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新しいモノと古きモノ、その両方を大切にする

インタビューに答える高橋さん

 以前はお茶屋だったお店のスタイルも、『江の島タコせんべい』の人気拡大とともに業態を変化。現在は引き続きお茶を取り扱いながら、メインは茅ヶ崎を盛り上げる、地元の商品を取り扱うお土産店へと軸を移しました。

「幼少期から両親を見ていて、商売は本当に大変なものと感じていました。でも、自分のアイデアを元に自由に行動できるので、とてもやりがいを感じられることも事実です。周囲の仲間も地元でいろんな商いをしているので、この茅ヶ崎をベースにこれからも頑張っていきたいですね」

 高橋さんのお店『湘南ちがさき屋』には、江の島せんべいのほか、地域の品々が並べられています。

「茅ヶ崎でつくられたものはもちろん、商品にならなかった地元のお米を活用して米粉製品なども製造しています。今では、茅ヶ崎のいろんな新しい魅力を発信していくお店になっています」

 しかし一方で、守るべきものはしっかり守っていきたいと高橋さんは話します。

「半世紀以上にわたって取り扱っているお茶は、お店に足を運んで会話をしながら相談して自分の味を見つけるもの。だからインターネットなどでの販売は絶対にしません。これからも需要はあるので、文化を守る意味でも確実につづけていきます。このつづけるということに、大切な意味があると思っています」

地元を愛する人をもっと喜ばせたい

インタビューに答える高橋さん

「江の島タコせんべいは、たくさんの繋がりをもたらしてくれています」と語る高橋さん。日本各地のファンからは、今度はこの味をつくってほしいと多様なアイデアが寄せられ、「商品一つひとつの物語を大事にしています」という高橋さんの言葉通り、ユニークなフレーバーが続々と誕生しています。その人気は拡大し、百貨店や空港、さらにはハワイでも販売されることになりました。

「とにかく、茅ヶ崎を盛り上げたいという気持ちでいっぱいなんです(笑)。常に物語性を持たせたオリジナリティのある、ほかではマネ出来ないモノを発信しています」

 現在は茅ヶ崎市の観光協会副会長も務めている高橋さんは、年間を通して、数々のイベントも手がけています。

「茅ヶ崎の魅力は、なんといっても人にあります。昔からの人も最近住み始めた人も、オープンなのですぐに仲間になります。お店や手がけるイベントを通して、少しでも多くの人に茅ヶ崎を知ってもらい訪れてほしいという気持ちもあるのですが、一番大切にしているのは、茅ヶ崎の人たちに喜んでもらうということ。地元を愛する人たちに、茅ヶ崎をもっと好きになってもらいたいんです」

 お店のみならず地元でのイベントや演劇の企画制作、さらに観光協会の仕事や各メディアでの茅ヶ崎の紹介などマルチに活躍する高橋さん。その熱い地元愛は、これからさらにいろいろなカタチとなって広がってゆくのでしょう。

湘南ちがさき屋

湘南を創りつづけるお店
『湘南ちがさき屋』

  1. サザンビーチ近く。湘南名物『江の島タコせんべい』の直営店。
  2. https://www.chigasakiya.co.jp
  3. 〒253-0062
    神奈川県茅ヶ崎市浜見平17-11
  4. TEL
    :0120-82-6708
Mini column

出身地ではないけれど、大好きなあの街で働きたい!

「慣れ親しんだ地元でずっと働きたい」という人は、日本全国にわたって多く存在します。地域側としても、再生や活性化のためにさまざまな取り組みを行なっていますが、最近では特に、“3つの者”が求められているようです。一つが元気な“若者”、もう一つが突飛なアイデアを持つ異端児扱いの“ばか者”、そして客観的に地域の魅力を分析できる“よそ者”の3者。なかでも“若者”や“よそ者”の存在感は高まり、実際に沖縄県名護市で「ワカモノ・ヨソモノ力」をキーワードに求人を出したり、経済産業省主催で『ワカモノ・ヨソモノ×商店街=∞』と題された商店街活性化フォーラムなどが開催されたりしているようです。たとえ他の地域の出身であっても、街や地域によってはそのこと自体が重宝されているのです。好きな街や地域がある方は、定期的に情報をチェックしていれば、大好きな街で働くチャンスが訪れるかも!?