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地元「茅ヶ崎」を盛り上げ魅力を発信する

ショップオーナー
高橋 十大さん

豊かな海と山に囲まれる、神奈川県茅ヶ崎市で生まれ育った高橋十大さん(41)。実家で経営するお茶屋を継ぐも、時代や嗜好の変化でお茶屋経営は厳しい局面に。苦悩の末に考案したお茶受け菓子『江の島タコせんべい』が湘南土産として大人気商品となり、アイデアと行動力で見事に苦境を打破。現在は従来のお茶屋も残しながら、地元のお土産などを中心に取り扱うショップのオーナーとして、愛着のある茅ヶ崎を盛り上げようと数々のイベントを企画し実現。「茅ヶ崎に多くの人に来て欲しいし、何よりも地元を愛する茅ヶ崎の人々を喜ばせたいんです」と語る高橋さんに、仕事のやりがいや今後の夢などについてうかがいました!

厳しい状況を、常に前向きに乗り越える

インタビューに答える高橋さん

 1961年(昭和36年)に茅ヶ崎で創業した、茶舗『お茶元 さつき濃』。お茶屋として地元の人々に愛されたその場所で生まれ育った高橋十大さん。小さな頃からずっと、大好きな茅ヶ崎で家業を継いでいきたいと考えていたそう。

「かつては住居兼店舗で、地元の人たちがたくさん集うサロンのようなお店でした。そんなお店を自分も引き継いでいくと、なかば当然のように思っていました」

 しかし実際にお店を引き継ぐことになると、高橋さんの目の前には大きな壁が立ちはだかることに。

「コーヒーやペットボトルが浸透して、お茶の文化が急速に縮小してしまったんです。これは本当に厳しい状況でした。さらにそれまでは接茶といって、コミュニケーションを通して情報を交換・発信していくサロンのような機能があったのですが、そのカルチャーも下火になってしまいました」

 そんな状況を打開すべく思いついたのが、“湘南名物となるオリジナルのお茶受け菓子をつくろう!”というアイデアでした。

地元の名を上げる、名産品をつくりたい!

インタビューに答える高橋さん

「ある休みの日に江の島で、のんびりとお酒を飲みながらタコ釣りをしていたんです。そうしたら結構釣れて、その場で生や炙りで食したところ、これが本当に美味しくて。その瞬間にひらめいちゃったんです。これで湘南名物をつくろうって」

 早速そのアイデアをカタチにすべく、自ら日本全国の工場にコンタクト。

「江の島のタコを使って、お酒のおつまみにもなるようなせんべいをつくりたいとアタックしたのですが、断わられつづけてしまいました。しかし最後には熱意が勝ち、ある企業が企画に賛同してつくってくださることになりました。そして味付けにもこだわってサンプルをつくり、お店を訪れるお客さんに配ってみたんです。するとそれが大反響で…(笑)」

 サンプルを食べたお客さまが次々と「売って欲しい」とお店につめかけたため、急遽商品化することになりました。

「時間がなかったので、自分で描いたデザインをパッケージにして、とにかく販売をスタートさせました。これが湘南名物『江の島タコせんべい』の誕生となりました」

 湘南名物を生み出した高橋さんのさらなるチャレンジへの幕が上がるのでした。