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2020 Apr.17
SURUGA Cycle Journal Vol.53

伊豆を世界に発信
おとなサイクリストが集うイタリアン「The Crank」
オーナー 木村 政彦 氏

伊豆を世界に発信 おとなサイクリストが集うイタリアン「The Crank」オーナー 木村 政彦 氏

サイクリストが「crank(クランク)」と聞いて思い浮かべるのは、ペダルが付いている棒状のパーツだ。ペダルを漕ぐとクランク軸が回転しバイクの動力となる。そのパーツ名をそのまま店名にしたイタリアンが2019年春、修善寺にオープンした。店のエントランスドアのハンドルは、Campagnolo VELOCE※1のクランクだ。しかもいい感じに使い込まれ、VELOCEの文字も消えかけている。そしてシルバー。これを見ただけで40代、50代のサイクリストなら「むむっ、この店は」と興味をかきたてられるだろう。

※1 Campagnolo VELOCE(カンパニョーロ ベローチェ):イタリアの自転車部品専業メーカーであるCampagnoloの商品名

一年前にオープンしたこの店は、確実に、しかもかなりのスピードでサイクリストに浸透し続けている。最近は、店のインスタフォロワーの増加に伴い、「インスタにアップされている料理を食べに来た」という来店客が増えてきているそうだ。伊豆半島全域や富士市など、車で一時間以上かけて来る方も多いという。サイクリストを魅了するThe Crankの魅力を理解するため、オーナーの木村さんにお会いしてきた。

「The Crank = 木村 政彦 氏」

木村さんを訪ねてThe Crankに初潜入した。


鮮やかなブルーが遠くからでも目に入る

お店は伊豆箱根鉄道の修善寺駅から徒歩2分。余談だがスルガ銀行修善寺支店のお隣さんだ。遠くからでも映えるazzurro(アズーロ)色のファサード。当然イタリア国旗との相性は最高だ。木をふんだんに使ったエントランスには大きな窓が配置され、温かみと共に店内の雰囲気がうかがえる安心感がある。そんな中、大きく場所を取っているのが木製サイクルラック。食事中も店内からバイクの様子がチェックできるので、高額バイクのオーナーも安心して食事できる。

さて、店内へ。


贅沢な空間使いの店内

まず、広さと天井の高さに驚く。開放感のある店内は、テーブルの間隔が広いため都内の飲食店でありがちなピチピチ感はなく、ゆったりと食事を楽しめる空間になっている。サイクルジャージでも気兼ねなく食事を楽しめるよう、椅子のマテリアルにも配慮が感じられる。


ワインのストックは充実

店内の奥には当店人気のピッツァの数々を焼き上げる窯があり、隣のワインセラーには、イタリアワインが並ぶ。視線を左に向けるとバーカウンターがあり、ワイン以外の酒類がずらりと並んでいる。まさにイタリアンとしてフルスペックの店だ。


木村さんと女性スタッフさん(やはりサイクリスト)

そして店の内装に目を向けてみると、ビルの構造、経年による変化(味)をうまく取り入れてリノベーションされている。モルタルの模様と色づきが楽しい床、構造体である鉄骨を武骨に出しながらも、重くならないよう天井までオフホワイトに塗装。電気の配線はレトロ感のある金属パイプに収められている。そして店内奥のマットブラックな壁が、さらに奥行感を持たせている。そして部分的に使われたレンガと緑が、温かみと潤い感をプラスしている。

店舗設計にはさぞ時間をかけ、設計事務所と何度も打ち合わせをしたことだろう。「設計事務所もしくは店舗コンサルは東京から連れてきたんですか?」と訊ねると、

木村さん「いやあ、全部僕が考えました。」
「お店のコンセプトは?」と聞くと、
木村さん「はい、僕が。」
「ワインのセレクトは?」
木村さん「それも僕です。」
「メニュー構成は?」
木村さん「僕です。」といたずらっぽく笑う。

そう、「The Crank」=「木村 政彦」なのだ。

世界トップレベルのライダーが食事に来る店

「伊豆の魅力を世界に発信したい」という木村さん。店内奥の一角に木村さんのおもちゃ箱のようなスペースがある。壁にはクロモリバイクが掛けられ、大型液晶ディスプレイにはグランツールの映像が流れている。その手前には色鮮やかなサイクルジャージ、さらにはヘルメットやシューズ、そしてサドルまで。木村さんのコレクションでもあり、販売しているものもある。


バイクは木村さんの愛車たち

そこで目に留まるのは、ディスプレイパネルに入ったワールドチームのレースジャージやレースゼッケンだ。いずれも使用感があり、サインが入っている。


ワールドチームのジャージが
マリアローザまで
国際大会のテストイベント用ゼッケン

「ご来店ですか?」と木村さんに聞くと「はい(笑)」と。The Crankには自転車競技の世界的なアスリートがすでに何人も来店している。ライダー同士のネットワークがあり、来店したライダーのSNS投稿を見て連鎖来店になっているらしい。国際大会のテストイベントが伊豆ベロドロームで開催された際にも、トラック、MTB競技における有名選手たちが来店している。木村さんが目標とする「伊豆の魅力を世界に発信すること」は、すでに叶い始めている。

初心者から一流アスリートまで集える懐の深さ

コト(趣味)をキーに人が集まる場所は、どの層に焦点を合わせるかが難しい。マニアに合わせるとマニアが常連化し、初心者が入りにくくなる。初心者に合わせるとマニアを満足させられない。その点、木村さんのチューニングは絶妙で、The Crankは非常に懐が深い。初心者から有名選手までが違和感なく集える空間になっている。まず、ホスピタリティの高い空間と、日本人が好きなパスタとピッツァを中心としたメニュー構成によって、来店客構成比で非サイクリストは90%にも上る。サイクリストではなくても食べに行きたい店にしているのだ。たとえ来店するサイクリストが100%マニアだったとしても、全体の来店客数の中では10%になるわけだ。どのレベルのサイクリストが来ても、他の客を気にせず食事を楽しめるし、もちろん、レベルの高い料理が食べられることも大きなポイントだ。

チンクエフォルマッジ(5種類のチーズのピッツァ)

おとなサイクリストを満足させるバックグラウンド

サイクルツーリズムという言葉が定着しつつある昨今、その牽引役はやはり40代、50代のサイクリストだ。サイクリングイベントの年齢別エントリー数をみても、ボリュームゾーンはその年齢層である。経験値の高いこの層は、サービスに対する要求レベルも高い。木村さんの言葉を借りると「本物を知っている」からだ。彼らはアクティビティとしてサイクリングを楽しむだけではなく、自宅を出てから帰るまでの一連の「旅」を楽しんでいる。もちろん食の時間は重要な要素だ。当日ワインを飲まなくても、ワインのストック、ワインに合うメニュー構成はチェックし、店舗スタッフとの距離感なども含め、居心地を確認する。SNSでThe Crankを検索すると、来店客による「満足度の高い投稿」が多いことに驚く。顧客満足度を上げるプロデュースは、木村さんのバックグラウンドの広さによるものだ。

「修善寺が好き」

「竹林の小径やお寺など、和風の良い風景がコンパクトなエリアにまとまっていて、その割に観光客が少なくて静か。インバウンドの観光客にハマると思った。」「サイクリストとして走ってみて、温泉があり、アクセスも良く、伊豆の観光拠点にもなる。」と出店動機を話す木村さん。木村さんのご自宅は埼玉県だが、修善寺に出店してからは「ほぼ、修善寺で暮らしている」という。The Crankの出店にあたっては、木村さんが自己資金を拠出してリノベーションなどをしている。かかっている金額を想像すると「好き」だけで出店するのはリスキーだ。だが木村さんは、「まず伊豆の魅力を発信することが事業のドメインで、その活動場所、人が集う場所としてThe Crankがあります。投資回収は難しいかもしれません。つぶれないようにはしないと。」と笑いながら言う。

「木村さんを知ることがThe Crankを知ること」

多彩なキャリアを持つ木村さん。経営者であり、経営コンサルタントであり、大学教員でもあった。そんな木村さんと自転車の出会いは13~14年前。健康診断で中性脂肪の数値が気になり始めた頃、大学教員時代に教え子さんたちにランニングで負けたことがきっかけでクロスバイクを購入した。サイクリストあるあるで、その半年後にはロードバイクも購入している。


美しいコルナゴアラベスク

乗ることには楽しみを感じたが、何より、メカニック的な視点で自転車にはまっていった。「なんでもバラしたくなる」という木村さん。購入したバイクパーツは自身で取り付け、外したパーツはネットオークションで売却する、を繰り返していた。それが高じてバイクの仕組みやビルディングを学べる自転車の夜間専門学校にも通ったほどだった。そんな凝り性な性格が、The Crankのクオリティコントロールにつながっていると思える。


現在のメインバイク アンカー

エディメルクスの美しいクロモリ

なぜ飲食業を始めたのか

サイクリストとして修善寺が気に入ったということも分かったし、自転車を通して伊豆の魅力を世界に発信したいという思いも分かった。ではなぜ飲食業を選んだのだろうか。木村さんに飲食業の経験はない。

「食がないと、サイクリングロードは発展しないから」と木村さん。

日常以下のレベルの食を提供しても、すぐにサイクリストは来なくなってしまう。だから自分の手でサイクリストが満足する店を始めようと思ったそうだ。現在、二人三脚でThe Crankを運営するシェフの岩田成央(いわたしげお)さんとは、2018年からのタッグだ。また、The Crankの開店に際しては、メニューリストの撮影や、構成をフードコーディネーターである奥様のサポートで進めたそうだ。
ちなみにシェフの岩田さんもサイクリスト。店の昼休みにはバイクで修善寺のアップダウンを楽しむのが日課だ。


昼休みに素早くサイクルジャージに着替え

店周辺でも走りごたえありますと岩田さん

次の展開

開店から1年、木村さんのコンセプトと岩田さんの料理で、サイクリストの心をつかんできたThe Crank。水面下で次の展開は着々と進んでいる。2020年春には、宿泊施設としての許可申請を行い、同建物の4Fで事業を開始する。宿泊施設への改装はほぼ完了し、後はドミトリー※2としてのベッドの搬入を行う予定だ。宿泊施設が稼働すれば、The Crankを拠点とした伊豆半島サイクリングの幅が格段に広がる。週末を利用して、サイクリングの前泊、後泊においしいイタリアンとワインを楽しめる。営業終了時間の23:00まで、サイクリストで賑わうに違いない。

※2 ドミトリー:ユースホステルやゲストハウスなどの宿泊施設において、相部屋を前提とした部屋のこと。一般的に、1部屋に複数台の2段ベッドが用意されている。


ドミトリーにする予定の大部屋

和室

ツイン

宿泊フロア

さらにスイーツショップの出店計画も進行中だ。木村さんのバイタリティーは留まるところを知らない。修善寺のシンボルスイーツとして「修善寺プリン」の販売を2020年3月より開始。プリンのレシピ考案も、竹林をイメージした竹デザインの器も木村さんプロデュースだ。


竹デザインの器がさわやか

最近、修善寺でのネットワークも広がり、地元の方たちとの交流が盛んになっている。地元の方たちも木村さんに期待している。すでに週末は、予約で席が埋まることもあるというThe Crank。2年目の事業展開で、サイクリストからさらなる支持を集めそうだ。そして木村さんが描く、伊豆を世界に発信する情報基地として進化していくのだろう。

美しい伊豆創造センター 国内観光担当ディレクター
八木昂一さんから“ヒトコト”

「美しい伊豆創造センター」と名前だけ聞くと何の団体か全くわかりませんが、実はしっかりとした団体で伊豆半島の13市町が集まって構成されている観光に特化した団体として組織されました。現在は一般社団法人化し、今流行りのDMOとしても活動しています。

美しい伊豆創造センターでは2017年に全ての世代の自転車愛好家から愛される「サイクリングの聖地」を目指して「サイクリングリゾート伊豆基本計画」を策定いたしました。そのなかで代表的なイベントとしてスルガ銀行さまにも特別協力をいただき「伊豆半島一周サイクリング(通称:伊豆いち)」を開催しています。また同様にスルガ銀行さまと共催でリンケージサイクリング田代さまにもご協力いただきプレミアムなガイドライドの「伊豆半島攻略ライド」を始めとして、様々な自転車のイベントを通じ伊豆半島の魅力を紹介させていただいています。

私自身も伊豆半島の出身でロードバイクに乗っていますが、平日休日問わず大変多くのサイクリストの皆さまを拝見するようになりました。世界最大級の施設であるメリダエックスベースやサイクリスト向けの宿泊施設のコナステイ伊豆長岡の開業、またプロチームのレバンテフジ静岡も結成されるなど静岡県東部のロードバイクの盛り上がりは目を見張るものがあります。

そしてその盛り上がりの象徴と言っても差し支えないのがThe Crankです。The Crankのパスタもピザも甲乙つけ難い逸品ばかりで月に2回は通ってしまいます。ここ最近では新メニューの茄子とモッツァレラチーズのトマトパスタが楽しみです。またThe Crankの木村オーナーは、実は一般社団法人IZUBOUND代表理事としての顔も持っていらっしゃいまして、私ども美しい伊豆創造センターの会員としても協業いただいています。修善寺温泉にオープンした修善寺プリン工房とは、伊豆の自慢プリンという事業で販売促進をしていく予定です。今後も伊豆半島のサイクリングがさらに盛り上がるよう微力を尽くしてまいります。そして皆さまの魅力たっぷりの伊豆へのお越しをお待ちしております。

Information 1

The Crank

https://bria-crank.wixsite.com/crank

美しい伊豆創造センター(ゆうゆうネット伊豆)

https://izu-trip.com/

Information 2

スルガ銀行ロードバイク購入ローン

ロードバイクは、一度手に入れれば長く愛車として乗ることができます。スルガ銀行のロードバイク購入ローンなら、一般的なクレジットカードのリボ払いや分割払いよりもお得。対象は自転車やサイクリングウェア、パーツ、アクセサリー類など。サイクリングやロードレース、トライアスロンなどに必要なすべてのグッズが購入できます。返済は最長120回。ご自分に合った返済プランを組み立てることができます。

https://www.surugabank.co.jp/reserved/landing/road_bike/