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2016 Dec.28
DREAM MAKER あの人に訊く、この話 Vol.8

〈松屋銀座の紳士服バイヤー・宮崎俊一〉が語る。
“常識を破る仕事術”&“スーツの着こなし”

『DREAM MAKER』では、人生を楽しみながら夢を叶えた、旬の人にインタビュー。仕事で、プライベートで、その人がこだわりを持っているものや、その人にまつわるストーリー、そしてちょっとディープな話題にも触れていきます。

今回、お話を伺ったのは、松屋銀座の紳士服バイヤー・宮崎俊一さん。メイド・イン・ジャパンの品質を追求し、生地探しから全工程をプロデュースしたスーツは、空前の大ヒットに。さらにトータルコーディネイトを提案する松屋銀座のブランド「アトリエメイド」を設立。オンリーワンのビジネスを生んだ紳士服の魅力とともに、男を格上げするスーツの着こなしの秘訣をお聞きしました。

自分に合った上質なスーツを着れば
自然と風格&スタイルが生まれる

松屋銀座の紳士服バイヤー・宮崎俊一さん

小学校6年生のとき、ファッション誌『POPEYE』を読んで服に目覚めたのが、この道に進むきっかけだったという宮崎さん。高校時代には西海岸スタイル、アイビーなどあらゆるファッションに挑戦し、最終的にはスーツというスタイルにたどり着いたといいます。宮崎さんが感じるスーツの魅力とは、何でしょうか?

「スーツには、その人の個性を引き立てる力があります。自分に合ったものを選べば、どんな人でも風格が生まれる究極の服。映画監督のヒッチコックはでっぷりした体型だけど、貫禄があって独特のスタイルを感じさせますよね。それは彼の身を包んでいるスーツの力も大きい。男はいいスーツを身にまとうことで、体型や年齢を問わず、風格とその人独自のスタイルが生まれるのです」

スーツは男のカッコよさを引き出す究極の服――。そう気づいた宮崎さんは、大学時代からスーツを着こなし、仕立てのいいヴィンテージの服を集めるようになったそうです。

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イタリアで絶賛された日本の職人の技術。
世界に誇れるメイド・イン・ジャパンの服づくり

松屋銀座の紳士服バイヤー・宮崎俊一さん

大学を卒業すると、スーツの道を極めるべく、宮崎さんは松屋銀座のバイヤーとなります。バイヤーは国内外から既製品を買い付けてくるのが主な仕事。しかし、宮崎さんは「自ら服をプロデュースしたい」と考えるように。

「今は質が高く、適正な価格という“本質”を重視するお客さまが増えています。いい服を手頃な価格で提供するにはどうしたらいいか。服づくりを川にたとえると、糸や生地選びは上流、そこからデザインや縫製をたどり、下流でバイヤーが買い付ける。その時点で人件費やコストがかさみ、服の価格は上昇しています。ならば、自分で服づくりをプロデュースするしかないと思い至りました」

スーツの本場であるイタリアとイギリスで生地買付けの交渉をするために、独学で語学を習得。さらにもう1つ、宮崎さんの武器となったのは「服」でした。

「最初はロンドンやミラノの老舗テーラーで仕立てたスーツを着て、交渉に臨んでいました。でも、あるとき、メイド・イン・ジャパンのスーツを着て、イタリアの生地展に乗り込んだら、『いったい、どこの服だ?』『脱いでよく見せてくれ』と囲まれたのです」

当時から変わらぬ宮崎さんの信条のひとつは、優れた産地や腕のいい職人がいると聞けば、自分の足で訪ねること。日本各地の工房を訪ね歩くうちに60代以上の職人たちの卓越した技術を知り、自分のスーツを依頼していました。そのスーツが、ヨーロッパの服づくりのプロたちに高く評価されたのです。

評価されたのは、1950~60年代に確立された職人の技術でした。日本の服飾業界は、1960年代に工業化の波を迎えます。工業化とは、“手工芸品”から、工場で大量生産する“工業製品”へのシフト。それ以前の“手工芸品”時代に腕を磨いた職人こそが、高い技術を持っているわけです。

「ヨーロッパは日本よりも早く工業化しました。だから今や、古くからの技術で一着のスーツを仕立てることができる職人は、なかなか見つかりません。1950~60年代に腕を磨いた日本の職人たちが今、世界のトップクラス。目指すべきはグローバルスタンダードではなく、日本のガラパゴス化した技術を高めていくことだと気づいたのです」

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服づくりの常識を変える発想&行動力は
「いい服をつくりたい」の一心から生まれた

宮崎さんの“服づくりの常識”を破る発想と行動力。それは「いい服をつくりたい」という、スーツへの愛情から生まれてきました。

「いい素材と出会うためには、どこへでも駆けつけます。稀少な羊毛を求めてイングランドとアイルランドの間に位置する小さな島、マン島に上陸したこともあれば、ハプスブルク家の時代から王室に狩猟服のウール地を納める生地業者を探し当てたこともあります。あるいは、神戸の老舗テーラーが店をたたむと聞けば、生地の在庫を買い取らせていただくことも。その中に、1960年代の上質な生地が眠っていました」

上質な素材

服づくりは、腕のいい職人、上質な素材が揃ったら、あとはデザインだと宮崎さんは語ります。

「20代のとき、ロンドンの老舗テーラーでスーツを仕立てたことがあります。今思えば、洗練されたファッションとは言い難い(笑)。ヨーロッパのお金持ちのシニアが着るスーツを当時の僕が着ても、おしゃれに見えるはずがないのです。タグやブランドに頼らずに、時代の感性に合ったカッコいいスーツをつくりたい。それには、日本人の感性や体型を知り尽し、売り場でお客さまの声を日々聞いている自分だからできると考えたのです」

こうして生地から縫製、デザインに至るまで宮崎さんが一貫してプロデュースする「丸縫い既製スーツ」が誕生しました。当時、このスーツを販売した松屋銀座の「銀座の男」市では2週間で4億円の売上を記録する空前のヒットに。2015年に宮崎さんが新たに手がけたブランド「アトリエメイド」のラインナップにも加わり、現在も幅広い年代に支持されています。

「スーツは、男が自信をもって仕事に取り組むための服。スーツという型の中で、シルエットや配色、素材感を駆使して、その人が最もカッコよく見えるスタイルをつくる楽しさがあります。そうすることで、“名刺代わり”になるほど着る人を物語ってくれるのがスーツの醍醐味なのです」

松屋銀座の紳士服バイヤー・宮崎俊一さん

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日本の男性をカッコよく見せる
ビジネススーツの着こなし術とは。

日本のビジネスマンをカッコよく見せるスタイルを追求してきた宮崎さんに、「アトリエメイド」の服でスーツの着こなし術をレクチャーしていただきました。


【初級編】オーソドックスなスーツの垢抜け着こなし

【スーツ】男が1着目に仕立てるべきは、ミディアムグレー【ネクタイ】右肩上がりのストライプで、勢いと遊び心を

【スーツ】男が1着目に仕立てるべきは、ミディアムグレー

無彩色であるグレーはどの色とも相性がよく、とくにミディアムは流行に左右されないトーン。日本のビジネスマンによく見られる紺無地は、イタリアでは夕方から着るスーツで、昼間のビジネスシーンには適さない色とされています。

スーツの第一印象を左右するのは襟元のVゾーン。海外ブランドに多い広めのVゾーンは、胸板の厚い人向き。日本人はややコンパクトが合います。

【ネクタイ】右肩上がりのストライプで、勢いと遊び心を

旬のトレンドは黒ベースのネクタイ。ベーシックなブルー系よりモード感が出て、引き締め効果も。通常のストライプは着用している人から見て左から右に下がるラインですが、「アトリエメイド」のストライプは右肩上がり。営業職などでは験を担げる柄です。

【チーフ】襟・袖・チーフの〈3点の白〉が清潔感を醸し出す

清潔感を感じさせる白で、第一印象の好感度アップ。チーフを三つ折りにする「TVホールド」といわれる折り方は、1960年代のアメリカのニュースキャスターが報道の正確さの象徴として用いたもの。ビジネスシーンにふさわしい演出です。


【中級編】感度高め!上品ストライプ柄の粋な着こなし

【スーツ】上品なチョークストライプで、スタイリッシュに【ネクタイ】紺ドットが、大人の男の余裕を感じさせる

【スーツ】上品なチョークストライプで、スタイリッシュに

2・3着目にオススメしたいのは、紺のストライプ。縦のラインがスマートに見せてくれます。ただし、主張の強すぎるストライプはNG。1~1.5cmピッチで、ごく細いラインか、チョークで線を描いたようなチョークストライプが上品です。冬はチョークストライプと相性のいいフランネル地がおすすめ。やや表面が起毛したウールの風合いが、暖かみを感じさせます。

【ネクタイ】紺ドットが、大人の男の余裕を感じさせる

もし、ネクタイを1本しか持てないとしたら「紺ドット」を選ぶべき――それぐらいヨーロッパではポピュラーです。こちらの品は、ジャガード(織物)ではなく、ハンドプリント生地がポイント。近くで見るとドットに味があり、大人の遊び心を感じさせます。7~8mmピッチのドットが、フォーマルすぎずカジュアルすぎない、ジャストバランス。

【チーフ】なじみやすく、使い勝手がいいのは多色使いのシルクチーフ

いろんな色のネクタイやスーツに合わせやすく、1枚持っておくと便利なのが多色柄チーフ。多色の中のブルーがネクタイとリンクして、さりげないおしゃれを感じさせます。ソックスも同系色を合わせるとさらにセンスアップ。


【上級編】大人の男の風格漂う、正統派スーツの着こなし

【スーツ】自信を感じさせるスリーピースで、精悍な存在感を【ネクタイ】難易度の高い無地は、“生地感”にこだわるべし

【スーツ】自信を感じさせるスリーピースで、精悍な存在感を

スリーピースの魅力は、ベストがボディを立体的に見せるので、ジャケットを脱いだときも精悍な印象であること。明るめのミディアムグレーでシックにまとめていますが、裏地とベストの背には目の覚めるようなブルーの裏地。ちらりと見せる粋な演出を楽しめると、服への愛着も高まります。

目の覚めるようなブルーの裏地

【ネクタイ】難易度の高い無地は、“生地感”にこだわるべし

無地ネクタイは、プレーン地ではなく生地感に表情があるものを選ぶと、スーツになじみやすくなります。今回は、横糸に節のあるシルク・シャンタンを選びました。1930年代、60年代と世界的に流行したカラークリップでトップに立体感を与え、Vゾーンを華やかに演出します。ネクタイは、このふわっとしたボリュームが命です。

【チーフ】老け色のブラウンは、「ブルー」の力で鮮度を上げる

ブラウンはクラシックな印象が魅力ですが、身につけると「老けて見える」難しさも。そこにブルーのドットを組み合わせることで彩度が上がり、垢抜け感が生まれるのです。ブルー×ブラウンは日本ではあまり見られませんが、イギリスでは紳士服の定番の配色です。ネクタイとチーフも、ブルー×ブラウンの組み合わせになっています。

【アクセサリー】チェーン&カフスで英国紳士風に

ベストのフォブチェーンは、本来、懐中時計や紋章を下げるためのもの。カフスは、今でもイギリスのビジネスマンのマストアイテム。どちらも、ユニークなモチーフやアンティークでさりげない自己主張を楽しむことができます。カフス初心者におすすめなのは、シルバーの四角いプレーンなもの。ゴールドもヴィンテージならば光が柔らかく上品で、日本人にも取り入れやすくなります。

ベストのフォブチェーンは、本来、懐中時計や紋章を下げるためのものカフスは、今でもイギリスのビジネスマンのマストアイテム

ビジネススーツを粋に着こなす最大のコツは「基本をしっかり押えること」だと宮崎さんは語ります。

「紳士服は“ストイック”がカッコよく見せる大原則。色や柄に懲りすぎると、どんどん原則から離れてしまう。それよりもシャツは白、ネクタイは青系といった基本をベースに、ネクタイやカフス、生地感などでさりげなく個性を出すのがおしゃれ。自分のテーマをつくると、よりいっそう楽しみが広がると思います」

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Information

『ビジネススーツを格上げする60のルール』
『ビジネススーツを格上げする60のルール』

宮崎俊一さんの最新著書(写真右)。陥りやすいNGコーデから、男を上げる小物選びまで紹介。サイズの重要性を説いた『成功する男のファッションの秘訣60』、大人のカジュアルを提案する『成功している男の服選びの秘訣40』に続く、講談社発の人気シリーズ第3弾。

松屋オリジナルブランド「アトリエメイド」松屋銀座5階
松屋オリジナルブランド「アトリエメイド」松屋銀座5階

紳士服バイヤー宮崎俊一氏が、世界を飛び回って発掘したデッドストックのヴィンテージ生地やボタンを使い、21世紀のデザインで仕立てるパターンオーダーが可能。ソックスから小物に至るまでトータルコーディネイトできます。「アトリエメイド」の情報は、松屋銀座ホームページおよび、松屋銀座ブログ「MEN’S STYLE」をチェック。

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