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2014 Dec.16
Be Unique! ~オンリーワンであること~ Vol.9

「Shinn Asano Design」代表 浅野真一郎の応用力

『Be Unique!』特集では、毎回、「オンリーワン」な人や企業を訪問。その価値と魅力に迫ります。なぜオンリーワンなのか、どうやってオンリーワンな存在になりえたのか…。そこにはきっと、ほかにはない「夢」や「ストーリー」があるはずです。

今回お話を聞かせてくれたのは、「Shinn Asano Design」代表の浅野真一郎さん。グラフィックデザイナー・アートディレクターとしての経歴を持ち、現在は、ブランディングやプロダクトの企画・デザインまで、さまざまな業務に取り組んでいます。2013年には、イタリア国際コンペティション「A’ Design Award」に、ファニチャーシリーズ「SEN」を出品し、金賞・銀賞を受賞。そんな浅野さんの活動を支えるものとは、何だったのでしょうか?今までの経歴を追いながら、教えていただきました。また記事の終盤では、数々のインテリア作品をクローズアップします。

「Shinn Asano Design」代表 浅野真一郎の応用力

アメリカ留学を経て、グラフィックデザインの道に

赤いインテリアは、浅野さんの作品「SEN」シリーズの一部。
赤いインテリアは、浅野さんの作品「SEN」シリーズの一部。

浅野真一郎さんが代表を務める、「Shinn Asano Design」。2012年に同社がスタートしてすぐに国内外から注目を集めたのが、同社オリジナルの「SEN」シリーズです。線や平面図形を組み合わせたり、日本の伝統モチーフ・象形文字からヒントを得て生み出されたインテリアは、グラフィックデザイナーとしての視点が存分に活かされた作品。まずは、浅野さんがデザインの道を歩みはじめた経緯から伺いました。

「高校卒業後、国内で英語を学んでからアメリカに留学しました。進路を選ぶ際、すでに明確な将来のビジョンを持っている人もいますが、僕は絞りきれていなくて。内装やディスプレイなどを中心に、デザインを学んでいたんです」

5年間の留学を終え、浅野さんは24歳で帰国。就職活動を経て、グラフィックデザインの道に進むことになったそうです。

「不況のなかでの就職活動だったので、見つかるかな…と不安になりましたね。地元の東北だけでなく、東京の会社も考えて。でも最終的には、仙台の印刷会社に、グラフィックデザイナーとして就職したんです。学校ではグラフィックデザインを専門に学んでいたわけではないので、印刷の知識などは、そこで身につけました」

その後、東京の広告制作会社に転職。クリエイターとして、より多くのことを吸収することに。その経験は今もなお、仕事の基盤となっているといいます。

「最初のうちは、最終的なアウトプットがかっこいいか、おもしろいか…ということばかりに目がいっていました。でも、本当に大切なのは、企画の段階。どう表現すれば、クライアントの思いやプロダクトの特徴を、最大限伝えられるかと考えることなんです。それがきちんとできていないと、単に“かっこいいだけ”で終わってしまう。つくることに慣れてくると『こんな感じでやれば大丈夫だろう』という感覚がつかめてくるのですが、僕は今でも、その都度頭をリセットして、本当に重要なのは何かを考えるようにしています」

幅広い活動のベースにあるのは、好奇心と積極性

浅野さんインタビューの様子

真摯に仕事と向かい合うなかで、転機が訪れたのは30歳の頃。大手メーカーのキービジュアルを作成する仕事を、担当したときだったとか…。

「プレゼン上手な人っていますよね。それに対して僕は、コミュニケーションがうまいわけじゃない。でも常に、クライアントの思いには全力で向き合うし、自分の提案は、きちんと伝えるようにしています。このときのプレゼンも、ろれつが回ってなかったりして、うまく話せたわけではありません。けれど、コンペに通ることができた。真剣に考えて伝えようとすれば、きちんと相手に響くんだという手応えが感じられて、印象深かったです」

さらに、社内ではデザイナーからアートディレクターに昇格。カタログやポスターなどの印刷物だけでなく、ウェブや映像、ブースやディスプレイなどの製作にも関わることに。仕事の幅が広がることで、苦労したことはあるかと質問すると、「いつも、いろいろなことをやってみたいと思っているので、苦労よりも楽しみの方が大きかった」と答えてくれました。

「専門的な部分は、その分野の人の手を借りながらですが、“伝える仕組みをつくる”という点においては、グラフィックをきちんとやっていれば、違う分野もできるんだなと実感しました」

「立体は昔から好きだったので、とくに興味があった」という浅野さん。ディスプレイや展示用の什器にたずさわる際には、図面なども自身で手がけていたそう。その経験は、のちに手がけるプロダクトづくりでも、活かされることに。好奇心と積極性。このふたつが、分野にとらわれない活動へとつながる不可欠な要素だったといえそうです。

プロダクトづくりも広告制作も、考え方は同じ

浅野さんインタビューの様子

平面以外のものづくりにもたずさわることで、「いくつもの可能性が見えてきた」と語る浅野さん。そんななか、会社が倒産。次なるステージへと踏み出す、直接的なきっかけとなったそうです。

「次の会社を探すか、自分でやってみるか…。ならば挑戦してみたかった道を選ぼうと、独立することにしたんです。それまでと同様、アートディレクター兼デザイナーとしての業務のほかに、自分の考えを表現したり、プロダクトづくりにも挑戦してみたいと考えていました」

試作品の傘立て

独立を計画してすぐに、プロダクトづくりに着手。上は、試作のひとつである傘立てです。実用性とスタイリッシュさを兼ね備えた、スリムな形状が印象的。しかし、商品化はされていないとか。その理由は?

「これだと、グラフィックデザイナーという自分の背景が表現できていない。オリジナルのプロダクトは作品であるだけでなく、自分の存在と立ち上げた会社を知ってもらうという、プロモーション的な意味も込めてつくっているんです」

グラフィックデザインの視点を活かした立体デザインによる、ブランディング。これは、さまざまな分野のデザインを学び、広告の世界で活躍してきた浅野さんだからこそ、できること。今までの経験がフルに活用されていると、話してくれました。

「広告もプロダクトも、進め方は同じ。オリジナルのプロダクトづくりでは、自分がクライアントだと思っています。伝えたいものにプライオリティをつけ、欠かせない要素や削るべき部分を吟味してつくっていく。広告の場合は、クライアントやエンドユーザーのこと、コスト面なども考えなければならないので少し複雑にはなりますが、基本的な考え方は、一緒です」

自分の個性である“グラフィックらしさ”を、表現していきたい

ファニチャーシリーズ「SEN」

2012年に独立してからは、本腰を入れてプロダクトづくりに取り組むことに。その年のうちに、ファニチャーシリーズ「SEN」を完成させ、国際的なクリエイティブイベント「東京デザイナーズウィーク」で発表したそうです。

「線や平面を立体にするという考え方でつくりました。それに加え、日本人として触れてきたものを形にしています。そのため色は、和をイメージする赤。手応えを感じたのは、周囲の感想を聞いたときですね。それまで、家具を本格的につくっていたわけではないし、独立もしたばかり。かなり不安でした。でも想像以上に、海外のメディアが取り上げてくれたんです」

それをきっかけに、2013年には、イタリア国際デザインコンペテイション「A’ Design Award」に出品。以下の2点が、金賞・銀賞に輝きました。

kagome stoolkagome stool
hitotaba lamp
上は、金賞を受賞した「kagome stool」。直角三角形の組み合わせでできており、上から見ると、かごめ模様になっている。下は、銀賞の「hitotaba lamp」。刈った稲を束にして吊り下げた様子から、インスパイアされたデザイン。

二次元で三次元を生み出すというコンセプト、ネガティブスペースとポジティブスペースの関係性、影と一体となったときの姿などが、受賞の決め手になったとのこと。「SEN」シリーズの発表により、日本のみならず、世界中に存在を知られることとなった浅野さん。現在は、オリジナルだけでなく、企業からの依頼で家具をデザインすることも。まだ設立2年目の「Shinn Asano Design」ですが、今後はどこに向かっているのでしょうか?

「今も仕事は、グラフィックデザインがメイン。今後プロダクトをつくる際も、グラフィックの要素を取り入れていきたいし、それが自分らしさになっていくと考えています。依頼された仕事に関しては、家具に限らず、多様なプロダクトを手がけたい。いつか、製品開発からブランディング、実際のセールスプロモーションまで手がけることができたら、おもしろいなと思っています」

浅野さんインタビューの様子

〈浅野真一郎のプロダクトGallery〉

浅野さんインタビューの様子

浅野さんの生み出す、シンプルでありながら、個性溢れるプロダクトを紹介。あわせて、それらが生まれた背景を教えてもらいました。

「SEN」シリーズ

「SEN」シリーズ「SEN」シリーズ

インタビューに登場した「SEN」シリーズのひとつ「nobolu hanger stand」のもととなったのは、象形文字。「朝」という漢字の左側は、「十」「日」「十」の組み合わせ。下の「十」は草、「日」は太陽、上の「十」は木の枝を示しており、朝日が昇るさまを表しているそう。脚、ストールなどをかけるためのふくらみ、上着や帽子をかける部分のそれぞれを、その3パーツに対応させたスタンドです。

「SEN」シリーズ「SEN」シリーズ

竹細工でカゴをつくるとき、底面から編みはじめるそう。その様子を表したのが、「amihajime table」。カゴを表現した赤い線は、デザインとしてのみ存在するのかと思いきや、天板の穴を通して、フラワーベースなどを置くスペースになっています。

「olyita」シリーズ

「olyita」シリーズ「olyita」シリーズ

四角い板を折るだけで、デザインと機能性をもたせたシリーズ。鉄板をそのまま使い余計な端材を出さないため、環境に優しい製品。日本古来の遊び、折り紙を連想する人も多いはず。

「GIOGAIA」シリーズ

「GIOGAIA」シリーズ「GIOGAIA」シリーズ

国産材を使用したシリーズで、家具メーカーであるイトーキとのコラボレーションによるもの。「GIOGAIA」はイタリア語で「山並み・連山・山脈」を意味し、脚と木目で、連なる山々や木々のシルエットが重なるさまを表現。脚は「X」の繰り返しのように見えますが、ところどころ斜めの線が抜けています。これが、正面から斜め横から…と、見る場所によって、異なる表情を見せてくれる仕掛けに。

「BON」シリーズ

「BON」シリーズ「BON」シリーズ

石川県立伝統産業工芸館のプロデュースにより、竹工芸家の榎本千冬さんとコラボレーションしたもの。伝統的な竹のお盆に、鉄製の脚をプラス。運んだお盆を、そのままテーブルの天板として使用できるようにつくられています。古くから存在する竹工芸品に最小限の要素を加え、現代のライフスタイルに合う機能とデザイン性を持たせることを目指したとか。

インタビューの最後に、デザインのソースを見つけ出す方法を伺うと、「おもしろくなさそうなものほど、しっかり見て見ると、おもしろいかもしれないですよ」と浅野さん。何にでも興味を持つこと。それが、独創的なデザインを生み出す源といえそうです。

Information 1

浅野 真一郎 氏

アートディレクター・デザイナーとして広告制作の仕事を経験した後、「Shinn Asano Design」を設立。
デザインカテゴリーにとらわれずに、グラフィックデザインの考え方を応用し、グラフィックからプロダクトまで幅広く活動している。企業とのコラボレーションで家具を手がけたり、国内外のさまざまな展示会に出品したりするなど、精力的に活動中。

「Shinn Asano Design」公式サイト
http://www.shinnasano.com/

Information 2

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