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「長期投資を妨げるもの」

2021年7月26日

みなさん、こんにちは。
私は30年以上資産運用業務に従事してきたスルガ銀行の社員です。このコラムでは、私の経験から日頃、私が思う投資についてあれこれを思うままに書いていきたいと思います。もしかしたら、一般的に言われている投資に対するイメージ、あるいは投資理論と違うかもしれませんが、私のこれまでの経験上思うことを正直に書いた結果だとご理解いただければ何よりです。少しでもみなさんのご参考になればこんな嬉しいことはありません。どうぞよろしくお願いいたします。

いろんな投資の教科書などを見てみると、国内株式(株式投資信託を含みます、以下同じように投資信託を含みます)の平均のリターンは○○%、海外株式の平均リターンは○○%という表示があります。株式の動きは上がったり下がったりで、一定で動いているわけではありませんが、過去の長期的な実績ではかなり高いリターンであることがわかります。

しかし、多くの方はこのリターンを享受できていません。株式(株式投資信託)における失敗談は数多く聞くのですが、成功談は思いのほか少ないと思います。それはどうしてなのでしょう、もしも多くの人が株式投信を経験しているのなら、リターンは上がってしかるべきですが、実際にはそうはなりません。

それを妨げるものの一つに投資する側の「気持ち」があるように思います。株式を保有する心理状態のことです。株式投資に変動は付きものとわかっていても、下がってくるとつい「ここで売ったほうが損は少なく済むな」との思惑が働きます。上がった時も同様で「ここで売ればいくらか儲けがあるから売ろう」とどっちにしても売りたくなってしまいます。

サバンナの肉食動物が動くものを獲物と思ってつい反応してしまうように、人間も自分のお金が動くことに対して、自分自身が思っている以上に神経質になるものです。行動経済学では「損失回避性」と言って、利益よりも損失に対してより大きく感じてしまう傾向がわかっています。つまり、1万円の利益よりも1万円の損失のほうがより大きく感じ、その回避に動いてしまうというわけです。

例えば何もせずにじっと一定の期間保有していれば、過去のデータどおりの動きでしっかり利益が上がる可能性が高いものを、自分の損失回避性に負けてしまい損のまま売却してしまったり、少しの利益で売却してしまったりすると、データどおりにはいかなくなってしまいます。わかっていても自分の気持ちには逆らえないものです。ましてや、リーマンショックなどの大暴落が来た際に、テレビや新聞でさあ大変だというニュースが流れると、自分の財産はどうなっているんだ、といてもたってもいられなくなるのは理解できます。投資の教科書に投資する側の心理状態は加味されていません。あくまでも長期で保有していたらこうなりました、という数字上のデータのみです。

株式投資であまり利益が上がらないことを経験すると、ほとんどの人が投資から離れていきます。どうせ投資しても儲からない、教科書どおりになんか行くはずがない、というわけです。過去の経験則に従い、投資すること自体を回避してしまうことも理解できます。

では投資の教科書のように利益を上げるにはどうすればいいのでしょうか。いろんなお客さまからそういうご相談をいただきます。私が思うポイントは3つ、@「投資する額を少額にする」A「投資残高を見ない」B「投資したら忘れる」です。

@「投資する額を少額にする」

株式投資、あるいは株式投資信託に投資する金額を少なくすることは、はらはらドキドキを最小限にする有効な方法です。100万円の投資より、1万円の投資のほうが気にならない、要はリスクを許容できる。1万円が損しても知れている、と思えば下がっても売らないで保有できます。でも100万円が下がると気になって仕方なくなります。

A「投資残高を見ない」

そもそも自分の残高を見たところで何もできない、ということを知ることです。市場が思いのほか下がったところで、上がったところで自分ではどうしようもないことがほとんどです。だから何?と無視するくらいでちょうどいいのではないかと思います。
@,Aを実践する方法として積立を活用するのが一番です。特に株式投資信託を利用するとかなりの少額で無理なくはじめられて、しかも自動的に購入するので余計な手間がかかりません。

B「投資したら忘れる」

まさに鈍感になるということです。投資の勉強は不思議なもので、勉強したから必ず儲かるというものではありません。むしろじっと我慢して長期保有するほうが儲かる確率は上がっていく傾向にあります。勉強しても無駄とまでは言いませんが、投資したら忘れるくらいの方が長期投資が実践しやすいように思います。

とある社員からお礼を言いたいと言われました。何のことだろう、と思っていると20年前、積立投信をしていたファンドが倍以上になったようです。よく長い期間積立投信してくれたね、と聞いてみました。そうなんです、積立投信をしていたことを忘れていました、久々に見たら儲かっていました、どうしてでしょう。「忘れていたからだよ。」と私は伝えました。

「忘れると投資は儲かるんですか?」、必ずではないけど儲かる可能性が高まるね。長期投資を妨げるもの、それは投資家の心理状態だと思います。

筆者プロフィール
大学卒業後10年間証券会社に勤務後、スルガ銀行に入社。30年以上一貫して証券投資業務に従事している。マーケット予想が基本の投信営業に疑問を持ち、「時間を味方に」積立投信で資産形成する方法を自ら実践中。横浜ベイスターズと大相撲をこよなく愛する50代半ばのオジサン投資家。

ご留意事項

  • 当コラムは、投資勧誘を目的とするものではありません。
  • 当コラムは、筆者の個人的な見解によるものであり、スルガ銀行株式会社の見解を示すものではありません。また、市場動向や特定の投資信託、債券等の将来の結果を保証するものではありません。
  • 当コラムに基づいて実行した投資行動の結果については、当社は責任を負いません。投資に関する決定はご自身でご判断ください。

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