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自転車の楽しさや魅力を伝えていきたい

サイクルショップ スタッフ
御園井 杜充さん

明治30年(1897年)に浜松で創業した自転車ショップ「ミソノイサイクル」。約120年の時を経て、今では地元の子供から日本全国の競技者まで、幅広いお客さまにあらゆるサービスを提供するまでに拡大。ミソノイサイクルの五代目を務める智三郎さんの次男である御園井 杜充(みそのい もりみつ)さん(23)は、幼少期から競技者として自転車に親しんできたそうです。そして2年前からはショップでの勤務も開始し、お客さまと触れあう日々がスタート。現在、ショップ勤務と競技者・指導者としての活動を両立させている御園井さんに、仕事のやりがいや今後の夢などについてうかがいました!

幼少期から自転車が身近に

インタビューに答える御園井さん

 日本で最も古い自転車店「ミソノイサイクル」を実家に持つ御園井 杜充さん。

 幼稚園のときに自転車に乗りはじめると、兄と一緒に浜松の街を走り回るようになり、小学校に入学してからはオフロードサーキットで開催されるマウンテンバイクの大会に出場するなど、幼少期から自転車に親しんでいたそうです。このように幼い頃から自転車に触れる時間は多かったそうですが、実はほかにやりたいことがあったといいます。

「自転車にはふだんも乗っていましたし、大会などにも参加していました。実家が自転車店ということもあり慣れ親しんではいたのですが、実はそれほど自転車に乗ることが好きではなかったんです。小学生時代はとにかく野球が大好きで、プロ野球の選手を目指していました(笑)」

 小学校から中学まで野球部に所属していたという杜充さん。自転車はあくまでも生活ツールとして触れる程度で、本気でプロ野球の世界を目指していたそう。しかし転機は中学3年生のときに訪れました。

「自転車の県大会に、父が勝手に僕をエントリーしちゃったんです」 

 そしてこの時の結果が、杜充さんの未来を方向づけるのでした。

初勝利が決定づけた自転車競技への道

展示されているトロフィーや賞状

 静岡県の自転車の大会に、父の智三郎さんによっていきなり参加させられることになってしまった杜充さん。その結果は、杜充さん本人はもちろんのこと、ご家族にとっても驚きのものとなりました。

「スタートすると魂に火がついてしまい、優勝しちゃったんです。初めての表彰台は、最高の気分でした(笑)」

 これまでに自然と学び取った自転車の知識があったことと、野球部で人一倍筋肉トレーニングに励んでいたことが、思いもよらぬ結果につながったと杜充さんは話します。

「なんて自転車って楽しいのだろうと、心から思いましたね。そこから改めて、本格的に自転車の世界にのめり込んでいきました」

 鈴鹿サーキットや富士スピードウェイなどで開催されるレースには、幼少期から足を運んでいたという杜充さんですが、改めて自転車競技の道を意識して触れたレースには圧倒されたそう。

「そのスピードや駆け引きのすごさに、本当に圧倒されました。ゴール前での最後の勝負には鳥肌が立つほど感動しました」

 自転車競技の魅力を再発見した杜充さんは、高校でさらに競技を究めていくことを決意しました。