初期費用ナシで、マイクロサイズの映画館を創造！？

“自分が館主の映画館”というと難しそうに感じるかもしれませんが、今年4月に株式会社ポップコーンシアターからリリースされたマイクロシアター・サービス「Popcorn（ポップコーン）」を活用すれば、準備するモノはスクリーン・プロジェクター・スピーカーといった上映機器と、安定したインターネット環境だけでOK。初期費用ナシで実現できてしまうんです。

「これまで店舗や個人で上映会を行なう場合、作品を借りるために、その上映権を持つ映画配給会社が設定した初期費用を支払う必要がありました。これがネックで、10人以下の参加者では、上映するだけで赤字になってしまうケースも珍しくなかったんです」

そう話すのは、ポップコーンシアター共同代表のナカムラケンタさん。この課題を解決すべく、ネットストリーミングで映画を上映する方式を採用し、“入場者数に応じた費用負担”に。決済は事前決済とすることでも、上映会のハードルを下げたとか。そのうえで配給会社と交渉し、映画の価値を守りながら、初期費用なしで誰もが小さな映画館を生み出せるサービスを実現したと言います。

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マイクロシアターなら、作品の聖地での映画館体験も可能！

上映可能な作品は、スタート当初は30作品程度だったそうですが、配給会社の協力もあり今では80作品に迫る勢いとなっています。なかでも人気を集めているのは、どんな作品なのでしょうか？

「カフェやレストランなどでの上映会が多いこともあって、コーヒーにまつわるドキュメンタリー作品『A FILM ABOUT COFFEE』は人気ですね。日本でも大ヒットを記録したインド映画『きっと、うまくいく』も話題を集めています。

最近上映が可能になった邦画『SR サイタマノラッパー』シリーズは、埼玉県や群馬県などのロードサイドの雰囲気が映画全体の魅力になっています。こうした映画を、舞台となった地域で観るのも楽しいと思います」

ナカムラさんが語るように、映画の舞台となった地域で観る“聖地巡礼”をはじめ、これまでにない映画館体験ができるのも、マイクロシアター・サービスの魅力。実際、ポップコーンシアターでは、岐阜県・飛騨古川地方の山奥で上映会を実施したこともあるとか。

「実はこの地域、ある大ヒットアニメ映画の聖地。ですが、現在は劇場が1軒も無くなってしまい、住民の皆さんは富山県の映画館まで足を運んでいたそうなんです。それは寂しいなと、その地域にある古民家で上映会を行なったところ、当日は満員御礼。私たちも驚くほどの盛況ぶりでしたね」

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学校、屋上、プールサイド。どんな場所も劇場に

ほかにも岩手県や島根県では、廃小学校を再利用して、教室をシアターに生まれ変わらせたり、徳島県の山間の宿泊施設＆食堂で上映会を企画したり…。逆に、東京・日本橋のオフィスや下北沢の野外オープンスペースに劇場が登場する、といったケースも増えているとか。最低限の設備さえ揃えば、ビルの屋上で星空と映画を一緒に楽しむイベントや、プールサイドにリゾート感のある映画館をつくる…なんてことも、できそうです。

「いろんな場所で上映できるので、使う方それぞれの求める映画館を“発明”していただけたらうれしいですね。僕らも参考にさせてもらいたいので、前例のない上映会も積極的に企画してみてください」

「Popcorn」以外にも、初期費用を手ごろな価格に設定した自主上映会の支援サービスや、配給会社のグループ企業が行なう映画の移動上映サービスなど、時代のニーズに合わせてさまざまな新システムが誕生しています。

いつでもどこでも映画が楽しめる今だからこそ、もう一歩踏み込んで、自分好みの映画館を創造したり、お客さんを招き、みんなで映画館体験を共有したり…。そんな大人の遊びを楽しんでみては？あなたなら、どんな映画館を発明しますか？

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Information

Popcorn

日本中にさまざまな映画体験が生まれ、映画を鑑賞する機会が増えることを願い誕生したマイクロシアター・プラットフォーム。誰でも自分の映画館をつくることができるサービスで、上映会の企画はもちろん、上映会への参加もインターネットから手軽に申込むことができる。