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成長を目指して海外留学を決意

仕事中の明畠さん

 2年目になると、早くも新人の教育係も担うように。自分自身もまだ懸命に仕事に取り組み学んでいる最中でしたが、看護師の技術や会話、心の持ち方などを伝えたと話します。

「技術も大切ですが、それと同じく大切なのが会話でした。病気への理解、どこまで伝えて良いのかといった情報管理が重要です。また現状を受け入れられていない患者さまに、会話を通じて状況を受け入れていただくお手伝いをすることも大切です。自分も勉強しながら、教える方も精一杯頑張りました」

 そして数年の月日が経過すると、明畠さんはさらなる成長を目指してある決断をしました。

「英語を学ぶためにカナダへの留学を決意しました。看護師の技術はいつでもどこでも活用できるものですが、コミュニケーションも同じく重要です。日本にいる外国の方と話せなくて悔しかった経験があって、早いうちに英語を習得したいと思って決めました」

 約1年半の留学で特に感じたのは、早く現場に戻りたいという気持ちだったと振り返ります。

「現場を離れて思ったのは、やはり現場で働きたいという気持ちでした。とにかく看護師の仕事が恋しかったです。語学上級コース取得者のみが進める現地のメディカルの学校に進み、より専門的な用語などを学びました。大変でしたが、英語ができるようになった自分に満足し、また専門的な医療を学ぶことができてとても充実した留学でした」

 帰国後はすぐに医療の現場へ。高齢者向けの施設やクリニック、透析や訪問看護などさまざまな現場を経験し、再び臨床現場に戻りガン患者さまと関わることになりました。

「以前と違い、いろんな経験や知識が増えた分、現場でも頼ってもらえるようになりました。ただ頼ってもらえる分、さらに勉強をしていかなくてはとも思いました(笑)」

心身両方のケアでたくさんの笑顔を

インタビューにこたえる明畠さん

「仕事がきちんとできることはもちろん、看護師に欠かせないのは患者さまの声をしっかり聞くこと、そしてちょっとしたことにでも気づけることだと思っています」

 ガンの患者さまと触れあう内に気づいたのが“ツメのケア”だったそう。

「副作用などでツメがボロボロの方が多かったんです。見た目の問題だけでなく、人間はツメがなくては物を持つことも立つこともできません。それでツメの健康を保つためにはどうしようと考えて、まずはネイリストの資格を習得しました」

 そして患者さまのツメをキレイにケアし、また健康な状態に保てるようにする活動を開始しました。

「4年ほど前からこの活動をしたいと思っていて、2017年になってようやく実現することができました。今では医療ネイルという言葉も一般化してきましたが、実際に男性にも女性にもとっても喜んでいただけます。派手なネイルではなく、ツメを健康にキレイにすることで、元気に笑顔になっていただけるんです。これからも一つでも多くの笑顔をつくりたいですね」

 看護師の仕事は、ココロとカラダの両方をケアすることと語る明畠さん。患者さまのケアをすることはもちろん、自分を成長させながら、常にプラスアルファの気づきを大事にして笑顔を増やしていきたいといいます。

「患者さまのための行動が、実は自分の成長に繋がっているとも感じています。相手の気持ちを考えることを忘れない、常に何かを言われる前に気づくなど、看護師の仕事を通じていろんなことを学ばせてもらっています」

 たくさんの笑顔をつくる看護師の仕事。明畠さんの活動は、これからもさらに進化していきます。

Mini column

“安定していること”が理由!?看護師数が増加!

厚生労働省が発表した『平成28年衛生行政報告例(就業医療関係者)』によると、2006年に811,972名だった看護師数(国内)が、2016年には1,149,397名に増加し過去最高を記録。この10年で、女性看護師が約34万人、男性看護師も約3万8千人から約8万5千人の2.5倍ほどに増加しました。

その理由としては、大きく2つが考えられるようです。1つ目は、看護師が国家資格のため、安定性のある職業と捉えられていること。将来に安定志向を持つ人に選ばれる職種となっているため、大学や専門学校などの看護学科の増設も活発化しています。

2つ目は、社会貢献への意識向上や一生働くことができる“手に職”系の仕事であること。いつでもどこでも必要とされるスキルを有しているので、ほかの職業と比べて場所や年齢といった制約に縛られずに仕事ができることが魅力となっています。

また景気に左右されにくい仕事であることや、高齢化時代を迎えさらにマンパワーが求められるようになっていることから、現場での男性のニーズも高まっているようです。手に職をつけて社会貢献したいという方は、トライしてみては?