特集
2014 Apr.30
Topic on Dream ~夢に効く、1分間ニュース~ Vol.26
元日本代表選手をはじめ、多数の日本人選手が在籍する
タイのサッカーリーグが勃興する理由
ここ数年、タイを筆頭に東南アジアのサッカーリーグへ進出する日本人サッカー選手が増えています。特に2014年度は、元日本代表の岩政大樹選手や茂庭照幸選手、ヨーロッパでも活躍したカレン・ロバート選手などを初め、60人を超える日本人選手がタイリーグに所属しています。そこで、今回『Jの新人−Jリーグ新加入170選手の価値』を出版したJリーガー事情に詳しい元エル・ゴラッソ編集長の川端暁彦さんに、その背景をお伺いしました。

飽和状態にあるJリーガーのセーフティーネットとしてのタイリーグ
どうして多くの日本人選手がタイリーグに進出するようになったのでしょうか?
「最たる理由は、タイをはじめとした東南アジアの経済発展にともなって、それなりの給料を選手に払えるようになったことがあります。トップクラスの日本人選手ですと、Jリーグより高い給料をもらっている選手もいます」
なるほど。サッカーに限らず、東南アジアで働くという選択肢が増えている一般企業と同じ動きがあるということなのですね。
「もちろん給料だけではありません。日本人の特性として、誰かが成功すると安心して追随するという連鎖反応もあると思います。また、タイリーグで活躍し、東南アジアリーグの先駆者として知られている丸山良明さんなど日本人先行者たちが、しっかりと信頼を得る活躍をしたのも好材料になったのではないでしょうか」
タイリーグ所属の主な日本人選手一覧表
カレン・ロバート(28歳)→ スパンブリーFC
西紀寛(33歳)→ ポリス・ユナイテッドFC
岩政大樹(32歳)→ BECテロサーサナFC
茂庭照幸(32歳)→ バンコク・グラスFC
田原豊(31歳)→ サムットソンクラームFC
永里源気(28歳)→ ラチャブリーFC
船山祐二(29歳)→ アーミー・ユナイテッドFC
※所属チーム、年齢は2014年3月現在
では、今後タイリーグは日本人サッカー選手にとって、どんな位置づけとなっていくのでしょうか?
「今年からJ3ができましたが、現状では予算が小規模なため、飽和状態にあるJリーガーの受け皿にはなりづらいと思っています。そのなかでタイリーグなどの東南アジアのサッカーリーグは、日本人選手のセーフティーネットという役割を担っていくのではないでしょうか」
一般企業でも「東南アジアで再就職あるいは転職」といった傾向は強まる一方です。ある意味では、日本人サッカー選手が東南アジアに進出することは、ごく当たり前の話なのかもしれませんね。