スルガ銀行 Dバンク支店

SURUGA d-labo. Bring your dream to reality. Draw my dream.

特集

特集TOP

2013 Jul.12

専門分野を超えた自由な創造環境が世界を変える
~MITメディアラボ訪問記~

MITメディアラボには、想像力豊かなアイデアや発明に触れられる機会があり、やがて人々・ビジネス・社会に壮大な影響を及ぼす可能性が生まれる場所がある。
発明×イノベーションの震源地であるMITメディアラボで見えたものについて、同大学の卒業生である d-laboスタッフがレポートする。

専門分野を超えた自由な創造環境が世界を変える ~MITメディアラボ訪問記~

MITメディアラボとは?

MITメディアラボは、マサチューセッツ工科大学の建設・都市計画学部内に設けられた研究所である。研究分野は「情動コンピューティング」や「パーソナルロボット」、「タンジブル・メディア」など数十ものグループに分かれており、独創的な発明を次々と生み出している。2005年、開発途上国の子供たちに「100ドルラップトップパソコン」を配布し、子供たちが「探求し、実験し、自己表現する」機会を提供するための活動が大きなニュースとなったことは記憶に新しい。

MITメディアラボ

MITメディアラボに集まる人は自分の専門分野を捨てる

MITメディアラボのユニークなアプローチは世界的に有名である。MITメディアラボの精神は「Anti Disciplinary」(=専門分野に縛られるな)であり、この研究所に招致された研究者はまず自分の今まで研究したものを全て捨てることを要求されるそうだ。

研究者というと、自分の殻に閉じこもり他の者を寄せ付けないようなイメージがあるが、ここではそういったものを全て取り去り、新しいアイデアから社会的意義のある新たな価値を創造し、人・組織・社会の幅広い変革をすることが要求されている。学問において21世紀で一番重要なこととは、専門分野の垣根をなくすことなのかも知れない。

MITメディアラボの学生は常にリスクを冒さなければならない。MITメディアラボで初めから却下されるアイデアがあるとすれば、それはリスクが足りないアイデアなのである。

MITメディアラボ

研究グループの現場に潜入

まず最初に訪ねたのは、MITメディアラボを象徴する「パーソナルロボット」の研究グループである。世界初のMDSロボットの「ネクシー」は可動式でかつ器用であり、感情表現や社会交流ができるロボットなのだ。元々は災害時などに人間のサポート役としての自律型ロボットを開発するのが目的であったが、今では日常生活のさまざまな交流を研究するためのプラットフォームとなっている。

ロボットの社会交流を可能とするには、カメラやセンサーなどのハードウェアだけではなく、そのアルゴリズムには、発達心理学に基づく人間と同じような成長の過程がプログラミングされることが必要なのである。ロボットも人間と同じようにさまざまな環境で何年間もの経験を積む必要があるのだ。

左側に映っているのは1980年代の映画「グレムリン」にそっくりなロボット 。
左側に映っているのは1980年代の映画「グレムリン」にそっくりなロボット 。

ここではテクノロジーの知識だけでなく、人間性やデザインの感性も必要とされる。芸術家が人間型ロボットを作り、そのデザインとテクノロジーが融合することによって、より人間らしい機械へとなっていくのである。また、人間と有意義で親密な長期的関係を築くための「知能」も大きく進化してきている。昨今ではいつ機械の知能が人間を超えるのかという議論もさかんになされている。

境界のない環境

MITメディアラボはその外観のみならず、ほとんどの内壁もガラス張りになっており、教授やスタッフ、学生同士が自身の所属するグループの垣根を超えて協力しやすい環境となっている。

ここに集まる人々はMITと聞いて想像されるコンピュータ技術者や科学者だけではない。建築家、社会学者、音楽家、デザイナー、医師、アーティスト、ビジネスマンなど、さまざまな人々がいる。そしてこの人々が透明でオープンな環境のもとさまざまなプロジェクトにとりくんでいるのである。

MITメディアラボ

ビルの中のあちこちには自由に動かせるソファーや机があり、思いついたアイデアをすぐに書き出し、共有し合える壁もある。実にアナログ的なアプローチが発明には大切だと考えられている。

MITメディアラボ

イノベーションはスポンサーとともに

人々はよく「発明」と「イノベーション」を同じ意味に使うが、実際にはまったく別のものだ。「発明」とはそれまでにないアイデアやテクノロジーを考え出すことだが、「イノベーション」とはそのアイデアを実行に移し、利用する方法を生み出すという意味も含まれている。

MITメディアラボの強みはそのスポンサー・システムにもある。通常のスポンサーシステムであれば、スポンサー側が主導となり研究テーマやその進め方まで決めてしまうが、 MITメディアラボのスポンサーは研究内容を強制できないため、MITメディアラボは研究テーマに広がりをもたせることができる。MITメディアラボのスポンサーにとってのメリットは、資金提供という形で研究活動を支援し、MITメディアラボで開発された知的財産について無限の権利を得ることができることである(メディアラボとは対等に共有する)。

スポンサー企業は研究者に市場の最新のニーズやトレンドを伝え、研究者は実務的な背景をもとに自分たちの情熱のおもむくままに発明や創造を行うことで、画期的な新製品につながったり、さらにはまったく新しい市場に参入するきっかけになったりするのである。

「発明」を「発明」のままで終わらせず「イノベーション」へつなげる。スポンサー企業とのコラボレーションなしではメディアラボの生態系は維持できないのである。

MITメディアラボ

スポンサーと創る未来のクルマ

MITメディアラボの1階では、ちょうどスポンサーとのコラボレーションを象徴する企画展が行われていた。

写真はアメリカGM社とMITメディアラボとで取り組んでいる「スマートシティグループ」の”考えるクルマ”であり、このプロジェクトは都市部の渋滞や大気汚染を改善するだけでなく、人々のライフスタイル、移動手段に合った「パーソナルモビリティ(個人移動)」を設計することから始まった。

「自動車の車体は板金でなければならないのか?」「折りたためるクルマを設計できないか?」「都市とのインターフェースをとる自動車を設計できないか?」などの発想から大胆な創意工夫がされている。

MITメディアラボ

面白いことに、当初このプロジェクトに参加していた学生のうち、自動車設計の正式な教育を受けたことがあるのはたった1人だった。残りの学生は、建築、都市計画、アーティスト、物質科学など、さまざまな経歴を持っていた。

「もしかしたらできるかも!」と思わせるところにMITメディアラボの魅力や価値が十分に現れている。これが、人々の生活、ビジネス、そして社会全体に絶大な影響をもたらすイノベーションの原点となっている。

ここで見てきたロボットやクルマは見事な「発明」だが、その発明をラボに置いておくのではなく、実世界で多くの人びとが利用することが真の「イノベーション」なのである。世界の複雑に絡み合った問題を解決できるほどのイノベーションを生み出すには、人々や組織の大規模な共同作業が必要なのである。

(参考図書)
The Sorcerers and Their Apprentices:
How the Digital Magicians of the MIT Media Lab Are Creating the Innovative Technologies That Will Transform Our Lives Frank Moss, 2011

Information

「金運パワースポットで夢を掴み取る!!」特集

アメリカ・ボストンでも「スクラッチくじ」に挑戦!アメリカでは州ごとにスクラッチくじが運営されていて、空港やコンビニエンスストア、自動販売機で「スクラッチくじ」が購入できます。たくさんの発明とイノベーションが生まれるMITメディアラボを訪問した後、1枚1ドルのスクラッチを2枚購入すると…なんと10ドルの大当たり!! MITメディアラボへパワーをもらいに行くのはなかなか難しい方におすすめなのが、d-laboの「金運パワースポットで夢を掴み取る!!」特集。都内近郊の金運パワースポットを紹介していますので、ぜひご覧ください。

https://www.surugabank.co.jp/d-bank/special/series/pwsp.html

アメリカでも「スクラッチくじ」に挑戦!