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「配当金」「利息」「分配金」てどう違うの?

2021年9月24日

あるお客さまからの質問です。
Aファンドは100万円投資すると毎月1万円配当がでる。年間で12万円の配当なので、8年ちょっとで配当だけで元本を回収できることになる、Aファンドはいいファンドなので購入したいがどう思う?、というものです。

投資信託の収益分配金(以後「分配金」といいます)のことを「配当金(はいとうきん)」と表現するケースが多く見受けられるような印象があります。
「配当金」「利息」「分配金」この3つの言葉は同じ意味のようで、まったく意味が違う言葉です。それぞれを間違って解釈すると投資において誤った判断をしてしまうことが多いので、解説したいと思います。

配当金について

「配当」は主に株式に使う言葉です。その企業が該当期間に得た収益を株主に配る金額ことを配当金(はいとうきん)と言います。自動車会社A社が2020年に本業の自動車の製造販売で儲けた金額の中から株主に対して1株5円という感じで配当金を出します。もしも、A社株を5,000株保有していた投資家がいたら5,000株×5円=25,000円(税金等は考慮しておりません)が配当金として入ってくることになります。
この配当金はA社が株主に対して支払う資金です。支払いは会社、受取りは株主となり、配当金を支払うことと、株価が値下がりするということは必ずしも結び付きません。
※配当日には株価は配当した分、値下がりして価格が決まる(権利落ち)ことがありますが、それは配当分を引いた価格に注文が集中することがあるためで、株価が値下がりするということとは意味が違います。

利息について

「利息」はどういう意味でしょうか。預金の利息、という感じで使いますよね。これは発行元が支払う借入金利のことです。わかりやすく銀行預金でお話しします。銀行が一般の預金者から100万円預金として預かったとします。毎年1%の利息が付くとします。1万円の利息です。預金者は毎年1万円(税金加味していません)の利息を受取ります。利息は支払いが銀行、受取は預金者となり、預金者の元本は減りません。利率が変わらず預金を続けていれば、元本そのままで利息が毎年入ってくることになります。

ここまでは多くのみなさんが理解していただけたと思います。「配当金」「利息」ともにそれを支払うのは配当ならその企業、利息なら預け先の銀行となり、株価や預金元本に対しての影響はありません。

では「分配金」はどうでしょうか。

分配金は配当金、利息とはまったく違う概念の言葉です。分配金は投資信託の専用の言葉で、投資信託以外では使用しません。しかし、分配金の「配」という文字が配当の「配」と同じなためか、勘違いされる方が多いように思います。

「分配金」はてっとり早く言うと取崩金のことです。取崩金?何を取崩すのと思うかもしれません。運用会社が決める基準価額からの取崩金です。

投資信託は運用会社が組入れている資産で計算する基準価額がその売り買いの対象です。投資家はこの基準価額を安く買って、高く売ることで利益を得ることになります。
株価と違って市場があるわけではなく、あくまでも運用会社が投資信託の組入れ資産をもとに作成した価額で、1日に1度しか価額形成されないものです。分配金はこの運用会社が決めた基準価額から取崩して支払われる金額のことを指します。

最初の質問のケースをもとに説明します。Aファンドを100万円分保有していたとします。このAファンドが1万円の分配金を出したとします。すると投資家の評価額(口数×基準価額)は99万円になります。100万円の評価額から1万円を崩して99万円になるわけです。
これが1年続けば12回の分配金12万円が出ます。ということは12万円分崩されて投資家の方に支払われます。仮にその他の要因で基準価額が変動しなければ88万円の評価額に変わります。分配金については、支払いは自分が保有するファンドの基準価額の一部(つまりは自分自身)、受取はファンドを保有している投資家です(これも自分自身)。

分配金が出ると自分の評価額が下がる、配当や利息にはない感覚です。もらっているのではなく、あくまでも自分の評価額から崩されているわけです。もちろんその間にも運用は続いているので、マーケットの影響や運用内容によって基準価額は変化しますから、崩れた分88万円のままということはありません。実際にはもっと下がっているかもしれませんし、上がっているかもしれません。このマーケットの変動が分配金をより分かりにくくしています。下がっているといつか上がるよ、となります。上がっているとそら見ろやっぱり分配金はいいんだ、となるものです。

Aファンドの1万円の分配金を配当金だと解釈するとおかしなことになります。1万円は基準価額から崩すのではなく、運用会社(または別の機関)から支払われるものと勘違いしていると最初のお客さまのように8年ちょっとで元本を回収できるという解釈になり、実際の分配金とお客さまの解釈の分配金(配当だと思っている)が違うことになります。

分配金をいくらもらっても、その後の運用で基準価額が上がらなければ利益はでません。
なんだと思う方も多いと思います。分配金を受取るタイプのファンドを選ぶ場合は、仕組みを理解しておかないと、後でこんなはずじゃなかった、ということになりかねません。分配金が基準価額の取崩金となると、分配金は基準価額内であればいくらでも分配できることになります。先ほどのAファンドでいうと100万円から30万円分配金として出すと、元本は70万円になります。60万円分配すると元本は40万円になるわけです。

極端に分配金が多いケースは、分配をすればするほど、基準価額から取崩されファンドの総量は小さくなります。その分、投資効率を下げることにつながりますので、ファンド選びには注意しましょう。

筆者プロフィール
大学卒業後10年間証券会社に勤務後、スルガ銀行に入社。30年以上一貫して証券投資業務に従事している。マーケット予想が基本の投信営業に疑問を持ち、「時間を味方に」積立投信で資産形成する方法を自ら実践中。横浜ベイスターズと大相撲をこよなく愛する50代半ばのオジサン投資家。

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