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2014 Mar.27
Topic on Dream ~夢に効く、1分間ニュース~ Vol.16

エチオピア発高級レザーブランド「andu amet」。起業女性が抱く夢とは?

青年海外協力隊として、アフリカに派遣された鮫島弘子さんは高品質で有名なエチオピア産の羊皮に出会いました。そのとき、エチオピア産の羊皮を利用したラグジュアリーな製品を作ることを思い立ち、2012年「andu amet(アンドゥアメット)」を設立。現地の素材を現地の従業員の手で一つひとつ丁寧に製作することにこだわり、高級ブランドとして商品を販売しています。今回は自らの夢を実現させ、成功へと導いている「andu amet」代表兼チーフデザイナーの鮫島弘子さんの取り組みを紹介します。

エチオピア発高級レザーブランド「andu amet」。起業女性が抱く夢とは?

ブランドこそエシカル(道徳的・倫理的)だ

2012年2月に「andu amet」を創業。販売開始からわずか2年しかたっていない主力商品の「Big Hug(ビッグ・ハグ)」(102,900円)は、現在、注文するとおよそ1年8か月待ちという、大人気の高級レザープロダクトブランドにまで成長。そもそも鮫島さんはなぜ、エチオピア発のレザープロダクトブランドを起業しようと思ったのでしょうか。鮫島さんにお伺いしました。

「私は新卒でメーカーのデザイナーとして働いていましたが、大量生産・大量消費のあり方に疑問を感じ、『本当に人の役に立つものづくりとは何だろう』と悩んでいました。そんな折に、青年海外協力隊に出会いました。『ここで何かヒントを得られるかもしれない』と思った私は、デザイン隊員に志願し、単身でエチオピアに赴任することになったんです。現地で、情熱と誇りを持ってものづくりを行う職人さんや、エチオピアシープスキンという素晴らしい素材に出会うことができました。ファッションショーなどの企画を実現していく中で、現地で働く職人と、高品質な製品を求める日本人、両方の役に立てるブランドを作れたら、と考えるようになっていったのです」

しかし、帰国後すぐには起業せず、一度外資系高級ブランド会社にマーケティング担当として就職します。

「そもそも、途上国で作られた商品を“かわいそうだから買ってあげる”のではなくて、“みんなが憧れる良いものとして提供したい”と思っていました。みんなが憧れる高級ブランド製品は、どのようにして作られ、販売されているのかというのをきちんと知っておきたかった。そのために高級ブランド会社に勤めて、最高品質の製品が作られる背景や、それを購入するお客さまの姿から学ぼうとしたのです。

その高級ブランド製品は世界中の人たちから価値あるものと認められていたし、だからこそ大切に使われ、時には子どもや孫に受け継がれていた。それこそ大量生産・大量消費というサイクルとは対極にある、エシカルなものづくりだと思ったんです」

企画から素材調達、製造、販売までの生産経路を社会に配慮

企画から素材調達、製造、販売までの生産経路を社会に配慮

自社製品の特徴について尋ねると、「エチオピアシープスキンという、世界最高峰の羊皮を用いたバッグを作っているところが最大の特徴です。この皮を使った製品は、ぎゅっと抱きしめると絹のようになめらかな肌触りと深いレザーの香りがします。また環境に配慮し、製品の企画から素材調達、製造、販売とすべてのプロセスに関わる人がハッピーになるよう工夫された点が魅力です」

とのこと。ただ、そのプロセスを実現させるのは「魔法みたいに簡単にはいかなかった」と語ります。

「現地の職人さんたちは、一生のうちに本当に優れた高級品に触れる機会はほとんどありません。なので日本人が求める、完成度の高いものづくりの哲学を理解してもらうために、実際自分が目の前で作業をしてみたり、手取り足取り指導することを繰り返す、といった感じでした」

そんな苦労もあってか、エチオピアで現地の職人さんが働く工場を稼働させ、日本にいるお客さまに製品を届けることに成功します。そんな鮫島さんの今後の展望とは…。

「ありがたいことに本当に多くの方に評価して頂いて、現在もっとも人気のバッグは1年8か月ほどお待ちいただいています。今後は生産体制をより一層強化して、より早くお客さまのもとにより高品質な製品をお届けできるようにしたいです。また、より大きな目標としては、『andu amet』を一流のブランドに育てていきたいと考えています。フェアトレードブランド、エシカルブランドとしてではなく、本当にファッションやレザーが好きな人が憧れるような一流のブランドに…。そのために素材も、デザインも、製造過程も、サービスも、一つひとつ向上させていきたいです」

良いものを、長きに渡って使ってもらう。そして作る人、使う人、贈る人、贈られる人…と、関わる全ての人がハッピーになるものづくりを実践する。当たり前のようでありながら、実現させるのがなかなか難しいビジネスを、一つひとつ着実に前に進める鮫島さんの挑戦は、まだまだ続きます。

参照サイト:http://www.anduamet.com/(andu amet)

文 東京通信社