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2017 Sep.29
Travel Investment College Vol.1

【ニッポン二拠点生活】
都市で暮らしながら地域のためにできること

【ニッポン二拠点生活】都市で暮らしながら地域のためにできること

観光旅行として日本各地を巡るのも良いものですが、すでに様々な地域を訪れている人は、どのような楽しみ方をしているのでしょうか。観光から“もう一歩先”の体験をされている方々のお話を伺ってみたい。そんな思いから、「Travel Investment College~世の中の新しい可能性を探す旅に出よう~」をコンセプトに、新しい旅のカタチを学ぶ場を作りました。

全3回にわたって行なったセミナーの1回目は「ニッポン二拠点生活」をテーマにし、ただ訪れるだけではなく、楽しみながら地域にコミットする新しい生活の可能性を探ります。講師は、東京で弁護士をしながら、北海道で地元の仲間とホテルを開業された柏尾哲哉さんをお招きしました。

二拠点生活のきっかけは、離れることで見えてきた故郷の魅力

柏尾さんが“二拠点生活”を始めようと思ったきっかけは何だったのでしょうか。それは、東京で暮らすうちに故郷である北海道十勝地方の素晴らしさを再認識したからだと言います。青く澄み渡る広い空と広大な大地、美しい山並み、美味しい空気、新鮮な素材と食の楽しみ、人との語らい…地元では当たり前だと思っていたことがそうではないと気付き、40歳を越えたころから「もっと故郷の魅力を伝えたい」「故郷のためにできることはないか」そう考えるようになったそう。

北海道十勝地方の雄大な自然北海道十勝地方の雄大な自然
北海道十勝地方の雄大な自然

また大人となった柏尾さんの目には、多くの課題が映りました。寂れてゆく中心街、故郷を通過する観光客、そして故郷を離れて東京に行く若者たち…。それらの課題のために何ができるのか?権限も組織もない、長く地元を離れ人脈も築けていない、東京での生活があるため取れる時間も少ない。そんな“ない”ことだらけのスタートに、最初は何をすればよいのか分からなかったそうですが、地道に活動を続ける間に、柏尾さんの思いの強さに賛同する十勝出身者の仲間の輪が広がっていきます。

働き方の新しいカタチ 十勝と世界をつなぐ取り組み

柏尾さん柏尾さん

「経済成長が著しいアジアとのつながりを創り出すことで、地方に新しい可能性が生まれるのでは?」そう考えた柏尾さんは、2013年から台湾人女性をターゲットに“十勝を舞台とした短編映画”を制作する取組みを地元出身の仲間とともに開始。クラウドファンディングで資金を募り、多くの人の助けを借りて完成に至りました。また、世界の登録者数が10億人以上と言われているYouTubeで映画を配信することで、世界中の人々に十勝の魅力を届けることに成功したのです。

柏尾さんの“十勝再生活動”は映画だけに留まりません。2016年には同じ十勝出身の坂口琴美さんと共同で、すでに営業を終了していた歴史あるホテルをフルリノベーションして「HOTEL NUPKA(ホテル ヌプカ)」をオープン。宿泊だけではなく、イベント等も積極的に開催することで、世界中の宿泊者と地元の人が気軽に交流できる空間を作りました。

「HOTEL NUPKA(ホテル ヌプカ)」「HOTEL NUPKA(ホテル ヌプカ)」内装

そして、この「HOTEL NUPKA」を訪れるゲストに提供するため、オリジナルクラフトビール作りにも挑戦。“十勝の地図を片手にこれからはじまる旅の話をしよう”という想いが込められたこのビールは、「旅のはじまりのビール」と名付けられました。北海道産大麦が使用された地産地消型ビールは、地域ブランディングの成功モデルになり、ホテルのカフェバーや十勝各所で楽しむことができる“十勝を旅する人のためのビール”としても注目を浴びています。

旅のはじまりのビール旅のはじまりのビール
柏尾さんの手がけた「旅のはじまりのビール」

二拠点生活は人生の密度を高めてくれる

柏尾さん柏尾さん

現在、ホテルの経営は地元で支配人をしてくれる坂口さんに委ね、オーナーとして月に1~2回のペースで十勝を訪れている柏尾さん。“大きく異なるふたつのライフ(ワーク)スタイル”を持つことに、手探りながらも確かな手応えを感じているようです。「自分一人ではなく、地元で活動をしてくれる仲間を信頼し応援しながら、二拠点生活に自分の役割を持つ生活を楽しんでいます」と語るその表情は柔らかく、地域社会の再生に貢献できる喜びや、自分の力で未来を創る試みは何ものにも代え難い経験になるのだと感じられました。