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2017 Oct.10
for Bright Future! Vol.16

相続税と贈与税の損益分岐点 どちらで払うのがお得?

相続税と贈与税の損益分岐点 どちらで払うのがお得?

死亡した人の財産を受け取ることを相続、生きている人から財産を譲り受けることを贈与といいます。どちらも人から人に財産を譲ることには変わりなく、税金がかかります。基本的に、贈与税は相続税と比べて税率が高く設定されています。しかし、贈与税をうまく使うことで節税できることもあります。

この記事では、相続税と贈与税の制度の違い、贈与税の特例、場合によっては節税効果のある相続時精算課税制度について説明します。

相続税と贈与税の税率はこんなに違う

相続税とは、死亡した人から財産を受け取ったときにかかる税金です。相続税は、相続が発生した日を基準にして計算します。税金がかからない範囲を基礎控除額といい、計算方法は3,000万円+(600万円×法定相続人の数)です。

相続税の計算方法は、不動産や預金、証券、生命保険金や死亡退職金などの財産から、借入金や未払金などの債務、生命保険金や死亡退職金などの非課税部分、葬式費用などと基礎控除額を引いて、税金がかかる遺産総額を算出します。そのあと、法定相続分で相続したものとして相続税の総額を算出し、それを各人の遺産の受取額で按分し確認の相続税を計算します。それぞれの受取金額が決まったら、金額に合わせて相続税を計算します。

【平成27年1月1日以後の場合】相続税の速算表
国税庁ホームページより

法定相続分に応じた取得金額 税率 控除額
1,000万円以下 10% -
3,000万円以下 15% 50万円
5,000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
2億円以下 40% 1,700万円
3億円以下 45% 2,700万円
6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

一方、贈与税とは、生きている人から財産を譲り受けるときにかかる税金のことです。贈与税は、1月1日から12月31日までの1年間に贈与された財産の価額の合計に対してかかります。贈与税の課税方法には「暦年課税」があり、年間で110万円までの贈与なら税金がかかりません。

贈与税の計算方法は、贈与を受けた合計額から基礎控除額110万円をひいた金額に税率をかけて税額を出します。ちなみに贈与税の税率は、2015年から「一般贈与財産用」と「特例贈与財産用」に分かれています。

特例贈与財産とは、祖父母や父母などから、その年の1月1日の時点で20歳以上の子や孫などに贈与するケースです。それ以外のケースが一般贈与財産になります。それぞれの税率は、下の表のようになっています。

【一般贈与財産用】(一般税率)
国税庁ホームページより

基礎控除後の課税価格 税率 控除額
200万円以下 10% -
300万円以下 15% 10万円
400万円以下 20% 25万円
600万円以下 30% 65万円
1,000万円以下 40% 125万円
1,500万円以下 45% 175万円
3,000万円以下 50% 250万円
3,000万円超 55% 400万円

【特例贈与財産用】(特例税率)
国税庁ホームページより

基礎控除後の課税価格 税率 控除額
200万円以下 10% -
400万円以下 15% 10万円
600万円以下 20% 30万円
1,000万円以下 30% 90万円
1,500万円以下 40% 190万円
3,000万円以下 45% 265万円
4,500万円以下 50% 415万円
4,500万円超 55% 640万円

贈与税の特例と暦年贈与とは?

相続税と贈与税を比べると、贈与税は基礎控除額が低いうえ、税率が高いため、メリットがないようにみえます。しかし、贈与税にはいくつかの特例があり、用途に合わせて使えば、お得に贈与できます。それでは、代表的な特例を3つ紹介します。

1. 住宅所得等資金の特例

2015年1月1日から2021年12月31日までの間に、父母や祖父母などから住宅を取得するために贈与を受け、一定の条件に当てはまる場合、一定金額の贈与税が非課税になります。

2. 教育資金の一括贈与の特例

2013年4月1日から2019年3月31日までの間に、父母や祖父母などから教育資金の贈与を一括して受けるときに金融機関などと一定の契約を結ぶことで、1,500万円までの贈与税が非課税となります。しかし、贈与を受けた子や孫がが一定の30歳に達したときに残額がある場合、贈与税がかかるので、計画を立てて使う必要があります。

3. 結婚・子育ての一括贈与の特例

2015年4月1日から2019年3月31日までの間に、父母や祖父母などから結婚や子育て資金を一括して受けとるときに金融機関などと一定の契約を結ぶことで、1,000万円までの贈与税が非課税となります。こちらも、贈与を受けた子や孫が50歳に達したときに残額があると贈与税がかかるため、計画的に使わなければなりません。

もし、相続する時間に余裕がある場合、時間をかけて財産を贈与する方法もあります。暦年課税は、年間110万円までの贈与なら、税金がかかりません。また、毎年なるべく低い贈与税の税率の範囲で贈与していくという方法もあります。

ただし、毎年、一定額を贈与することを贈与者との間で契約(約束)した場合には、定期金給付契約に基づく定期金に関する権利の贈与を受けたものとして、110万円以下でも贈与税がかかります。

相続税で払う?贈与税で払う?
相続税と贈与税の損益分岐点はどこ?

基礎控除金額と税率だけをみると、相続のほうがお得にみえますが、自分が生きているうちに贈与したい人もいるでしょう。贈与のメリットの1つは、自分の選んだ人に財産を譲れることです。できる限り節税しながら贈与するためには、まず、どんな財産を持っているのか棚卸しをすることが大切です。また、法定相続人や配偶者の軽減税率を考慮して、相続税の税率を調べます。たとえば相続税の税率が30%の場合、それより低い贈与税で贈与できるのなら、節税になります。

財産総額を調べても相続税と贈与税の損益分岐点が分からない場合、税に詳しい人やFP(フィナンシャル・プランナー)などに節税方法について相談するのもいいのではないでしょうか。

相続時精算課税制度とは?

相続と贈与をお得に使う方法として、相続時精算課税という制度があります。相続時精算課税とは、60歳以上の父母や祖父母が20歳以上の子や孫に財産を贈与するときに使える制度です。2,500万円までは税金はかからず、その金額を超える部分は一律20%の贈与税がかかります。贈与財産の種類、金額、贈与回数、年数に制限はありません。

相続時精算課税を選択した場合、まず贈与時に贈与税を納めます。贈与者が亡くなったときは、贈与財産を含めて相続税を計算し、この相続税といったん支払っていた贈与税との差額を支払います(もしくは還付を受けます)。相続時精算課税を選択して支払った贈与税は、言い換えれば相続税の仮払いのようなものです。

母の財産総額が1億円で、子どもが1人いるとします。相続時精算課税を使って子どもに4,000万円を贈与した場合、2,500万円までは税金がかからず、残りの1,500万円には20%の贈与税がかかりますので、子どもは300万円の贈与税を支払うことになります。

その数年後、手元に残っていた財産6,000万円の増減はなく、子どもだけが残った状態で相続が発生した場合、相続税の計算は4,000万円の贈与はなかったことにして、もともとの財産である1億円に対して行われます。相続税は(1億円−3,600万円)×30%−700万円で1,220万円です。相続時精算課税制度で過去に300万円の贈与税を支払っているため、1,220万円から300万円をひいた920万円を納めることになります。

値上がりや収益が期待できる財産なら相続時精算課税制度がお得

相続時精算課税制度を使っても、一見、節税になっていないようにみえるかもしれません。しかし、この制度を使うとお得な財産があります。それは、将来、値上がりや収益が期待できる財産です。

たとえば、不動産を贈与後、数年たって相続が発生しても、贈与した不動産は、贈与した時の金額で相続税を再計算します。もし、贈与後に土地などが値上がりした場合、土地の値上がり分で財産総額が上がらないため、将来支払う相続税を間接的に減らすことができます。

土地の上に家賃収入が期待できるアパートなどを建てた場合、相続時精算課税制度で早めにアパートを次世代(子ども)に資産を移転しておけば、贈与以降に受け取る家賃収入は子どもの収入になるため、相続税を減らすことができる可能性があります。

将来、値上がりや収益が期待できる財産としては、株式などの有価証券もあります。このような財産を持っている場合、相続時精算課税制度を利用するほうが節税効果を得られるかもしれません。
しかし、贈与時より相続時にその財産が値下がりしている場合は、贈与時の高い金額で相続税が計算されるので不利になるという点には注意が必要です。

相続時精算課税のデメリット

使いようによっては、節税効果が出る相続時精算課税ですが、デメリットもあります。どちらがいいのかよく考えて、使うようにしましょう。

デメリットは、相続税の課税対象になることや、贈与できる範囲が限られていること、年齢制限があること、金額にかかわらず、贈与を受けたら贈与税の申告が必要なことです。いったん、相続時精算課税を選択したら、以後その贈与者からの贈与は、すべて相続時精算課税の対象となり、暦年課税に戻せない点も注意が必要です。

また、不動産の贈与の場合、移転コストが高く、相続ならば登録免許税0.4%のみですが、贈与の場合は登録免許税が2.0%となり、それとは別に不動産取得税もかかります。相続時に小規模宅地等の特例の適用が有利な宅地は、贈与を受けないほうが良いケースもあるので、注意が必要です。

財産を棚卸しして損益分岐点を見つける

相続税と贈与税の違いや、相続時精算課税のメリット・デメリットは理解できたでしょうか。贈与税は高いと思われがちですが、特例や相続時精算課税を上手に使うことで節税できることもあります。自身の財産を棚卸しして損益分岐点を見つけ、お得な方法で財産を未来に残しましょう。

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