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2016 Sep.2
Topic on Dream ~夢に効く、1分間ニュース~ Vol.145

お金はモノより“コト”にシフト。持たない生活で、行動力UP!
やりたいことを次々叶える“ミニマリスト”の暮らし方

“ミニマリスト(最小限主義者)”とは、ほんとうに必要な最小限のモノしか持たない生き方を追求する人。整理術や節約術とは一線を画し、モノに費やされていたお金やエネルギーを、豊かな時間を過ごすことや経験に振り向けるライフスタイルとして注目を集めています。そんなミニマリストへの道を語ったベストセラー『ぼくたちに、もうモノは必要ない』(ワニブックス)の著者・佐々木典士(ふみお)さんに、人生をもっと豊かにするミニマリストの暮らしを伺いました。

モノが豊かでも、心は満たされないのはなぜ?
自由で身軽なミニマリストに憧れて

佐々木さんが「ミニマリスト」に目覚めたきっかけとは何だったのでしょうか。

「もともと僕は大のモノ好き。本、CD、服、アンティークカメラ、ホームシアター・・・欲しいモノは何でも手に入れたい。そしてどれも捨てられず、何でもとっておきたいタイプの人間だったのです。

欲しいモノはすべて持っているはずなのに、何か満たされない気がして、モヤモヤした思いを抱えていました。そんなとき、『ミニマリスト』という言葉に出会い、海外のミニマリストと呼ばれる人たちのライフスタイルを知るようになったのです」

必要最低限なモノだけで暮らす人たちが、自由で身軽で、しかも心が満たされているように見えた――佐々木さんはそう振り返ります。そして、部屋を埋め尽くしていたモノたちをほとんど手放すと決め、少しずつ、でも大胆に、1年近くかけて現在のライフスタイルに変えていったのです。

ミニマリストになる前ミニマリストになった後
ミニマリストになる前(左)と後(右)前(上)と後(下)
本当に必要なモノだけを厳選して、究極のシンプルライフを実現した。
手持ちの服
手持ちの服は、ハンガーにかかっている10数着とTシャツのみ。
お気に入りの服を3枚買い〈私服の制服化〉を図っている。
「今日着る服に迷う時間はゼロ。シンプルで一番しっくりくる服だから、毎日着ても飽きることがない」

すぐ行動を起こせる自分に変わり、
〈今を楽しむ時間〉が濃厚になった!

これだけスッキリした部屋ならば、モノに振り回されることなくストレスフリーで暮らせそうですね。

「僕はズボラな性格なので、片づけのルールをつくって維持するのは無理だと思いました。モノを究極まで減らしたことで、僕の部屋は〈散らかる〉ことがなくなったのです」

でも、モノがないことで不便を感じることはないのでしょうか?

「むしろ、生活の快適さは格段に増しました。朝起きたら布団を畳み、何もない部屋に掃除機をかけることから始まります。天気がよければさっと洗濯をして、コーヒーを淹れてゆっくり味わい、食器を洗う。そして、手入れの行き届いた服を着て出かける。モノが少ないからこそ、家事の一つひとつが億劫じゃないし、すぐに部屋が整う。それに連動するように自分の心も整っていくように思います」

食器
自炊もするが、食器はこれだけ。
全部洗っても時間はかからないし、つねにすっきり片づいている。

ミニマリストのライフスタイルは、そこに住む人の心に与える影響が大きいのですね。佐々木さんご自身の生き方はどう変わりましたか?

「大きな変化のひとつは、行動力がついたこと。思い立ってすぐに旅に出かけたり、ふらっと電車の終点まで行ったり。最小限のモノしかないので荷造り不要。身軽になることで、臨機応変に行動を起こせるようになりました。今までモノに費やされていたお金やエネルギーが〈体験するコト〉〈今を楽しむコト〉に振り向けられたのだと思います」

登山やキャンプ、ヨガ、フルマラソンなど、これまでの佐々木さんの生活にはなかった新たな趣味にも積極的に挑戦するようになったといいます。

「実は、モノを減らす前と今と、毎月使うお金の額は変わっていないのです。旅に行く、美味しいご飯を食べる、地方にいる友達に会いにいく――モノを買うより、自分の時間を豊かに過ごすことにお金を惜しみなく使うようになったからです」

モノを減らしたことで、自分が本当に好きなもの、心地よく感じる時間の過ごし方が明確になり、自分のためにお金を使うようになったのですね。一方、モノへの楽しみはどうでしょうか。

「今もモノは大好き。ほんとうに必要なモノは吟味して買っています。ただ、モノを買って心が満たされる時間はわずかです。モノはしっかり使ってこそ喜びを感じられる。そう考えてモノと向き合うようになったので、モノへの愛着は変わらず健在ですね」

外出アイテム
佐々木さんの外出アイテム。
さらにスマートフォンをポケットに入れて、どこへでもふらっと自由に出かける。

空間、自由、時間、快適さ――
モノを捨てることで得られる豊かさがある

ミニマリストの豊かなライフスタイルを実現するには「モノを減らす」ことが第一歩ですね。どうしたら、部屋がスッキリと片づきますか。

「ほんとうに必要なモノ以外は一度、手放してみてもいいと思います。じつは、モノを捨てることは〈失う〉ことではなく〈得る〉ことなのです。空間、掃除のしやすさ、時間、自由、快適さなど、モノを捨てるのが苦手な人は、捨てることでさまざまな豊かさが得られることに目を向けましょう」

捨てられない性格など存在せず、“捨てる習慣”がついていないだけ――そう佐々木さんは指摘します。

まずは不要なモノを見極めて、捨てる勇気をもつ。そうすることで“捨てる習慣”が身についてくるのですね。最初の入り口として、実践しやすいステップを教えていただきました。

1. まず「明らかなゴミ」から捨てる

「たとえばランニングを習慣化したいときは、朝起きたら、まずシューズを履くことを目標にするといいと言います。それと同じで、小さな目標を達成していくことが大きな目標につながります。くたびれた服、期限の切れた割引チケットなど明らかなゴミを捨てるアクションから始めましょう」

2. 複数あるモノは捨てる

「気がついたら、使っていないボールペンが大量にあったり、はさみがいくつもあったりする・・・なんてことはありませんか?モノは用途ごとに1つあればいい。いきなり1つに絞るのが難しければ、お気に入りでないモノ、機能が劣るモノから減らしていきましょう」

3. 1年使わなかったモノは捨てる

「1年使わずに過ごせたモノは、基本的になくても生活できるということ。防災用品をのぞき、1年使っていないモノは来年も再来年もきっと必要ない。数年に1度使う程度のモノなら、割り切ってレンタルにしてみても」

4. 人の目線のためにあるモノは捨てる

「クルマや腕時計、ブランド品、自分をよく見せるために買った高級品は、ほんとうにあなたに必要なモノでしょうか?手にするとワクワクして、使えばさらに喜びを増してくれるのが自分に必要なモノ。ただ人の目線を気にして買ったものであれば、手放してもいいかもしれません」

5. 捨てづらいモノは写真に撮る

「旅のお土産、誰かにもらったプレゼント、寄せ書き――思い出が詰まった捨てられないモノたちもあります。そんな過去の記念品がクローゼットを占拠してしまっているのは考えもの。解決策として、写真を撮ってから捨てることをおすすめします。写真に撮れば捨てやすくなる。そして思い出はきちんと残るのです」

大量にあった写真
大量にあった写真も思い出の手紙もすべてスキャンし、データ化。
日付をつけてフォルダに分類。こうすることでいつでも簡単に見返せるようになった。

モノを減らしたことで佐々木さんの中でクリアになったのは、ミニマムな空間で過ごす心地よさ、自分がほんとうに好きなこと、そして大切な人たちとの時間――。ミニマリストの暮らしは、人生をシンプルにして、今を生きることを楽しむための近道。身のまわりをミニマムに整えたとき、あなたにはどんな大切なモノが見えてくるでしょうか。

Information

佐々木典士(ささき・ふみお)

編集者/ミニマリスト
1979年生まれ。香川県出身。早稲田大学教育学部卒。学研『BOMB』編集部、INFASパブリケーションズ『STUDIO VOICE』編集部を経て、ワニブックスに所属。2014年クリエイティブディレクターの沼畑直樹氏とともに、ミニマリズムについて記すサイト『ミニマル&イズム less is future』を開設。持ちモノを自分に必要な最小限にする「ミニマリスト」という生き方と、常識にとらわれない豊かな暮らしを紹介した著書『ぼくたちに、もうモノは必要ない。』(ワニブックス)は16万部突破している。

ぼくたちに、もうモノは必要ない。