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日本代表チームの、サポートを経験!

インタビューに答える阿部菜奈子さん

 管理栄養士の仕事場は病院や学校、老人ホームなどさまざまですが、阿部さんの活動の中心はアスリートのサポート。

「いろんな競技のアスリートを栄養面からサポートしています。相当な運動量でカラダを酷使していますので、カラダを守ることと強くすることを特に意識しています。しかし、ただ栄養を管理するというだけでなく、厳しい練習やプレッシャーの毎日なので、食事の時間くらいはリラックスして仲間との楽しい時間を過ごしてもらえるように配慮しています。食べるものだけでなく、ココロの部分もサポートしてあげることが重要だと思っています」

 現在は全日本男子バレーボールチームの栄養サポートを手がけている阿部さん。「年間100日以上にわたり、国内外の遠征や合宿があり、選手の皆さんは本当にハードだと思います。私は一人ひとりのコンディションを把握しながら、それぞれに必要なものを提供するようにしています。試合に勝った選手から『おかげで闘えたよ』と感謝されたりすることが、本当に嬉しい瞬間です」

 負けがつづくとチームが沈んだ雰囲気になることもあるそうですが、食事のメニューなどを工夫して気分を変えてリフレッシュしてもらうなど、見えない部分でのチームへのサポートは実はとても大きな役割となっています。

多くの人に、食事や栄養の大切さを伝えたい!

セミナーの様子セミナーの様子

 阿部さんはアスリートのサポートだけでなく、一般の方やスポーツに携わる子どもたちに、食事や栄養の大切さを伝えるレクチャーなどを積極的に行っています。

「一般の方に健康を維持するための食事や栄養についてアドバイスをしたり、運動を始めたばかりのお子さまやその親御さんに、理想的な食習慣などについてセミナーでお話したりといった活動に、現在力を入れています。運動を楽しむことはもちろんですが、これからの日本のスポーツ力を支えていくのは、若い力です。そんな若手たちがカラダもココロも豊かに成長してもらうために、栄養や食習慣の面からアドバイスをしているんです」

 まわりの人々を健康にしたり、日本のスポーツをもっと強くしたりと、「管理栄養士としての仕事は本当にやりがいがあり、楽しいです」と話す阿部さん。

 今後の夢を伺うと、「私の管理栄養士としての道は、まだまだ始まったばかりです。一人でも多くの人に食や栄養の重要性を伝えていきたいですね。もっともっといろんな知識や経験を積んで、一般の人からオリンピック選手などのアスリートまで、幅広くサポートできる人間になっていきたいです」と力強く語ってくださいました。

Mini column

意外と身近に多い!? 管理栄養士

 国家資格の中でも注目度が上がっている『管理栄養士』。「あまり身近に感じない」という方もいるかもしれませんが、さまざまな国家資格の中でも、私たちの生活に密着した職業の一つです。

 例えば、数で比較してみましょう。

 管理栄養士の人数は、2012年12月末現在で176,391人。その数は弁護士32,088人(2012年日本弁護士連合会統計)のおよそ5倍。また医療機関に従事している医師の数(現員医師数)の167,063人(2010年厚生労働省調査より)よりも約1万人多く、従事される方が多いことが分かります。

 しかし、管理栄養士が身近な職業となったのは、つい最近のこと。約50年前となる1965年の登録者はわずか1,671人(厚生労働省健康局がん対策・健康増進課資料より)。それが高度成長期以降、食の安全や栄養についてのニーズが高まるにつれ、1975年には9,878人とその数は5倍以上に。その後も増加をつづけ、2001年には10万人の大台を突破しました。

 “食”に対する社会的なニーズは、現在も高まりつづけています。少子高齢化を迎える社会で、管理栄養士は人々の健康な毎日を支える仕事として、さらにその必要性は増加しています。