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2013 Nov.28
『DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー』読者勉強会 Vol.5

『競争優位は持続するか』

「グローバル・リーダーを目指す人の総合マネジメント誌」として多くの経営者やコンサルタント、若手のリーダー層から支持を集めている『DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー』。第5回目の「DHBR読者勉強会」は11月8日、マッキンゼー・アンド・カンパニー日本支社の佐藤克宏氏をゲストに開催された。マッキンゼーでは、コンサルタントとしてエネルギー・素材業界研究グループ及びマーケティング・アンド・セールス研究グループのリーダーを務めながら、クライアント企業における業績向上を目指したケイパビリティ(組織能力)構築に取り組んでいる佐藤氏。先の読めない現代のビジネス環境だからこそ求められる企業のケイパビリティについて語っていただいた。

『競争優位は持続するか』

先の見えない時代だからこそ必要な「ケイパビリティ」

『DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー』読者勉強会の様子

今回の読者勉強会も参加者は多士済々。共通の関心事は自社の戦略や企業変革。こうした「志の高い」読者を前に、まずは佐藤氏にマッキンゼーでも「ここ3、4年大きく取り上げるようになった」という「ケイパビリティ=組織能力」についてのプレゼンテーションをしていただいた。

ここで述べられたケイパビリティとは「先を見越す力」であり「時代の波を乗り越えていく力」。競争優位を持続していく上でも求められるもののひとつだ。それには組織として定型化された「ファンクション=機能」が必要だが、佐藤氏によれば「日本には悲しいほどこのファンクションという概念がない」という。

「よく自社流という言葉を聞きますが、実は社内で声の大きな人が言っていることがそのまま自社流になっていたりするのが日本の企業です。海外のグローバル企業だとスキルとして定まっているものが日本にはない。だから戦略はいいものが描けていても、いざそれを実行するとなると『どうすればいいの?』という話になってしまうんです」

仮に、あるスキルを持っている人物がいたとする。その個人技が組織の技に昇華され、スケールアップされて、組織全体で共有できたとき、初めてケイパビリティは生まれる。欧米の企業はそのためにコーポレートアカデミーを開き、人材の育成に努めている。最近ではアジアでもこうした社内スクールを持つ企業が増えているという。

「日本人が弱いのは戦略立案までで考えが止まってしまうところです」と佐藤氏。

「もうひとつ、ふたつ、この戦略はどういうものなのか、なぜそうなのかと、噛み砕いて、掘り下げていく習慣がないし、トレーニングもされていない。これがしっかりできていないとせっかくの戦略も自己満足で終わってしまいます。まずはこうした習慣をつけること。これもケイパビリティではないでしょうか?」

『DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー』読者勉強会の様子

成功を「見える化」し、まわりを「勝ち馬」に乗せる

『DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー』読者勉強会の様子

では企業がケイパビリティを持つにはどうすればいいのか。そこには社内のコミュニケーションやトップのリーダーシップが大きく影響してくる。プレゼン終了後の質疑応答でも質問はそこに集中した。

「リーダーや社内の人にどう関心を持ってもらうか」、「大企業の場合は?」、「先を見るより目の前の売り上げに目がいってしまう場合は?」といったさまざまなケースに対し、佐藤氏の答えはシンプルかつ明解。「成功を見せつけてまわりを勝ち馬に乗せる」、「大企業でも、伝道師となるべき人がまわりの人たちを育てていく」、「業績評価は新しいものを売った人ほど高くする」と、具体的な方法を示してくれた。

必要なのはトップダウンで決められるリーダーシップや組織の持つ「集合知」。先の見えない時代でも生き延びている会社にはそれがあるという。今の時代は「ひとつの取り組みだけでは対応しきれない時代」。

「ケイパビリティも、そうした取り組みのひとつと考えていただければと思います」

Information 1

佐藤 克宏 氏

マッキンゼー・アンド・カンパニー日本支社 プリンシバル
慶応義塾大学法学部卒業。スタンフォード大学修士課程修了。日本政策投資銀行を経て現在に至る。マッキンゼー日本支社においては、石油、ガスなどのエネルギー、化学、素材業界の研究グループ及びマーケティング・アンド・セールス研究グループのリーダー。またマッキンゼーのC4P(capability for performance=クライアント企業における業績向上を目指したケイパビリティ構築)イニシアティブのリーダーでもある。

Information 2

DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー

世界最古のマネジメント誌として知られる『Harvard Business Review』(HBR)の日本語版。1976年の創刊以来、「優れたリーダー人材に貢献する」というコンセプトのもと「実学」に資する論文を掲載。現在は「グローバル・リーダーを目指す人の総合マネジメント誌」として『HBR』の論文の他日本語版オリジナル記事を掲載。時宜に合った特集内容が好評を呼んでいる。

公式サイト
http://www.dhbr.net/