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2017 Nov.6
Travel Investment College Vol.3

【ニッポン二拠点生活】
心が求める自然な生き方をみつけて実現する

【ニッポン二拠点生活】心が求める自然な生き方をみつけて実現する

観光旅行として日本各地を巡るのも良いものですが、すでに様々な地域を訪れている人は、どのような楽しみ方をしているのでしょうか。観光から“もう一歩先”の体験をされている方々のお話を伺ってみたい。そんな思いから、「Travel Investment College~世の中の新しい可能性を探す旅に出よう~」をコンセプトに、新しい旅のカタチを学ぶ場を作りました。

全3回にわたって行なったセミナーでは「ニッポン二拠点生活」をテーマにし、ただ訪れるだけではなく、楽しみながら地域にコミットする新しい生活の可能性を探りました。今回の講師には、静岡県下田市でアウトドアベンチャー企業を経営しながら、西伊豆の秘境で大人のアジト作りをされている橋村和徳さんをお招きしました。

本当にやりたいと思うことにエネルギーを使おう

橋村和徳さん

「Travel Investment College」全3回の講座の中で、唯一馴染みのない土地で起業し夢を実現させている橋村さん。現在、株式会社VILLAGE INC.の代表を務めていますが、肩書きには「ライフ&ワークデザイナー」という文字も。これには、“ライフとワークの素敵な関係を演出する人”、“ライフワークをみつける、取り組む、実現するお手伝いをする人”という2つの想いが込められており、橋村さんの「二拠点生活」を語るうえで外せないキーワードです。自分が会社を経営するとは夢にも思っていなかったと話す橋村さん、一体なにがきっかけで起業をすることになったのでしょうか?

佐賀県で生まれ育ち、幼少期から海に慣れ親しんでいた橋村さんは、海女さんだった祖母の影響もあり、小学生の頃は毎朝海へ潜り魚を捕っていたほどの自然児でした。そのうち華やかな都会に憧れを抱くようになり、東京の大学へ進学する道を選びます。卒業後はテレビ局を経てITベンチャー企業に参画。営業部門長として株式上場に導き、更なる事業拡大のため2008年に中国へ渡りました。しかし、劣悪な環境で過ごしていくうちに「心が求める無理のない生き方がしたい。そうだ!自分にはあの場所があるじゃないか!」と秘めていた想いが蘇ってきたのだとか。

セミナーの様子

“あの場所”とは、現在橋村さんが拠点にしているうちのひとつ「西伊豆」。船でしか行けない西伊豆の「秘境」を見つけたのは2001年、IT企業に勤めていた頃。東京で働くことに疲れを感じていた橋村さんにとって、西伊豆は本当の自分でいられる癒しの場所でした。幼少期に毎日がアウトドアのような生活を送っていた橋村さんが、自然を求めるのは当然のことなのかもしれません。始めは一人だけの遊び場として楽しんでいましたが、そのうち気の置けない仲間たちを呼んで火を囲むようになります。自然のなかにいるだけで心が通い合うことに気が付いた橋村さんは、中国に赴任するまでの7年間、年に一度“プライベートフェス”を開催しながら定期的に西伊豆を訪れていました。

中国へ渡り劣悪な環境を経験したことがきっかけとなり、西伊豆を舞台とした事業で起業することを決意。しかし、起業までの道のりは険しいものでした。なんと起業準備を始めた矢先、リンパ癌で胃の全摘を宣告されてしまったのです。せっかくこれから夢を叶えようとしていたときに…起業を断念することも考えるほど落ち込んだ橋村さんですが、「人生いつ死ぬかわからない。ならば、やりたいこと以外に命をかけるのはもったいない」と逆に自分を奮い立たせ、結果的には強く夢へのアクセルを踏むことができたといいます。

「何もないけど何でもある」大人が童心に戻れる場所を作りたい

改めて起業を決意した橋村さんにもう迷いはありません。2009年3月から癌の放射線治療を始め、同年5月に伊豆下田へ移住、ひとりで「秘境」に通い大人のアジト作りをスタートしました。

始めは使い慣れない重機を駆使して、背丈ほどある草をひたすら刈り続けるという作業が続きます。1年間の開拓期間を経て、2011年に「AQUA VILLAGE」、2012年に「REN VILLAGE」を開業。西伊豆の海に、船でしか行けない夢の秘密基地が完成しました。

AQUA VILLAGE
AQUA VILLAGE
REN VILLAGE
REN VILLAGE

橋村さんが作りあげたのは、一日一組のプライベートキャンプ場。澄みきったコバルトブルーの海、三方を囲む山々、船でしか行けないこの秘境には大自然以外何もありません。
立ちあげ当初は、なかなか売上がたたないという日もあったそうですが、今は数か月先まで予約が埋まっているほど大盛況。成功のポイントはどのようなものなのでしょうか?

まずは、自然を活かしたままサービス提供をしているということ。その強みを活かし、本来の人間らしさを取り戻せる、「自然回帰」の場所作りにこだわったそう。次に、船でしか行けない隔絶された場所でコミュニケーションをとるという「非日常」の体験。さらにはその体験を皆で「共有」できる環境であるということ。この3つの条件がとても大切だといいます。

情報過多の現代社会だからこそ不便をお金で買う時代、「アクセスが悪く、不便なほどいい」という発想。しかし、本当に何もなく不便で終わらないのが人気の理由でもあります。キャンプ初心者や女性同士でも安心して利用できるよう、炊事場やトイレやお風呂も整備。必要な道具一式の貸出や食材調達の代行サービスまで完備しています。「何もないけど何でもある」橋村さんがそううたうこの言葉には、VILLAGE INC.成功の秘密が隠されていたようです。

提供するサービスで物語の主人公になってもらえるか

セミナーの様子

最近はウェディングパーティーや同窓会、懇親会や企業研修などに利用されることも増えているそう。既存ビジネスの枠を超えた楽しみ方の提案力も、成功するための重要なビジネススキル。橋村さんのお話を伺って、ロケーションの目利き力はもちろん、単にプランニングするだけではなく、企画推進力、運営力が大切なのだと感じました。またビジネスに“ストーリー”を込めること、いかに世界観に共感してもらいそのストーリーの主人公になってもらえるかが鍵になってくるのだといいます。

橋村さんは現在、アセットを活用した教育プログラムで地方起業家を育成するなど幅広く活動されています。「今まで培ってきたノウハウを活かしながら事業を拡大し、地域活性の一翼を担いたいですね」と笑顔で話してくださいました。

なにか新しいことに挑戦するには、時間やお金だけではなく覚悟も必要です。しかし、その先にはただ働くだけでは得られない経験や喜びが待っています。たとえ橋村さんのように大変な試練が襲いかかってきたとしても、それをプラスに変える思考が物事を良い方向に運んでいき、結果成功へと繋がっていくのだと学ぶことができました。

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