温泉に入るのが仕事になってしまった夢先案内人

「なぜスルガ銀行が温泉ブログを?」「しかも異常に充実している!」と、温泉好きを中心に話題を集めている「井伊部長の温泉グルメ探訪」。温泉部長のだねが、伊豆・箱根エリアを中心に温泉を紹介するスルガ銀行の公式ブログだ。しかし、スタートのきっかけは意外にも地元のことを考えた、マジメな思いだった。

「伊豆・箱根といえばやっぱり温泉じゃないですか。でも、すごくいい温泉がたくさんあるのに、街全体として盛り上がりきれていない時期もあったりして。九州の湯布院、黒川なんかは温泉で素敵な街づくりができているのだから、伊豆・箱根も盛り上げたいよね、という話があがったんです」

温泉を通じたスルガ銀行らしい地域貢献の形を考えた結果、地元の温泉情報を紹介するブログを展開することに。そこで、「銀行のお客さまだけでなく、地域全体を盛り上げる!」という夢の実現のために白羽の矢が立ったのが、自他共に認める温泉マニアの井伊湯種だった。

「いきなり温泉部長という肩書きができちゃって。でも、温泉マニアの目線で語っても、一部の人にしか魅力が伝わりませんからね。温泉に行く人が何を大事にしているのかを考えて、ロケーションや食事、泉質など、いろんな切り口で地元の温泉のいいところをレポートするようにしました」

こうして2013年の開始から毎週レポートを公開し続け、気が付けば記事の総数は200本以上に。どの記事も景色のいい温泉や、おいしそうな料理ばかり。そのため社内からは「会社の金で温泉三昧なんて、いいよなぁ」といった声もあがっているとかいないとか……。しかし、毎週紹介する温泉を選び、取材していくのはやはりラクではないという。

「温泉の業務だけしているわけじゃないですからね(笑)。だから、取材も宿の迷惑にならない日曜から月曜に、10本分くらいまとめてやるんです。分刻みのスケジュールで温泉に入れる時間なんて1分くらいのものだし、1日に何度も服を脱いだり着たりして冷えちゃうし、けっこうハードなんですよ」

ますますディープな情報で、地元の温泉文化を盛り上げる

伊豆・箱根に絞って温泉情報を充実させていった結果、徐々に地元でもブログの認知が広がり、「温泉に浸かってばかりいる銀行員(?)」として、井伊湯種が新聞やテレビなどのメディアに登場するようになった。

「まだまだ夢の実現とまではいきませんが、取材の申込みをすると『ついに井伊湯種さんがうちにも来てくれるんですか!』と、宿の方に喜んでいただけるようになったのはうれしいですね。それにコールセンターまでブログの感想を伝えてくださる方や、店頭に来てお声がけくださった方もいるみたいで。とてもやりがいを感じます」

今後も取引の有無にかかわらず素敵な宿やお店を紹介し、地元にたくさんの人が訪れてくれるように活動していくという井伊湯種。さらに充実度を高めながら、現在もブログを更新し続けている。

「最近は『湯友』といって、親交のある温泉マニアにゲスト参加してもらう機会なんかも増えたので、今後は地元の人も知らないような温泉もどんどん紹介していきたいですね。『こんなところに温泉があったんだ』なんて地元の社員に言われると、マニアとしてはニヤリとしちゃうんです」

ちなみに、そんな井伊湯種の唯一の心配は、いつかやってくるかもしれないクレームなのだとか……。

「心のどこかで『なんで、こんなオヤジが裸で風呂に浸かった写真ばかりのせるんだ』と思われる方もいるんじゃないかという気持ちもあって……まあ、今のところそういった苦情をいただくようなことはないんですけど(笑)」