スルガ銀行 Dバンク支店

SURUGA d-labo. Bring your dream to reality. Draw my dream.

特集

特集TOP

HI-STORY PROJECT Vol.5 ブルックリンの事例 ~ローカルブランドから、世界へ発信されるモノヅクリ~ 「Made in NYC」、あるいは「Made in Brooklyn」―今やニューヨークのオシャレなセレクトショップでは、必ずと言って良いほど、このタグのついた製品が見つかります。「Made in USA」ではなく、街の名前を誇らしげに掲げている製品。そこからは、作り手の地元への愛着と、ニューヨークから世界に発信していこうという、強い想いを感じます。世界のストーリーを探す旅、第5弾の今回は、さまざまなジャンルのアーティストが集まり、新しいアートやプロダクトが次々と生まれているブルックリンのモノヅクリにフォーカス。ローカルブランドがグローバルへと繋がっていく事例をお届けします。

2014 Jan.31
HI-STORY PROJECT Vol.5

ブルックリンの事例 ~ローカルブランドから、世界へ発信されるモノヅクリ~

「Made in NYC」、あるいは「Made in Brooklyn」―今やニューヨークのオシャレなセレクトショップでは、必ずと言って良いほど、このタグのついた製品が見つかります。「Made in USA」ではなく、街の名前を誇らしげに掲げている製品。そこからは、作り手の地元への愛着と、ニューヨークから世界に発信していこうという、強い想いを感じます。世界のストーリーを探す旅、第5弾の今回は、さまざまなジャンルのアーティストが集まり、新しいアートやプロダクトが次々と生まれているブルックリンのモノヅクリにフォーカス。ローカルブランドがグローバルへと繋がっていく事例をお届けします。

ブルックリンの事例 ~ローカルブランドから、世界へ発信されるモノヅクリ~

001 アーティストが集う場所、ブルックリン

「Made in Brooklyn」―それは、今やニューヨーカーにとってだけでなく、感度の高い世界中のファッション、アートラバーたちをも虜にする言葉となっています。気鋭のアーティストやデザイナー、クリエーターたちが集まり、さまざまなプロダクトが日々生まれる街となった、ブルックリン。しかし、何故ブルックリンにアーティストが集うようになったのでしょうか。

かつて、ニューヨークのアーティストが集っていたのは、マンハッタンの南東側の地域、いわゆるロウワー・イーストサイド。そこはかつて、治安の悪さと引き換えに、家賃や物価がマンハッタンの中心部よりも安く、駆け出し中のデザイナーやアーティストなど、お金の無いクリエーターたちが住むには絶好の場所だったのです。そして、その場所からさまざまなプロダクトが生まれ、新しい流行の発信地として機能するようになりました。

しかし、そのロウワー・イーストサイドも開発が進み治安が改善されていくに従い、家賃や物価が上昇。住みづらくなったアーティストたちが次に探し求めた場所こそが、かつてのロウワー・イーストサイドを彷彿とさせる、イーストリバーを挟んだ向かいに位置する、ブルックリンだったのです。

イーストリバー越しに、ブルックリンから眺めるマンハッタン
イーストリバー越しに、ブルックリンから眺めるマンハッタン
ライダーの間で有名な、ブルックリンのバイクショップ。アーティストによって手掛けられたユニークなバイクグッズを求めて、各地からライダーが集まってくる。
ライダーの間で有名な、ブルックリンのバイクショップ。
アーティストによって手掛けられたユニークなバイクグッズを求めて、各地からライダーが集まってくる。

002 新しいモノヅクリが生まれるところ

ブルックリンといえば、かつてはハーレムやブロンクスと並び、ニューヨークでもとりわけ治安の悪さで有名な地域でした。しかし、アーティストたちが押し寄せてきたおかげで、この十数年で大きく様変わりしました。セントラル・パークの設計者である、フレデリック・ロー・オルムステッドとカルヴァート・ヴォークスによって手掛けられたプロスペクト・パークでは、土曜日になると地元のアーティストや食品生産者によるマーケットが開かれ、賑わいを見せます。

今やブルックリンの中心ともいえるウィリアムズバーグは、古着屋やブティック、雑貨屋、バーやレストランなどが立ち並び、夜遅くまで若者が集うニューヨークの新たなおしゃれスポットになりました。

今のブルックリンに集まったアーティストたちに共通するのは、地元・ブルックリンに対する愛情です。彼らは、自由でアーティスティックな雰囲気を持つブルックリンを心から愛し、そこでモノヅクリをすることに誇りを持っているのです。

今回は、そんなブルックリンで行われているモノヅクリを取材します。

倉庫の壁に作られたメタルアーティストのオブジェ。街中がアート作品で溢れている。
倉庫の壁に作られたメタルアーティストのオブジェ。街中がアート作品で溢れている。
ニューヨークのセレクトショップには必ずおいてある、「Made in Brooklyn」の製品たち
ニューヨークのセレクトショップには必ずおいてある、「Made in Brooklyn」の製品たち
デニムのリペアや、オリジナルのデニムエプロンを作る『キル・デビル・ヒル』。さまざまな地元の製品も扱っている。
デニムのリペアや、オリジナルのデニムエプロンを作る『キル・デビル・ヒル』。さまざまな地元の製品も扱っている。

003 地元に密着したショップたち

ブルックリンの街を歩けば、すぐにアーティスティックでこだわり満載のモノヅクリに出会うことが出来ます。

ウイリアムズバーグのすこし北側、グリーンポイントにほど近い場所にある『キル・デビル・ヒル』というお店では、セルビッジデニム(旧式の力織機で織られたデニム)を使ったオリジナルのエプロンの作成や、デニムのリペアを請け負っています。

こぢんまりとした店内には、ニューヨーク中のデニム好きがリペアのために持ちこんだ、さまざまな型や年代のデニムが所狭しと並び、エプロン作成用のデニム生地のロールも壁に立てかけられています。地元で作られた石鹸や小物なども扱うなど、店中が「Made in Brooklyn」で溢れていました。

「自分が好きなモノを集めていたら、自然とこうなったのよ」と、店主のアンナさんは言います。ブルックリンに来て10年近くになるという彼女は、旦那さんと2人でこのお店を経営しています。近所のショップの人たちも気軽に話に来るなど、アットホームな雰囲気がとても魅力的なお店。

大通りを歩いて、ウィリアムズバーグの街の南端に行けば、ブルックリンでも特に人気なレストランのひとつである、『マーロウ&サンズ』を見つけることが出来ます。

ここでは、地元の素材で作られたハムやソーセージなどの加工肉やその日に採れた地元野菜を使った料理を日替わりで出すなど、全てにおいてオーナーのこだわりが行き届いています。また食べ物だけにとどまらず、地元で作られたバッグや小物なども展示・販売されるなど、徹底して地元に密着したお店なのです。

さらに、近所にある系列店である『マーロウ&ドウターズ』では、レストランで扱う地元食材の直販なども行っています。地産地消を実践している、ブルックリンでもイチオシのレストランです。

地元の食材をふんだんに使ったおいしい料理が食べられる名店、『マーロウ&サンズ』。
地元の食材をふんだんに使ったおいしい料理が食べられる名店、『マーロウ&サンズ』。
日本でも売られている、『スタンレー&サンズ』のバッグ。無骨だが味のあるデザイン。
日本でも売られている、『スタンレー&サンズ』のバッグ。無骨だが味のあるデザイン。

004 Made to Last:一生使える鞄作り

ブルックリンにはショップやレストランがあるだけではありません。メインストリートから少し離れ、海沿いの倉庫跡などに行けば、モノヅクリの工房を見つけることができます。

日本でも取り扱われている『スタンレー&サンズ』も、ブルックリン発のバッグ・エプロンメーカー。Made to Last-つまり、「一生モノ」を理念に掲げるこのブランドの鞄は、分厚い帆布に、これまた分厚いレザーのハンドルを、ステッチではなくリベットで打ち付けて留めるという、丈夫な作り。「私のおじいさんの時代の労働者たちが使っていた鞄を元に考案したんだ」とオーナーのデレックさんは言います。

元々、おじいさんが鞄職人で、小さい頃からモノヅクリに触れていたDerekさんにとって、ミシンは遊び道具のように身近にあったそう。そんなデレックさんが鞄作りを本格的に始めたのは、2008年のこと。元々はマンハッタンのアパートの地下室で、近しい友達のために鞄を作っていたら、たちまちそれが評判になったのだと言います。

そこで、周囲の要望に応えて本格的な生産をするため、『スタンレー&サンズ』を立ち上げたのです。その生産拠点として選んだのが、ブルックリンでした。当時は、今よりももっと家賃が安く、それでいてマンハッタンへもすぐにアクセスできるというところが魅力だったそうです。

『スタンレー&サンズ』の鞄やエプロンに使用する素材は、軍で使われているモノと同じ規格のワックス・キャンバス。どっしりとした素材感と、長年の使用に耐える頑丈さが特徴です。そこに、上質で肉厚なレザーをリベットで打ち付けて出来るバッグやエプロンは、まさに「一生モノ」にふさわしい耐久性を備えています。

「最近の大量消費されるようなモノは、結局は誰も幸せにしないよ。ウチのバッグは、シンプルで飽きの来ないデザインな上、とても頑丈だから10年経っても使える。ゴミなんかにならず、その人のバッグであり続けることが出来るんだ。それこそが、バッグと持ち主の正しい関係。だからこそ、ウチのポリシーは『Made to Last』なんだ」と、デレックさんが胸を張って言っていたのがとても印象的でした。

オーナーのデレックさんと、パートナーであるリンジーさん。
オーナーのデレックさんと、パートナーであるリンジーさん。
グラスアーティストのセデウスさん。吹いたガラスを切り離すところ。
グラスアーティストのセデウスさん。吹いたガラスを切り離すところ。

005 ブルックリンのグラスアーティスト

ブルックリンのモノヅクリは、発展著しいウィリアムズバーグやその周辺だけではありません。南の外れの辺りにも、鉄工や木工、ガラスなど、さまざまな素材を扱う工房が集まっています。

その中のひとり、ブルックリンを拠点にグラスアート作品を世界に発信しているセデウスさんを訪ねました。

「アーティストにとってニューヨーク、特に今のブルックリンは、最高の場所だよ。世界中のデザインやアートが揃っている。ブルックリンは、今やアーティストのための街だといっても過言じゃないよ」とセデウスさんは言います。

少しだけ足を伸ばしてマンハッタンに行けば、MOMAやグッゲンハイムといった最高峰の現代美術館にアクセス出来るし、美しい建築物も沢山あります。そんな、ブルックリンのありとあらゆるものからインスピレーションを得てセデウスさんの作品は生まれるのだと言います。

セデウスさんは大学では絵を専攻していたそうですが、ガラスに出会ってから「自分が表現する手段はガラスだ」と感じ、10年以上に渡りガラスのアート作品を作り続けています。スムーズな感触もラフな感触も、自在に表現できるのが魅力だそうです。そんなガラスアート作りは、大きな作品ともなると、吹いて形作ったガラスを切り離すだけでも3人掛かりの作業となり、チームワークが必要になります。彼のガラス工房では、何名かのアーティストが協同で作業していて、お互いに助け合って作品を制作できるというメリットもあります。

このように、アーティスト同士で工房をシェアして協力し合える環境があるのも、ブルックリンならでは。セデウスさんは、今後もブルックリンのこの工房でガラスアートを作り続けながら、個展やギャラリーで世界に向けて作品を発信していくそうです。

メインストリートにはオシャレなショップが建ち並び、その外れには面白いモノヅクリを行っているファクトリーが数多く軒を連ねている。そんな雑多さ、懐の広さが、ブルックリンの魅力です。この街を訪れる際には、ゆっくりと時間をかけて回ってみることをおすすめします。

制作途中の作品達。ここから仕上げて、独特のカタチを持ったランプシェード作品が生まれる。
制作途中の作品達。ここから仕上げて、独特のカタチを持ったランプシェード作品が生まれる。

006 ローカルからグローバルへ。新しいモノヅクリのカタチ

面白いモノで溢れているブルックリン。多種多様なアーティストたちが、日々新しいなにかをこの街で生み出している。そしてそれが、「Made in Brooklyn」というタグを背負って、世界へと発信されていく。地元を愛し、自分の作品であると同時に、ブルックリンで生まれた作品として街のイメージを作り上げ、グローバルに発信していくというプロセスがそこにはあります。その過程には、これからの日本のモノヅクリが学ぶべきヒントがあるような気がしました。

第5回目となった今回のブルックリン特集、いかがでしたでしょうか。ニューヨーク編は、今回でひとまず終了となります。

最後に、今回取材に協力してくれたブルックリンのお店、アーティストたちに感謝を。

それではまた次回お会いしましょう。

Information

スルガVisaデビットカード

世界一周の旅をする方におすすめなのがスルガ銀行のVisaデビットカード。世界中のVisa加盟店でショッピングができるだけでなく、VisaやPlusマーク表示のATMで自分の口座から現地通貨を引き出せるので、手持ちの現地通貨がなくなっても安心。これから長期の旅に出発するという方は、ぜひお申込みください!

スルガVisaデビットカード

詳しくはこちらから。
https://www.surugabank.co.jp/d-bank/services/visa_debit.html