張りなど、希少な年代もの

約185年前のメガネ1920年代にアメリカで作られたもの

こちらは、年代ものの品々。ケースに入っているのは、約185年前のメガネ。ヴィンテージメガネのコレクターの方からいただいたという、貴重な品です。

金張りのメガネは、1920年代にアメリカで作られたもの。185年前のメガネと比べると、鼻あてがあることがわかるはず。鼻あてがメガネに使われだしたのは、この頃なのだそう。

下のシルバーカラーのものは、その少しあとの1930年代、同じくアメリカのメガネです。「レンズの間にあるバーが、一筆書きのような形状をした珍しいデザイン。そこに惹かれて、どうしても欲しかったんです。ホワイトゴールドの金張りで非常に高価な品ですが、こちらも運良くコレクターの知り合いが譲ってくれました。普段、好んでかけるメガネの多くも、ヴィンテージのものですね」と岡田さん。

水牛の角に、ビビッドカラーに…。素材・配色に、個性を感じるメガネ

上・フロント上部がべっ甲でできたメガネ。下・水牛の角製のメガネ南仏のブランド「ANNE ET VALENTIN(アンバレンタイン)」のメガネ

メガネのデザインの幅広さを伝えてくれるのが、これらです。フロント上部がべっ甲でできたメガネは、日本の職人が手がけたもので、その価格は30万円ほど!べっ甲は、ツヤがなくなったら研磨し、壊れたら熱と圧力を加えて修理し…と、孫の代まで使える素材なのだそう。

その下にある、焦げ茶色のメガネの素材は、水牛の角。金属とは違い、手に触れたときに温かみがあるため、ヨーロッパの一部の国では古くから、靴べらやナイフの柄などに水牛の角が使われていたとか。

「『GLOBE SPECS』を立ち上げたら、ぜひ、水牛の角のフレームを取扱いたいと考えていて、自分でも手に入れた品です。ウィーンで作られたもので、価格は12万円ほどでした」

赤とグリーンが鮮やかなメガネは、南仏のブランド「ANNE ET VALENTIN(アンバレンタイン)」のものです。

「色が使われているのは、耳にかける柄の部分だけなので、かけると意外に馴染むんですよ。南仏は、家の外壁がピンク色だったり、いろいろな花が咲いていたりと、色彩に溢れた地域。そんな土地柄も感じさせてくれるデザインです」

激レア!高度なデザイン&最高峰の技術で生まれたサングラス

ドイツのブランド「ic! berlin(アイシーベルリン)」のサングラスフランスの一大メガネ産地、ジュラ地方の職人が手がけたメガネ

ひときわ目をひくこの2点は、デザイナーと職人から譲り受けた非常に珍しいもの。エンジェルの翼がモチーフになったドイツのブランド「ic! berlin(アイシーベルリン)」のサングラスは、世界にたった5点しかないハンドメイド品。「GLOBE SPECS」ではデザイナーとユーザーが直接コミュニケーションできる販売会を年数回行なっていて、その開催のお礼として、デザイナーから岡田さんへと贈られたのだそうです。

白鳥の羽にラインストーンがあしらわれたサングラスは、フランスの一大メガネ産地、ジュラ地方の職人が手がけたもの。接着剤を使わずに熱を利用してラインストーンを埋め込んでおり、これほどの技術を持った職人は、フランスで数人しかいないのだと言います。

「ジュラ地方には、2014年にはじめて足を運びました。向こうの職人たちは、わざわざ古い製法で作業していたり、年代ものの機械を自宅のガレージに置いて使っていたり…。生活のために仕事をしているというより、メガネが好きで好きで作っているという感じ。その高い技術力を多くの人に知って欲しくて、このサングラスはショップに飾っているんです」

“新たな発見”が追求の楽しみ。これから流行するメガネとは…?

極細の金属で作られたメガネ上・クラウンパントゥと呼ばれる形状のメガネ。下・ベルギー製のメガネ

それぞれのメガネの思い出に触れながら、「30年以上、メガネに関わっていますが、今でも新しい発見がたくさんあるんです。それが面白いですね」と岡田さん。

極細の金属で作られたメガネも、過去に、岡田さんへ新鮮な驚きをくれた一本です。一見シンプルですが、よく見ると、接合部はネジを使わずに組み立てられているのがわかるはず。軽量化のために金属はチタンが用いられていて、デザインしたのは、デンマークの建築家、アルネ・ヤコブセンの弟子たち。

「このメガネは1992年のグッドデザイン賞で、大賞の栄誉に輝いたんです。高級車などを抑えての受賞でした。メガネのデザインが、こんなにも多くの人に認められるんだ…と感動したのを覚えています」

一方、2本並んだメガネは、最近手に入れた品。下はベルギーのもので、近年のお気に入りのひとつだそうです。「不思議な形をしていますよね。でも、かけてみると、違和感なく馴染むんです」とか。

上は、2014年に訪れたジュラ地方で出会ったメガネ。「クラウンパントゥと呼ばれる形状で、ヨーロッパには昔からあるのだそうです。でも、日本では見たことがなかった」と岡田さん。岡田さんが日本に持ち込んだことをきっかけに、現在、国内で流行の兆しを見せているとか。

「この先、どんなメガネが注目を浴びるのか…。それを決める要因には、昨今のメガネの流行やサイクルだけでなく、社会の流れやファッションの傾向なども挙げられます。でも最終的には、直感で見極めることが多いですね。クラウンパントゥ型のほか、ファッション感度の高い人たちの間では、メタルフレームも注目されていますよ」

■コレクター's データ■
岡田さんのメガネコレクション
  • コレクション:メガネ
  • コレクション歴:30年以上
  • コレクション数:100点以上
  • 費やした費用:忘却
  • 最高額:お金では買えないアイテム、譲り受けたアイテムも多数

Information

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GLOBE SPECS

渋谷・代官山に2店舗を構える、メガネ専門店。ファッション業界人はもちろん、著名人にも多くのファンを持つ。また店舗のほか、7つの海外ブランドの日本総代理店業務も担っている。

撮影・松永光希